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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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第25話「服屋」

服屋に行く前に、俺が人間観察で得た情報を整理しようと思う。


まず、一番目につく髪と服。


どちらもいろんな色がある。


髪は黒、茶、金はもちろんの事、他の色も同じくらい見かけた。


しかし、赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)の七色を確認しようと遊んでいるときに気づいたが、緑の色は一人も見かけなかった。


服も、緑の服は全くと言っていいほど見なかった。

緑の布自体あまり見なかった。


見たといえば関所や役場にあった旗くらいだ。


恐らく国の貴色であったりするのだろう。


女性のスカート丈については、景気がいいのか悪いのか判別がつかない。


つまりは、丈が人によってまちまちということだ。ファッションについては、前世と同じくらい自由と言っていいと思う。


次に、靴だが、これは履いている人と履いていない人でいろいろだった。


冒険者は、ほとんどが履いているところから考えるに、足を守る意味が強いのだろう。


そしてそこまで考えて、街の石畳は綺麗に掃除されていて細かい石などが落ちていないことに気づいた。


綺麗だから裸足なのか、裸足で歩くから綺麗にしているのか。


箒で道を掃きながら世間話をする婦人をよく見かけるので恐らく後者だろう。



また、人種についてだが、


やはり獣人は見かけない。帽子を被っている人はまったくいないので、本当にいないのだろう。


そういえば、帽子は夏に得るものだと帽子屋のおじさんが言っていた。


この世界の太陽は明るくても眩しくはないから必要ないのだと思われる。


紫外線も無かったりしそうだ。



獣人はいなかったが、エルフはいた。金髪の人は大抵長い耳を持っていた。


獣耳に対してのみ差別が激しいのだろうか。


ドワーフはまだ見ていないが、もし鍛冶屋とかで普通にいたら、そう結論づけることができそうだ。


また、奴隷という特殊な人種は、結構見かけた。


例えば建築中の建物で働く人は、指示を出す人間以外、大抵奴隷だった。


と言うのもマインが首輪を見て奴隷と教えてくれたからわかった。


首輪=奴隷という認識なので、チョーカーなどのアクセサリーは無さそうだな。



やはりファッションの考え方が前世と違うようだ。


服の色の組み合わせなどはあまり変わらないのがかなりありがたい。



◇◇◇



マインに案内してもらって、服屋にやってきた。


赤や青や黄色などのはっきりした色の服がたくさん並んでいた。


しかし、やはり緑はない。


まあ、緑色の服とか前世でもあまり見なかったので俺にしてみればあまり関係ない。


俺は服を見て回る。


「やっぱり服は高いなー」


どれも1000エソを超えるものばかりだった。


ちらりと見た限りでは20000エソ、日本円にして二十万円を超える服もあった。


まあ、それだけ外れ値的に高かったが。


他は大体1000~6000エソだ。


後で聞いた話によると、服飾という、レベルが上がっていくと仕上げた服に魔法効果を付与できるようになるスキルを持った人が仕上げた、魔法の服だそうだ。


本来は防具などに使うスキルで、貴族が財力を誇る目的で着ることもあるそうだが、その場合はオーダーメイドが普通だそうだ。


服屋の慣習的な理由で置かれているらしい。



俺は、クロネの身体に合いそうな服を探すが、大人のものが多く、小さいサイズがあまりない。


「ハヤトさん? 何で女物ばかり見てるんですか?」


挙句、マインからは訝しむ目を向けられた。


「いや、クロネに合う服は無いかと思ってな」


そう言うとマインはため息を吐いた。


「何で主人が真っ先に奴隷の服を探してるんですか……」


だって自分の服とかどうでもいいじゃん。

それよりクロネを着飾る方が大切だ。


いつまでも粗末な奴隷商の服のままなのは許せない。


「クロネに合いそうなのが無いな」

「子供の服は少ないですよ。大人が使ったものを仕立て直すんです」

「そうなのか」


俺は、ハンガーを一つ一つ取って服を確認していく。


「ご主人様。わたしに服なんてもったいないです。そんなことよりご主人様の服を探してください」


遠慮ではなく、本当に勿体無いと思っているのだろう。奴隷は普通セカンドハンドならぬ、フォースハンドくらいの古着を着るのが普通らしいからな。


「もう少し探して、いいのが無かったらそうしよう」

「もう、本当にいいのに……」

「見るだけならタダだしな」


クロネにどんな服が欲しいか聞いてみたが、希望を言うことが催促になるとでも思っているようで、質問に答えず話を濁された。


仕方がないから俺が独断と偏見で選ぶことにした。


そしてしばらく服を漁った結果、良さそうなものを見つけた。


「いいな、これ」


俺が手に取ったものは、青いワンピースだ。

袖も襟もない簡単な形をしている。


お気付きの人もいると思うが、俺は、青が好きだ。


しかし別になんでも青にするというわけではない。


選んで差し支えなければ選ぶ、という話だ。


「クロネ、ちょっとここでまっすぐ立って見てくれ」

「は、はい」


服をクロネに当てて見栄えを確認する。


髪の黒、青の服という組み合わせが実に映えている。


「よし、似合うな。これを買おう」


俺は、1230エソで青いワンピースを買った。


「ご主人様、ありがとうございますっ!」


クロネは嬉しそうに、ぺこりと頭を下げた。


「試着室もあるから、ここで着替えて行くか?」

「えっと……ご主人様はどうして欲しいですか?」

「まあ、早くクロネが着たところを見たいな」

「じゃ、じゃあ着替えますっ!」


クロネは、試着室に駆け込んで行った。


そして着替えて出てきた姿が目に入った瞬間、脳天に衝撃が走った。


二度見することは許されない。一度目で目を奪われてしまうからだ。


青いワンピースから覗く四肢は白く、露わになった幼い肩が艶かしい。髪と肌と服、黒と白と青の境はどれもはっきりしているが、それぞれがそれぞれを浮き彫りにしていて、明るい印象を見るものに与える。


そしてその頭に被った藍色の帽子は、それらの印象を抑えて落ち着かせているように見えるが、返って隠された秘宝のような魅力を持たせていた。


「わたし、こんないい服を着れるなんて、夢にも思ってませんでした」


クロネの顔は、困惑の色が見えたが、大方笑顔で満たされていた。


思わずため息が出る。


『ロリコンのレベルが上がりまちた』


……なんで?

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