第32話「魔法DEジッケン」
すいませんっ、予約投稿忘れてました
翌朝。
俺は閃いた。
水魔法で料理できるんじゃね?
ものは試しということで、水魔法で作った水球の中にうさぎの肉を放り込む。
これで煮込み料理ができる!
肉は、水球の中をゆっくり落ちていき、
ぼとりと地面に落ちた。
……
…………
失敗ではない。
中に入れた物までは浮かせられないということを発見したから、成功への一歩だ。
「まあ仕方ないな」
俺は、別で生み出した水で肉についた土を洗い、クロネに渡した。
串を火にかけるクロネを視界に入れながら、クロネが肉を焼くのを待つ。
「焼けましたー」
「おー、ありがとうなー」
クロネの頭を撫でて、朝ごはんを食べ始める。
「む、美味いな」
「えへへ、ありがとうございます」
クロネが焼いた肉には赤い部分が多く残っていて、生焼けかと思ったが、昨晩俺が焼いたのより美味い。
「実は、昔こう言う料理もあるというのを聞いたんです。聞いただけだから不安でしたけど、美味しいって言ってもらえてよかったです」
「おお。ありがとうな、クロネ」
ん? でもこの肉昨日獲ったやつだよな。
心配だ。
今度から獲れたて以外は控えておこう。
「そういえば、ハヤトお兄ちゃんの作るお水の玉ってキレイですよね」
「そうか?」
「はい、キラキラしていてキレイです。それと影も」
「影? ……おお!」
水球が地面に作った影の中では光が踊っていた。
中で動く水流の動きによってできた綺麗な光景だ。
(光の屈折だな)
ここは物理法則がまだ生きているようだ。
(ん、もしかして……)
「もしかして集光できるんじゃないか?」
物は試しと、水球の中の流れを止めて、形を扁平に変えていく。
「以外と簡単に出来たな」
レンズを作るだけなら簡単にできてしまった。
手を広げたくらいの大きさのレンズが浮いている。
地面に薪を置き、水球の厚さを調節して、焦点を合わせる。
「何してるんですか?」
「ちょっとした実験だ。見ていてくれ」
光が集まっているところを指す。
「うわぁ、眩しい」
ふふふ、それだけじゃ無いのだよ。
そう思いながら待つこと数十秒。
薪から煙が上がった。
そしてしばらくして、火が着いた。
これで着火の魔道具の消費を抑えられる!
「凄い! ご主人様は光魔法と火魔法も使えるのですね」
「いや、これは科学の力だ」
「カガク?」
クロネに原理を説明してみたが、幼女には難しかったのか目を回していた。
◇◇◇
しかし、俺も目を回したくなることが起きた。
それはその日の夜のことだ。
その日獲ったピアーなどと合わせて、こんがり焼いた肉を食べたあと、昨日と同じように俺が先に寝た。
そして交代するときにヒールを使ったなんてことも昨日と一緒だ。
俺は、冷ややかな月の光を浴びながら魔法の訓練を始めた。
何か新しいことができるようになると、そればかりやりたくなる心理は分かってもらえると思う。
意味は無いと知りながら、なんとなくレンズ型水球を作って月の光を集めた。
人の顔くらいある水球を扁平にして作った、楽器の銅鑼くらいの大きいレンズだ。
その焦点には一応木片を当てる。
要するに調子に乗っていたわけだ。
昼に火を起こすときの練習をしているのだ、と適当な理由をつけて遊んでいると――
ピキッ
焦点に合わせていた木片が凍った。
「は?」
驚いて焦点をずらしてみる。
ピキピキッ!
凍った。
「え? なんで?」
光を集めれば集めるほど木片は速く凍った。
ど、どういうことだ?
月の光は、物質的に冷たいのか……?
なんということだ……
「物理法則さあああああああああああああん!!!!!」
幸いにもその叫びはクロネを起こすことはなかった。
俺は、冷たい(物理)月の目線に晒されながらその晩を悩み明かした。
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