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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
30/156

第27話「ハヤト、とうとう手を出す」☆

※5/8追記修正しました。


※5/8画像のリンク先にミニストーリーを追加しました。お待たせした方はすみません


※6/19文字でのステータス表示を追加しました。

そうこうして四日が経った。


毎朝、ギルドに行って良さそうな採取クエストを朝一で漁った。


クロネは、寝ていてもいいと言ったのに、眠そうな目を擦りながら毎朝てくてくと付いて来てくれた。


四日間で稼いだ額は、10250エソだ。


森うさぎ十四匹、採取クエスト、ゴブリン一体による稼ぎだ。


出費は四回の入街代と十六食の食費、


後はクロネの靴を買った分を引いて、8725エソだな。


靴は前世より少し高いくらいで、こんなところにも鍛冶系スキルの恩恵が及んでいた。


鍛冶系スキルの中には、革の加工ができるものもあるらしい。


きっとスキルを揃えた鍛冶師は、一人で武器から防具まで、装備一式作ることができるのだろう。


また、四日間で二人ともレベルも上がった。

スキルレベルも上がり、今のステータスはこんな感じだ。


――――――――――――――――

ハヤト・オオタカ

ヒューマン 男

職業:《ロリコンlv.8》

スキル:

《ヒールlv.4》《水魔法lv.3》

《気配察知lv.2》

――――――――――――――――


――――――――――――――――

クロネ

猫人 女

職業: 《奴隷lv.8》

スキル:

《空間把握lv.3》

――――――――――――――――

挿絵(By みてみん)


「さて、この街でもある程度稼いだし、装備を整えて別の街に行くか」


ギルドで報酬を受け取った帰り、クロネにそう言った。


昨晩で宿代の前払いしていた分が無くなったから、タイミングとしてちょうどいい。


俺は、せっかく異世界に来たんだしいろんなところを見て回りたいと思っている。


一応街の反対側のギルドでクエストを受けることも考えて、クエストを見てみたが、中〜上級の依頼が集まっていて、野宿の必要があった。


だが、まだ強さにも野宿にも不安があり、強い魔物のいる森で野宿するほどの力はない。


もうこの街にいても、することは変わらなさそうだから、それならばマナモシの森で野宿に慣れつつ、森の反対側にある街を目指して少しずつ進もうと思った。



「あの、首輪の約束、覚えてますか?」


クロネがおずおずと尋ねてきた。


「あー……ごめん、すっかり忘れてた」


記憶からすっかり消えてしまっていた。


「本当に首輪(あんなもの)が欲しいのか?」


「はい」


「どうしてなんだ? 俺ならば着けなくて済むなら付けたくないぞ」


「それは……」


クロネは言い淀む。


「言いたくないなら無理に言わなくていいぞ?」


「いえ、大丈夫です」


クロネは、まっすぐに俺の目を見た。


「少し場所を移そうか」


俺たちは、広い芝生の公園まで移動する。


そして、そこの木陰に腰を下ろした。


「えっと……ハヤトお兄ちゃんの奴隷である証が欲しいんです」


「なんでだ? それに奴隷の証なら奴隷紋があるじゃないか」


「その、ハヤトお兄ちゃんが命令しないから、あまりある気がしないんです」


「別に命令なんてすることもないし、クロネは素直に言うことを聞いてくれるだろう? それにクロネに痛い思いをして欲しくない」


「それが怖いんです」


「え?」


クロネは、ぽつりぽつりと話し出した。


「わたし、今とても幸せなんです」


「奴隷なのに、幸せなんです」


「ハヤトお兄ちゃんは、蹴りもしないし、嫌な命令もしないし、わたしの耳を悪く言わない」


「その代わりに、優しく撫でてくれるし、嬉しくなる命令をしてくれるし、わたしの耳を好きだと言ってくれる」


「夜も、とっても安心して眠れます」


「ご主人様との一緒にいる毎日が夢のようで、朝起きたら元の生活に戻ってるんじゃないかって不安なんです」


「だから、その……わたしをもう少し不幸せにしてください」


……


本当に奴隷生活が染み付いてるんだな。


痛みや辛さが現実で、優しくされるのが夢だなんて。


「クロネ」


「はい――あぅっ⁉︎」


俺は、クロネの額にデコピンをした。


クロネは目を丸くして額を抑える。


「痛いだろう? だから夢じゃない」


初めてクロネに暴力を振るった。


俺は自分の誓いを破ってしまったことになる。


幼女に手を出さないという誓いをだ。


ああ、俺は、悪いロリコンになってしまったんだな。


守るべき者に手を出すなんて最低だ。


「ありがとうございます」


でも、暴力を振られた本人(クロネ)は嬉しそうだ。


「首輪があれば安心できるのか?」


「はい。目で見て触れられる証が欲しいです」


「分かった」


これ以上しつこくは尋ねない。


俺たちは公園を出て奴隷商に向かった。

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