第35話「スライム」
矛盾に気づくと「うがー」ってなります。
「ほら出てきた。まずはスライムだな」
森を進んでいると、スライムがあらわれた▼
「スライムは、ヤワな攻撃は効かない。切り裂くか、大きな何かで潰すか、魔法で攻撃するかだ」
助言を聞いて駆け出す。
ハヤトのこうげき!▼
ズパッ
スライムはたおれた▼
ふっ、やはり雑魚だな。
「さすがだな。一撃だぜ!」
「どうということはないさ」
謙遜でもなんでもなく、実際に大したことの無い敵だった。
ゴブリンより弱いんじゃないか?
そう思って聞いてみると、
「ゴブリンは弱い攻撃でもダメージが通るが、スライムはある程度の力が必要なんだ。身のこなしに自信があって手数で勝負する奴はゴブリン、力に自信のある奴はスライムって感じで相手を選ぶんだぜ」
「ほう」
「まあ、お前みたいな強い奴は関係ないだろ」
ネウスは、俺が剣士だと思っているようで、親切に職業の性質を教えてくれた。
村人が剣士や騎士に転職した際、前職の実力は引き継いでいるので、新しい職業のレベルをある程度まで上げるのは簡単らしい。
「だから、レベルが低いからって弱くなるわけじゃない」
かと言って剣士のレベルを上げると力が上乗せされるかと言うと、そうではない。
「今まで経験した職業の中で一番が強いものが最終的な実力になるんだ。
例えば、前職の強さが十だったとすると、今職の強さが一でも、自分の実力は十だ。今職の強さが十一になると、初めて実力が十一になる」
つまり転職しても、新しい職業が元の強さに追いつくまでは、強さは変わらないということか。
ちなみにこの強さというのは、レベルとは別の指標らしい。
「詳しいな、どこでそんなことを知ったんだ?」
「実は俺、職業の研究者なんだ」
「研究者⁉︎」
そんな風には見えない。
「ははは、驚いたか? 職業に付いて研究するなら、いろんな職業に就いて、レベルを上げなきゃいけないからな。冒険者というのがそれに適してるんだよ」
なるほど、そういうことだったのか。
「だったらエキシピウムについても知っているか?」
「ああ、あれは二つの職業で比較してみたけど全然効果差がなかったから虚言だね」
おや、意外と知らないみたいだ。
「それは間違いだ。実はな――」
俺は、エキシピウムについて知っていることを教えた。
「エキシピウムは特殊植物ではなく魔物か……。虚言だと思っていたが、レベルが低いときに有用というのは、試してみる価値はあるな」
ネウスは、何か思案していたようだったが、
「ちょっと神殿行って転職してエキシピウム刈って来るわ! クエストは任せた! レベル上げついでにできるやつだから!」
口早にそう言って俺にクエストを押し付けて行った。
面倒見のいい人だと思っていたが、こうもあっさり置いていくとは……
まあ、転職する場所が神殿というのも分かったし、気を取り直してレベリング始めますか!
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