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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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第13話「鳥の照り焼き」

昨日、模試がありました。


国語やばい……幼女……

見送った後、マインが急いで戻ってきて食べられないものがないかの確認をされ、また足早に去っていった。


彼女はおっちょこちょいなようだ。


そして、二人分の料理が運ばれてきた。


今日のメニューは鳥の照り焼きとパン2個だった。


照り焼きの赤いツヤから立ち昇る、蒸気の混じったタレの香りが鼻腔をくすぐり、俺の腹の虫を刺激する。


さあ食べようと思ったが、


「クロネの椅子がないな」

「わたしは奴隷だから床に座るよ?」


うわー不衛生。この宿、ベッド以外土足だよ?


俺は机を移動させてベッドに座り、クロネに空いた椅子に座るよう言った。


「いいから椅子に座ってくれ。俺が落ち着かないんだ」


クロネは渋々といった風に椅子に座った。


「いただきます」


ナイフとフォークを使って照り焼きを食べ始めた。


うん、美味い。さすが照り焼きだ。


そしてパンに手を伸ばす。


「……」


照り焼きの興奮が沈静化した。


小麦くさくて苦くて、端的に言うとまずかった。


まあ世界的に見ても日本のパンは美味いらしいし、俺の舌が肥えているだけかもしれない。


現地人もまずいと思って食べているのだろうか。


そう思って現地人(クロネ)を見たが、料理に手をつけていなかった。


「あれ? クロネ、食べないの?」


「奴隷は主人の残した物を食べるんです」


ああ、やっぱりか。それはマインが俺の分の食事の話しかしない時点で薄々気づいていた。


「何のために二人分頼んだと思ってる」


「ハヤトお兄ちゃんが食べるんじゃないんですか?」


大食い(あれ)は嘘だよ! クロネにしっかり食べてもらうためのな」


まあ他にも理由はあるが、それは今関係ないことだ。


マインが、それはもう徹底してクロネがこの場にいないかのように話すから、奴隷のために料理を買うのが言い辛かったのだ。


「とにかく一緒に食べるぞ」


「はい」


俺は食事を再開し、クロネは食べ始めた。


俺はクロネの食べているところを見る。


ナイフとフォークが左右逆だが左利きなのかな?


いや、違う! そもそも持ち方が赤ちゃんの握り方だ!


「クロネ? もしかしてナイフとフォーク使えない?」


「……はい……」


クロネは赤くなって俯いた。


「仕方ないな、教えるよ。利き手はどっちだ?」


俺は食器を置き、彼女の後ろに回った。


「えっと、右です」


やっぱり右か。


俺はクロネの手を取り、丁寧にそれぞれの食器の持ち方を教えた。


そして彼女を抱くようにして彼女の手を動かし、一口食べさせる。


「どうだ? 美味いか?」


顔を覗き込もうとして、しかし、クロネは顔をそらした。


「……美味しい……です」


「そうか、それは良かった」


俺は彼女の手を放す。


「使い方は分かったか?」


彼女はぶんぶんと頷いた。


俺は席に戻り、食事を再開する。


食事をしながらクロネを見る。


ずっと俯いたままだったが、ナイフとフォークはちゃんと使えていた。


(それにしても……)


(ロクなものを食べて来なかったって聞いたから、こんな美味い照り焼き食べたら、泣いて喜ぶと思ったんだけどな)


(ああそうか、本当に泣きそうだから俯いているんだろうな)


俺はそう納得し、今度こそ自分の料理を平らげた。



◇◇◇



俺の日本で「飯食って風呂入って寝る」を欠かしたことがない。


湯船に浸からないことはあったが毎日身体を洗っていた。


食事を終えてさて風呂に、という気持ちになったところで初めて、「あれ? この世界の風呂事情ってどうなってんだろ」という疑問に至った。


異世界ものでは体を拭いていたっけ。


「すまん体を拭くための桶やタオルが欲しいんだけど」

「桶は無料で貸出していますよ。壊した場合はお金がかかりますけど」


タオルは買う必要があるということなので、金欠な俺は手ぶらで部屋に戻った。


「仕方ない。水魔法で洗うか」


水魔法はしっかり擦れないから不安が残るが、洗わないよりましだ。


しかし身体を洗うなら服を脱がないといけない。


幼女(クロネ)の前で脱ぐわけにも行かないから、トイレで身体を洗った。


『スキル《水魔法》のレベルが上がりまちた』



部屋に戻った。


「よーし体洗うから服脱げー」


「はーい」


「ウォッシュ」


クロネの身体を洗うのはあっさりとしていた。

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