第34話「ヨマワモルの森」
雨……最近多いですね
※ヨマワモルの森で上げられるレベルの目安を変更しました。
冒険者たちの横を抜けようとして一人の男に捕まった。
「お前、森うさぎで後受けしたんだって?」
赤茶色の髪を角刈りにした中肉中背の青年だ。
言葉に威圧感は無い。悪いやつでは無さそうだ。
「ああ、運がよかっただけだがな」
「いや、その運ってーのが冒険者には必要なのよ」
「それもそうか」
冒険者は、トレジャーハンターでもあるからな。
「俺はネウス。ランク3の中級者冒険者だ」
「ハヤトだ。最近登録したばかりで、まだランクは1だ」
「そうか、駆け出しだったのか。てっきり4くらいかと思ったぜ」
「買い被りすぎだな、さっきまでマナモシの森で野営の練習をしていたのに」
「そっちの嬢ちゃんは……奴隷か? あまり見ない首輪だが」
「ああ。それより弱めの魔物と戦える場所無いか? レベルを上げたいんだ」
俺はちらりとクロネを一瞥して、俺のレベルじゃ無いよ感を出す。クロネには悪いが俺のレベルが低い事がバレると舐められるかもしれない。
しかしネウスは別の意味で取ったようだ。
「ああ、転職したてなのか。いいぜ、いいとこ教えてやる」
転職! やっぱりあるのか!
常識だろうからマインにも聞くに聞けなかった。
マインの話し方だと、一定レベルで職業が変わるがキャンセルも出来る、という風にも取れたので正直不安だった。
これでロリコンを辞められる!
ロリコンはあくまでも趣味なのだ。
ロリコンに就く気はない。
株式会社ロリコン
うーん、ないない。
「今日これからでもいいか?」
「ああ、構わない」
「じゃあクエスト受けてから行こうぜ、さすがに後受けはしないよな?」
「たまたまだと言ったろ? もちろんしない」
「しないのかよ! まあ、それが正解だ。いい狩場の近くで出来るクエストなんかは、ついでに受けていく奴が多いからな」
ネウスは依頼をいくつか受け、俺たちは彼に付いてギルドを出た。
◇◇◇
ネウスに連れられてやってきたのは、東門から街を出て暫く進んだところにある森だ。
マナモシの森とは町を挟んでちょうど反対側にある。
木がいくつかのブロックを作るように生えていて、たぶん上から見たら樹冠の塊がキリン模様のように見えているだろう。
それぞれのブロックの中は、高い木から低い木まで様々で、見通しが悪いが通れない程ではない。
「ここはヨマワモルの森と言ってな、弱い魔物が多く湧く森なんだ」
「レベル8だがそれでも上がるか?」
「それくらいなら余裕だ。20くらいまでならここで十分だろう」
なら暫くタゼウロンの町に留まることになりそうだな。
「そろそろ魔物が出てくるあたりだ。準備しておけよ?」
ネウスが注意を促してくる。
「そういえば、ここにはどんな魔物が出るんだ?」
聞いてなかったことを思い出し、尋ねる。
「ああ、言ってなかったな。ここに出るのはコボルトと――――
――――スライムだ」
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