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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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第15話「クエストを受ける」

翌朝。


(あしゃ)ですよ。起きてくだしゃい』


頭に響く幼女の声で目が覚めた。


システムメッセージ改め、しすてむめっせーじのモーニングコールである。


(確か夜明け前に設定したんだっけ)


野宿を覚悟していたから、活動開始は早い方がいいと言う事で設定したきり、そのままだった。


目を開けると、一瞬ここがどこだか分からなかったがすぐに宿ということを思い出した。


クロネはまだ俺の腕の中で眠っている。


起き上がろうとして、身体に痛みが走った。


寝返りを打てなかったからだろうか、足腰が痛み首を寝違えていた。


クロネを剥がすと、俺の胸のあたりがよだれで濡れていた。


通報した解説さん(第3話参照)なら泣いて喜びそうだが、俺はちょっとしか嬉しくない。


ウォッシュでさっと洗って、後は着たまま自然乾燥に任せる。


クロネとともにカウンターに行くとマインはもうすでに起きていた。


「あ、ハヤトさん。おはようございます」


「ああ、おはよう。朝早くから偉いな」


「そんなことはないですよ。朝ごはんどうします?」


「いや、まだいい。冒険者ギルドで依頼を確認した後に食べるよ」


「分かりました。いってらっしゃい」


外はまだ暗かった。


ギルドに着く。


依頼を確認するが、これと言っていい依頼がない。


「依頼をお探しですか?」


振り向くと昨日の受付嬢がいた。


「ああ、だがめぼしい物がないな」


「それはこちらのギルドが初心者向けだからですよ」


「どういうことだ?」


「それはですね――」


彼女は説明を始めた。


どうやら俺の転移した森――マナモシの森は土地の魔力が非常に薄く、魔物が滅多に湧かないらしい。


その影響で危険度の高い上級者向けクエストが発生せず、採取などの初心者向けしか残らないのだとか。


それで中級以上の冒険者は、街にあるもう一つの冒険者ギルドの方でクエストを受けるそうだ。


「そういえば、エキシピウムは魔物じゃないのか?」


「一部ではそう言われてますけど、あれは特殊植物の類ですよ。レベルアップが早くなるとされる薬草です」


特殊植物は治傷(ちしょう)薬、目覚まし薬、睡眠薬などの材料になる不思議な草のことだ。


薬効成分とかではなく魔法的な力で効果を引き起こすため、即効性があり効き目もすごい。


俺は、女神から聞いて魔物だと知っているから、断言している人を見るとちょっと苦笑いになってしまう。


魔力が薄いのはエキシピウムが蔓延っているからだと見当をつけている。


いたるところにあったからな、あれ。


「エキシピウムと言えば、エキシピウムを使った料理を出すお店があるそうですよ。」


それは、ちょっと気になるな。


女神(フレイ)から食べても経験値が入ると聞いたから齧ってみたが、とても料理にできそうな味じゃなかった。


あれを店に出すのか……


所謂ゲテモノという奴か。


「話が逸れましたけど、そんなわけでこちらのギルドは基本は初心者向けなんです」


「でも昨日の奴らは? ベテランなんだろ?」


「はい、森の北には山があって、強い魔物がいます。道中何度も野宿する必要があり、初心者向けではないのでクエストボードには貼っていません」


なるほどな。


俺はクエストボードの張り紙を眺めながら話を聞いていた。


強い魔物をいきなり倒して俺SUGEEEEE! をしてみたいものだが、俺の実力はこのロリコンどもめ! の加護を含めても、それほど高くないだろう。


ゴブリン一匹倒して動揺してしまうのだ、下手なことはしない方がいい。


そんなことを考えていると、クロネが俺の裾を引っ張った。


「ハヤ――ご主人様、あれなんてどうでしょうか」


俺はクロネが指したクエストを見る。


「なになに、――」


――――――――――――――――

森うさぎの肉求む

依頼者:肉屋

内容:森うさぎの納品。

報酬:一匹につき500エソ

状態によっては買い取らねえぞ!

――――――――――――――――


「おお、いいじゃないか」


報酬は普通だが、これなら生き物を殺す訓練にもなりそうだ。


「その依頼はお二人で受けるのはオススメしませんよ。森うさぎは人の気配を感じると逃げてしまうので」


「気配を隠すようなスキルを持っているといいのか?」


「はい。隠密スキルを持った方のみで捜索するか、五、六人で囲うと必ずどこかの間を抜けますから、うまくそこを捕らえるというやり方が普通です」


隠密スキルが有効ということは、うさぎが気配の隠蔽に長けているわけではなさそうだ。


なら俺の気配察知スキルが使えるな。


俺はこの依頼を受けることにした。


「何か見た目がわかる資料はないか?」


「少々お待ちください」


そう言って受付嬢は一枚の板を持ってきた。


板には布が貼ってあり、森うさぎの全体のイメージが中央に大きく描かれていて、足裏の絵や、口元や耳などの詳細がその周りに描かれている。


うーん、すぐには憶えられないな。


「マナモシの森にいるうさぎはすべて森うさぎですので、見つけ次第狩っていけばいいですよ」


なるほどそれなら問題ない。


俺は礼を言って、朝食を食べるため宿に戻った。

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