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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
二章「ファマーチストの街」
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第12話「勘違い」

部屋に入るとベッドが一つと椅子が一脚と一本脚のテーブルが一卓あった。


「あれ? ベッドが一つしか無いぞ」


2人っていうのは見たらわかると思うんだけど、部屋を間違えたのかな?


ん? 2人?


まさか俺とこの子がソウイウ関係だと思われたのか?


俺は職業はロリコンだが、ロリコンじゃ無いし、イエスロリータノータッチを謳い、幼女性愛を弾糾していた男だぞ!


「(性癖を)間違えられたみたいだな。ちょっと(誤解を解きに)行ってくる」


「ううん、(この部屋で)間違ってないよ」


なんだと⁉︎ クロネも俺が三次元の幼女に手を出す悪いロリコンだと思っているのか⁉︎


もふもふはしたし、気を失っているときに服を脱がしたり着せたりしたが、俺は断じて――


あれ? 字面やばくない?


もしかして俺悪いロリコン?


背筋を冷や汗が伝う。


「わたしは床に寝るから、ハヤトお兄ちゃんがベッドを使ってね」


「え? 床?」


なんの話だっけ? ああ部屋が間違っていないって話だったな。俺が悪いロリコンってのが間違ってないって意味では無かったようだ。


俺は紳士だからな。


だからこそ床で寝るなんて許さない。


「いや、クロネがベッドで寝るんだ。俺が床で寝る」


「ハヤトお兄ちゃんを床で寝かせて、奴隷のわたしがベッドで寝るなんて絶対ダメです! わたしが床で寝ます」


む、意外と譲らないな。


「床は痛いだろ」


「石畳で寝ていた頃よりは寝やすいもん」


うーん困ったな。


「仕方ない。ベッドを二人で(﹅﹅﹅)分けて(﹅﹅﹅)使うか」


「それって一緒に寝るってこと?」


クロネが前屈みになって訊いてくる。


「いや、二人で(﹅﹅﹅)分けて(﹅﹅﹅)使う(﹅﹅)んだ」


間違ってはいけない。


「え、どう違うんですか? 一緒のお布団で寝るんですよね?」


ぐっ、手強い。


「それも違う。布団を共同で使うんだ」


「同じですよね?」


ぐぬぬ。なかなかの強者だな。


どう言おうか迷っているとクロネは俯いた。


「やっぱりわたしと一緒のお布団に入って一緒に寝るのは嫌だよね……」


(待て待て! そんな言い方されたら……)


「嫌なわけあるか。仕方ない、一緒に寝ようか」


(こう言うしかなくなるじゃないか!)


「――やった」


クロネは、ハヤトに見えないところで小さくガッツポーズをした。



◇◇◇



部屋が薄暗いなーと思って天井を見上げると、紐が垂れていたので引っ張ると、明かりが灯って部屋が明るくなった。


それから間もなくして、部屋の扉がノックされた。


やってきたのは宿の受付の女の子、マインだった。


彼女は部屋の入り口に立つやいなや頭を下げた。


「ごめんなさい! ご飯のことについて説明するのを忘れていました!」


「いや、今説明してくれるなら全然構わないよ」


お辞儀が可愛いから許す。


お辞儀が可愛くなかったとしたら?


その時は、彼女自身が可愛いから許す。


「ありがとうございます。今からご飯について説明したいと思います」


お、本格的に小学生のスピーチみたいだぞ。


「ご飯は宿代には含まれていなくて、うちで食べるなら別にお金を払う必要があります。うちは食堂もやっているから、そちらでも食べられますけど、宿の料理は、選べない代わりに食堂の同じメニューより安くなっています。また、宿や食堂の料理は食堂でも部屋でも食べられますが、部屋で食べるときには部屋までお運びします。どうぞ気軽に申しつけてください」


「分かりやすかったよ。ありがとう」


俺は拍手しそうになったのを寸でのところで踏みとどまり、言葉だけで小三――じゃなくて称賛した。


彼女は少しはにかんだ後言葉を続けた。


「今話したのが本来の話なんですけど、」


「うん?」


「ハヤトさんは特別に、値段は変わらないまま宿代に晩ご飯と朝ご飯の代金も入ることになりました」


「いや、なんでだ?」


「その……説明忘れで迷惑を掛けたから、罰としてハヤトさんのご飯代をわたしのお小遣いから出すことになったんです」


随分と厳しいお母さんみたいだな。


「そういうことか、納得した」


「それで、晩ご飯はどちらで食べられますか?」


「部屋まで持ってきてくれ」


「分かりました」


そして踵を返そうとする彼女を引き止めた。


「俺は大食いなんだ。お金は払うから同じのをもう一つ頼む。いくらだ?」


「50エソです」


俺は値段をしっかりと確認した。


そして50エソ払おうとして銅貨が1枚しか残っていないことに気づく。


「すまん、今銅貨の持ち合わせがなくてな。100エソ支払うから明日の朝のも二人分にしてくれ」


「分かりました」


俺は今度こそ彼女を見送った。

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