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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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第20話「マインの父親、名前はまだない」

遅れてすみません!


予約投稿忘れてました…

「お前だな? うちのマインを誑かしているのは!」


部屋に入って来て早々、おっさんが俺に向かってそう言った。


「誑かしてる? どういうことだ?」


(とぼ)けんじゃねえ! うちの子を森に連れて行って何しようとしてたんだ言ってみろ!」


森へ連れて行けと言ったのはマインなんだが……


「森へ連れて行くよう言ったのはマイン――」


「根拠のねえことを言うんじゃねぇ!」


このおっさん、話を聞かねえな。


「そこにいる子だってまだ幼いのに奴隷なんだって? それだけでオメェの腐った性根が分かるってもんだ!」


あ、クロネが心配されてる。ちょっと嬉しい。やっぱり帽子の効果は凄いな。と言うより耳が異常に嫌われているだけだが。


「なにニヤニヤしてんだ! ほんと腐ったクソ野郎だ!」


おっと顔に出ていたか。嬉しかったからつい。

と言うか、その幼い女の子の前でクソとか言うの止めてもらえないだろうか。


俺が言い返そうとした時。


「ハヤトお兄ちゃんはクソ野郎なんかじゃない!」


クロネが叫んだ。


「言わされてんだろ? 心配すんな、すぐにこのクズ野郎から解放してやっからな」


おっさんが優しい口調になってそう言った。


「お兄ちゃんを悪く言うなあ!」


クロネが飛びついた。

そしてその拍子に被っていた帽子が落ちた。


「――っ! 触んな! この亜人が!」


亜人ということに気づいたおっさんがクロネを弾き飛ばした。


それだけでクロネは中を舞い、壁を突き破って廊下に転がった。


――プツン――


俺の中で何かが切れた。


「なにしてんだテメェ!」


俺はおっさんを突き飛ばして、そのままクロネの元に飛んでいった。


「ヒール」


頭の怪我をまず治し、身体の各所を怪我がないか隈なく探し、見つけ次第ヒールで治した。


そして流れていた血をウォッシュで洗い流す。


「ヒールに水魔法だと⁉︎」


俺に突き飛ばされても数歩下がらせるしかできなかったおっさんが驚きの声を上げる。


しかし俺は、おっさんには構わずクロネに声をかける。


「クロネごめん。もう痛い思いはさせないって言ったのに……」


「っ!」


クロネは俺の胸に飛び込んできた。

その身体は微かに震えている。


「よしよし、こんな宿すぐに出ような」


安くて、料理も美味しくて、マインも可愛かったがこんな乱暴な奴がいる所には居られない。


マインが可哀想だから店の悪い噂を流すような真似はしないが、この報復は後に残らない形で必ずしてやろう。


そう思っていると、


「お父さん! 何してるの!」


騒ぎを聞きつけてマインがやってきた。


「マ、マイン、これはな……」


立ったままの厳ついおっさんとそれを睨む膝立ちの俺、そしてその腕の中で震える幼女。


「お父さん、クロネちゃんを虐めないで!」


まあ、そうなるわな


「俺は、マインが悪い男に連れて行かれそうだったからな……」


「何言ってんのお父さん! 私が森に行きたかったから適当な理由付けて頼んだんだよ! それにクロネちゃんを虐めていい理由にはなってないよ!」


「それはあいつが襲ってきてだな……」


「クロネちゃんはまだ小さいんだよ? 襲ってきたからって壁を突き破るまで突き飛ばさなくても――ってクロネちゃん大丈夫⁉︎」


「ああ、俺がヒールで治したから身体の傷は(﹅﹅﹅﹅﹅)大丈夫だ」


「よかった〜」


「おいマインそいつは亜人だぞ!」


「亜人だからって何? お父さん冒険者ギルドの支部長なんでしょ? 亜人を差別しないって言ってる冒険者ギルドの」


え、この人支部長だったのか。

冒険者登録時に色々あってギルド長に会うと言うかテンプレが無かったせいで顔を知らなかった。


「マイン、お前いつの間に亜人を……」


おっさんはかなり呆然としていた。


クロネが落ち着くように背中をさすっていると、おっさんがこっちに向いた。


「おいお前、アサート見せろ」


アサートと言われてすぐには分からなかったが、アサートスクリーンがそう略されると聞いたのを思い出した。


俺はアサートスクリーンを表示させる。


――――――――――――――――

ハヤト rnk.1

役:近接型、治癒士

スキル:

《ヒールlv.3》《水魔法lv.2》

――――――――――――――――


「そうか、お前がハヤトか……」


俺のアサートスクリーンを見たおっさんがため息をついた。


お前が、って、俺この町に着いてからまだ3日も経って無いんだけど。


「嘘っぽいスキルを申告し、しかしそれをネタに他人にパーティーに入れるよう迫るわけでもなく、亜人の奴隷を引き連れている、そして今日5匹もの森うさぎを狩ってきた新人」


「俺だな」


そうか、ギルドの支部長だから冒険者の情報がすぐに入ってくるのか。


「本当だったんだ」


マインがおっさんの向こうで驚いている。


落ち着きの戻ったマインの父親はどういう話でマインを森に連れて行くことになったのかを聞いてきた。


「うさぎを5匹獲ったと言ったら、信じられないから森に連れて行って見せろと言われたんだ」


マインに恨みはないが、苛立ちで、責めるような言い方になってしまった。


マインが申し訳なさそうにうな垂れた。


「嘘でも本当でもよかったから森に連れて行って欲しかったの」


「そうか……すまなかった!」


マインの父親は頭を下げた。


「謝る相手は俺じゃないだろ」


俺は何もされていないからな。


「すまなかった!」


マインの父親は今度はクロネに頭を下げる。


おお、色々言っていた割に亜人に対して頭を下げた。


だが許すつもりはない。


「身体の傷は俺が治したが、心の傷はな……」


「ぐっ……!」


「俺にできることは何でもしてやるつもりだが治らないだろうな……」


実際おっさんになにかしてもらう気はさらさらないが、目には目を、歯には歯を、心には心だ。(ただしロリは除く)


せいぜい罪悪感で苦しむがいい!


しかし、思いもよらないことが起きた。


「ハヤトお兄ちゃん、何でもしてくれるの?」

「え? お、おう」


やばい、つい何でもすると言ってしまった。


「じゃあ、ぎゅ〜ってしてください」

「え、」

「ぎゅ〜ってしてください!」


何を要求されるかと思ったが、随分と可愛らしいお願いだった。


そういえば俺に抱きつくのが落ち着くと言っていたっけ。


俺は抱く力を強める。

するとクロネの耳がどんどん赤くなっていった。


「な、治りました! 治りましたから離してください!」

「お、おう……」


クロネから離れると顔を真っ赤にしていた。

きつく抱きしめすぎただろうか。


今度から力加減を考えないとな。


「おまえら、変な関係だな。とても主人と奴隷、人間と亜人とは思えねぇぞ」


「俺は冒険者だから亜人だとかは関係ない。それに奴隷を大切にする主人くらいいるだろうに」


「まあいるにはいるが、そういうやつは大抵奴隷を愛人か何かに――って、まさか!」

「そんなわけないだろう、俺は幼子に手を出すような変態じゃあない」


イエスロリータ・ノータッチだからね。


職業がロリコンになっても、その理念は変わらない。


仮に、万が一、百歩譲って変態だとしても、幼子に手を出さない変態だ。


「しかし、今日の寝床はどうしようか……」


俺は、壁に空いた穴を見て言う。


「いや……本当にすまなかった!」

「俺のことはともかく、クロネのことは絶対に許すつもりはないが、寝床をどうにかしてほしいな」


「それなら家の方に使ってない部屋があるからそっちを使ってほしい」

「クロネはそれでいいか?」

「ハヤトお兄ちゃんがいてくれるなら、わたしは軒下でもいいです」


それは俺が嫌だな、黒褐色の悪魔が出そうだし。


「じゃあ、そこで寝かせて貰おう」

※5/1口調とミスを訂正しました


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