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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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小話「するのはいいけど……(1/3)」

※第12話のクロネ視点になります。

ハヤトお兄ちゃんについて部屋に入ると、彼が急に立ち止まりました。


「あれ? ベッドが一つしか無いぞ」


それって当たり前だと思うんですがけど……。


「間違えられたみたいだな。ちょっと言ってくる」


「ううん、間違ってないよ」


使わないよう言われたから、敬語を使わないように意識します。


ハヤトお兄ちゃんが本当の意味で命令していないのは分かっているけど、それは多分、彼がこうして欲しいってことだと思うから。


命令すればいいのにしないなんて、奴隷に対して随分優しい人です。


そんな彼だから、私の寝るところを考えてくれていたのでしょうか。


「わたしは床に寝るから、ハヤトお兄ちゃんがベッドを使ってね」


「え? 床?」


何を当然のことを、と言われるか不安だったけど、やっぱりわたしのことを考えてくれていたみたいです。


やっぱり優しいなぁ……


そして彼がとんでもないことを言い出しました。


「いや、クロネがベッドで寝るんだ。俺が床で寝る」


「ハヤトお兄ちゃんを床で寝かせて、奴隷のわたしがベッドで寝るなんて絶対ダメです! わたしが床で寝ます」


基本的に奴隷はご主人様に意見をせず従わなければなりませんが、ご主人様を床で寝かせるわけにはいけません!


それにわたしとしても、お兄ちゃんには、ちゃんとしたところで寝て欲しいです。


お兄ちゃんが床で寝たりしたら、わたしは、たとえ王様の寝心地のいいベッドでも寝られないと思います。


「床は痛いだろ」


「石畳で寝ていた頃よりは寝やすいもん」


木であるだけで十分満足です。


それにここの床は、ささくれもなく、つるつるしていてとても寝心地が良さそうですし。


「仕方ない。ベッドを二人で分けて使うか」


一瞬幻聴かと思いました。


確認せずにはいられません!


「それって一緒に寝るってこと?」


わたしはついつい身を乗り出してしまいました。


「いや、二人で分けて使うんだ」


詰め寄りすぎたせいで、お兄ちゃんは少し顔をしかめたけど、わたしはそんなこと関係なしに質問してしまう。


「え、どう違うんですか? 一緒のお布団で寝るんですよね?」


「それも違う。布団を共同で使うんだ」


「同じですよね?」


彼は押し黙った。


お兄ちゃんと一緒に寝れるかもしれないということで興奮していたわたしは、ふと我に返りました。


ハヤトお兄ちゃんが奴隷と寝たいわけない、と冷静になった頭がそう言います。


で、でも……お兄ちゃんは確かに二人でベッドを使うと言ったもん!


わたしはそう反論しましたが、どんどん自分の耳が聞き間違えたんじゃないかと不安になってきました。


「やっぱりわたしと一緒のお布団に入って一緒に寝るのは嫌だよね……」


つい言葉を漏らしてしまいました。


しつこい人は嫌われると言います。


でも、お兄ちゃんと一緒に寝たいです!


まるで天秤にかけたように、気分が沈むにつれて、一緒に甘えたい気持ちが強く浮き上がっていきました。


すると、願いが通じたのか、


「嫌なわけあるか。仕方ない、一緒に寝ようか」


心の中に花が咲きました。


でも、心はどんどん幸せで満たされていくのに、なぜか満たされない箱があります。


なんだろう、この箱。


嫌な感じもしないのに突き破って無くしてしまいたい。


しかしマインさんが慌てた様子で部屋に入ってきて注意が逸れた瞬間をねらって、冷静なわたしがいそいそと衝動を片付けていった。

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