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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
一章「異世界」
2/156

第2話「ステータス」☆

本日二度目の投稿となります


感想は随時受け付けています


※5/3修正加筆しました

※5/20回復魔法のレベルアップシーンを変えました

※6/19文字でのステータス表示を追加しました

※9/23魔力の感知と詠唱の描写を加えました

気がつくとハヤトは森の中に立っていた。


彼は異世界にやってきた興奮のまま、さっそくステータスを確認した。


————————————————

ハヤト・オオタカ

ヒューマン 男

職業:《ロリコンlv.1》(ロック)

スキル:

《ヒールlv.1》《水魔法lv.1》

————————————————


挿絵(By みてみん)


「は?」


ステータスを確認した彼は、思わず声を上げた。


「な、ななな――」


転移した場所は、広葉樹の生い茂る森だった。

あちこちから小鳥のさえずりが聞こえ、平和そのものだった。


「なんでロリコンんんんんんんん!!!!」


平和な森に俺の叫びが響き渡った。



◇◇◇



さて、異世界に転移したところで現状を把握しよう。


俺が今いる場所は森。


枝葉は頭より高い位置にあり、非常に見通しが利く森だ。


下草がたくさん伸びているわけでもなく、ピクニックに適していそうだ。


また、太陽が低く、ひんやりとした空気が漂っているからおそらく朝だろう。


次に自分の事を確認する。


年齢は高校生ぐらいに戻っている……と思う。鏡がないから確認できないが、女神(フレイ)の話によると体力が全盛期だった歳にまで戻っているとのことだからおそらくそのくらいだ。


少し身体に違和感がある、なんというか冷たい湧き水が全身に満ちている感じなのだ。嫌な違和感ではないが若返った影響だろうか。


服装は綿の服に綿のズボン。腰の革ベルトには鞘に入ったロングナイフがぶら下がっている。


足下に落ちていた簡単な作りのリュックサックの中には500エソと乾パンと干し肉が入っていた。


ふう、何も問題はないな。


「……」


職業は魔法使いだったはずなのになあ、はぁ。


魔法使いではなくロリコンになってしまったが、ひとまず現時点でできることはなさそうだ。


仕方なく受け入れよう。


そう、仕方なくだ。


俺はロリコンではない。


前世? では確かに二次元や三次元に限って小さい女の子が好きだったが、恋愛感情を抱いていたわけではない。


ほらみろ俺はロリコンじゃない。


一人でそんな弁明を続けていると、少々虚しくなってきた。


「ここは気分転換に魔法の練習でもしよう」


そう、魔法だ。俺は魔法が使えるのだ。


俺が使える魔法は二つ。

《ヒール》と《水魔法》だ。


今はどこも怪我をしていないから、まずは水魔法を使ってみる。


「えーっと、とりあえず――『来たれ清き流れ、ウォーター』——⁉︎」


言った瞬間、手のひらから少し浮いて水のボールが生まれ、次の瞬間バシャリっと手にかかった。


「なんだ今の……?」


俺は驚かずにはいられなかった。しかしそれは魔法が使えたことに対する驚きではない。


身体に感じていた水に浸されたような感覚が魔法を使ったと同時に変化したのだ。


(もしかしてこの身体に満ちているものって魔力か?)


「もう一度……『来たれ清き流れ、ウォーター』」


意識してみると魔力らしきものが流れ出て減った感覚があった。


その後、何度か試しているうちに魔力である事に確信を持つ。


「よし、キープできるようになるまで頑張ろう」


練習していると徐々に倦怠感を感じ始めた。

同時に車酔いを起したような気持ち悪さが襲ってくる。


おそらく魔力切れが近いということだろう。


しばらく空を見上げていると、次第に気持ち悪さが薄らいでいった。


「お、回復したみたいだな」


そして再び魔法を使う。


何度も繰り返しているうちに、魔力切れの兆候が分かるようになってきた。


そして肝心の水魔法の方も上手く扱えるようになってきた。


『水魔法のレベルが上がりました』


「うお⁉︎」


突然頭の中に無機質な声が響いた。


これは……恐らくゲームでいうシステムメッセージというやつだろう。


感情がこもっていないため判りづらいが、女神(フレイ)の声だった。大袈裟な物言いかもしれないが、所謂神のお告げだな。



ステータスを確認すると、水魔法のレベルが2に上がっていた。


「おぉ」


なんか感慨深い。


ステータス(他人には見えない)を見ながらニヤニヤしてる光景は、端から見るとかなり奇妙な光景に映ったことだろう。


周りに誰もいなかったことが幸いした。



◇◇◇



興奮が少し落ち着いて冷静になり、自分の装備を確認していた時。


「この長いナイフ本物か?」


凶器としての刀なんて持ったことがない俺は、不注意にも切っ先に指を滑らせた。


「うわわっ! やばいやばいやばい」


一瞬のうちに頭が真っ白になる。


「そうだ回復魔法があった! えっと、なんだっけ? 汝、傷を癒やせ、ヒール』ッ! 」


傷が治ることをイメージして唱えると、幹部がじんわりと温かくなり、傷が塞がった。


「おお、さすが魔法」


『ヒールのレベルが上がりました』


「おお〜」


一回使っただけで簡単にレベルが上がってしまった。


水魔法の時は、問題なく使えるようになった時にレベルが上がったから、それと同じと考えると、最低でも回復魔法が問題がない程度には使えるということだ。


予想だが、今後はレベルが上がりにくくなるんじゃないだろうか。



さて、そろそろ目を逸らしていた職業ロリコン(げんじつ)を直視しよう。


職業のレベルは未だに0だ。


職業というのは生きているだけで経験値が徐々に手に入ると女神(フレイ)に聞いたが、まあそうすぐに上がるものでもないだろう。


ロリコンのレベルを上げるのは気が進まないが、この世界で生きるためにはレベルを上げなければならない。


「よし、レベリングするか」


女神(フレイ)の話によると、初期のレベリングにはエキシピウムという草を刈るといいらしい。


なんでも魔物化した草で、危険を伴わずにレベルを上げることができるのだとか。


俺はエキシピウムを求めて木々の間を歩き始めた。



◇◇◇



森を歩くのは何時ぶりだろうか。


大学にいた頃は、山登りなどで森を歩くことがよくあったが、社会人になってからは一度も行ってない。


この森は起伏がほとんどなく歩きやすい上に、異世界に来たという高揚感もあって歩いていて疲れない。


まあ、高校時代――一番よく動いていた頃の身体というのが大きいだろうが。


「お、あったあった」


しばらく歩いているとエキシピウムを見つけた。


聞いていた通りクリスマスローズのような見た目だ。

それが半畳くらいの範囲に群生していた。


草を根元から刈り取っていく。


一つの群を刈り終えた。


まだレベルは上がらない。


次の群を探し、刈る。


女神の声(システムメッセージ)が響いた。


『ロリコンのレベルが上がりました』

『加護 《しすてむめっせーじ》を会得しました』


加護? ああ、加護ね。


女神(フレイ)に貰おうとして拒否られたやつだ。


加護持ちは特別な存在らしく、ズル否認神(フレイ)曰く、私の手であなたを特別にはできない、ということだそうだ。


それにしても加護か。


自分には縁のないものと思って諦めていたのに……


タイミング的にロリコンのレベルが上がったことによる報酬だろうか。


幸先いいな。よし、俄然やる気が出てきた。

明日の7時に第3話投稿予定です

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