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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
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第33話「タゼウロン」

次の朝、クロネを起こして火を起こし始める。


早めに起こすのは、起き抜けだと食欲が湧かないからだ。


朝から肉になってしまうのは仕方ない。


しっかりと焼いた肉を食べながら昨晩あった事をクロネに話す。


「お日様は火で、お月様は氷ですかー。わたしも見たかったです」


聞けばクロネは氷を見た事がないそうだ。


「なら、夜になったら見せてやろう」

「本当ですか⁉︎ やったー!」


クロネの耳がピクピク動き、尻尾がてしてしと地面を叩いた。



日中は特に何も起きず、移動の合間に採取をしたりしながらのんびり過ごした。


そして、お待ちかねの夜。


銅鑼(どら)のようなレンズを用意し、焦点に別で作ったピンポン玉大の水球を用意する。


パキパキッ!


数秒で水球がすべて凍った。


氷は操れたのでそのままクロネの前に移動させる。


「キレイ……」


クロネはそれを手に取り目を丸くした。


「つ、冷たいっ!」


「そりゃあ、氷だしな」


冷たさに戸惑いながらも、落とさないようにしているクロネ。


健気で間抜けな姿に思わずほんわかしてしまう。


「クロネ、捨てていいぞ」


「で、でも……」


「また作れるから気にしないでいい」


氷の玉を手放したクロネの手を取るととても冷たくなっていた。


「ハヤトお兄ちゃんのお手々、あったかい……」


クロネの目尻が下がり、にっこりと笑った。


それを機に甘えん坊スイッチが入ったクロネをあやしてその日は終わった。



◇◇◇



翌日、クロネが言うには、このままいけば二時間も歩かないうちに街に着くそうだ。


空間把握スキルが凄いのもあるが、この三日間の進み具合から、掛かる時間を予測できるクロネが凄い。


空間把握スキルも才能で身につけたものだし、結局凄いのはクロネだ。


売れるかどうかわからないが、うさぎを一体狩っておく。


気配察知がレベル2に上がってからというもの、特に意識を研ぎ澄ませなくても、大声に驚く森うさぎの気配に気づく事が出来るようになっている。


暫く歩くと、クロネの言った通り城壁が見えてきた。


ファマーチストのものには見劣りするが立派な城壁だと思う。


関所には皮と金属を組み合わせた鎧を着た兵士がいた。


「タゼウロンによく来た。通行料は、身分証があれば40エソだ。なければ160エソだ」


お、ファマーチストより安いな。


「こいつは奴隷だが」


「奴隷紋を見せてくれ…………確認した。料金は主人の分だけでいい」


冒険者ギルドの場所を聞いて、40エソを払って門を通過する。


タゼウロンの街並みはファマーチストとあまり違いはなかった。


基本的に石造りだ。


しかし家の横に木製の納屋のようなものが見え、田舎くさい感じがした。


干し草のような香ばしい匂いもする。


そんな街の雰囲気を観察しながら冒険者ギルドに向かった。



冒険者ギルドは街の中心から少し離れた場所にあった。


開かれた扉の向こうからはガヤガヤと人の話し声が聞こえる。


入ってみると、なるほどギルドと酒場が一緒になっているのだ。


そういえば、ファマーチストでは未成年の身体ということもあり酒場に行ったりすることはなかった。


酒場で情報収集と言ったらRPGの基本だ。


俺は酔っ払いたちの話に耳を傾けながら依頼が張り出されたクエストボードを見に行った。


依頼を順に見ていくと、森うさぎの依頼があった。


――――――――――――――――

森うさぎの狩猟

依頼者:口下手な肉屋

内容:森うさぎ一体の納品

報酬:680エソ

――――――――――――――――


口下手な、って……


交渉は下手ってことなのか?


そうだとしたらちょうどよかった。


森うさぎ一体と書かれているから、二匹以上いても交渉ができなければ無駄になるしな。


俺は依頼を持って受付に行った。


「おはようございます。本日はどういったご用件でしょうか」


受付にいたのは今の俺と同い年くらいの少女だった。


残念ながら、ロリの範疇ではない。


「この依頼を受けたい」


「かしこまりました」


「それとこれが依頼の森うさぎ」


「え⁉︎ 先に狩って来ていたんですか⁉︎」


「ああ、ファマーチストから来たんだが、今朝捕まえてな」


「森うさぎで後受けですか! 凄い!」


「後受け? なんだそれは?」


「依頼の品を揃えてから依頼を受けることです。他の人にクエストを取られてしまってできないことが多いのであまりやる人はいません」


「へぇ、朝だったからたまたま受けられたわけだな」


運がよかったということか。


報酬の680エソを受け取る。


「そうだ、安くて安全な宿を教えてくれないか?」


「今空きがあるのは旅亭レヤンドカですね。ちょっと待っていてください、紹介状を書きますから」


少女書くのを待って、紹介状を受け取る。


お礼を言って、俺たちは宿に向かおうとした。


「おい、そこのあんた!」


おおーっとぉー?


誰かに声を掛けられた。

感想・ご意見・誤字脱字などなど随時受け付け中!


気軽に書き込んで行ってください!


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