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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第132話「恐怖はこんなところでも」

※3/20 チンピラ達が衛兵に連れて行かれる場面を追加しました。

翌日、人が行き交う街中を、ハヤトたちは楽しく喋りながら歩いていた。


真ん中にハヤト、その左手を握っているのがクロネ、右手を握っているのがミズク、そしてククラは肩車されている状態だ。


そんな状態だからもちろんハヤトたちは周囲の注目を集めていた。


「お兄ちゃん、今日は何するんですか?」

「そうだなー、今持ってる水晶を売りに行った後は広場でパズルをしに来た子供たちと遊んで……夜はどこかのお店に食べに行こうか」


「お、お店なの?」

「そうだぞ、今までは人目のあるところでは一緒に食べられなかったろ? だから行くのはやめてたんだ」

「そうだったの、ありがとうハヤトにぃ」


ミズクの握る手に力がこもる。

お礼を言われるようなことはしてないんだけどな。


そんなことを話して歩いているうちは非常にいい気分だったのだが、


「よおハヤト」

「ガキに囲まれて楽しそうだな」


見知らぬ冒険者に声をかけられたとたん、一気に気分が悪くなった。


いや、囲まれはじめているのは気づいていたから、本当はもっと前から気分が悪くなり始めていた。


だからこそ人が少ない開けた場所にやってきたのだ。


「こんな人気のないところに来たのがオメェの末路だ!」

「なんだ、思ったより弱そうじゃねぇか」

「おい、ハヤト、死にたくなかったら持ってる水晶全部よこせや」


クロネとミズクはぎゅっと俺の腰にしがみつき、ククラも、首の締め付けがきつくなったことから怯えているのがわかる。


「大丈夫だ、俺は負けないから」


そう言ってみんなを安心させる。


「余裕だなァ!」

「そんなガキに囲まれた状態で何余裕こいてんだ!」


余裕か……まあ、確かに余裕だ。


俺が並の冒険者よりかなり強いことは気づいているんだ。


自分ではろくに稼げないから(たか)るだけのチンピラ冒険者なんて、簡単に相手取れる。


ん? 距離がある割には今にも攻撃しようとしてる気配があるな……


「へぇ、遠距離型の奴もいるのか」


そちらの方に障壁を張って、飛んでくる何かを防ぐ。


ハヤトが、障壁を初めて正しく使った瞬間だった。


飛んできたものは鉄の矢だった。


鉄の矢は障壁に当たって地面に落ちる。


「なっ⁉︎」

「不意打ちするならちゃんと気配を消しておくんだな」


そう言って俺に敵意を向ける気配全てに向かって水魔法を放つ。


手加減はしたが、どれも軽く十メートルは吹き飛んだ。


「な、見えてないところに⁉︎」

「あいつ全然弱くなんかねぇじゃねぇか!」


そう言って男たちは散り散りに逃げて行こうとする。


痛ぶる趣味はないから追撃はしないが、治安維持の意味でも然るべきところに突き出した方がいいか。


結界魔法を展開し、気配の分かっているチンピラ全ての手足を拘束してやる。


彼らは何が起こったか理解することができないまま、衛兵が来るまでその場に張り付く羽目になった。


その間も俺は、腰にきゅっと引っ付いているクロネたちの頭を撫でて安心させていた。


ククラが降ろしてほしいと言うからしゃがんで地面に下ろすと、そのまま三人の幼女にくっつかれた。


見回りに来た衛兵に事情を説明し、チンピラが連れて行かれるのを見送ったあとは、みんなが落ち着いた頃を見計らってギルマンに教えられた店へと水晶を売りに行く。


魔法道具店と書かれた看板や店構えはギルド公認だけあって結構しっかりしていて雰囲気もよかったのだが、


「おお、お前さんがハヤトかね。話はギルマンから聞いているよ、その周りの幼な子のこともねぇ、ヒヒッ」


鉤鼻で、いかにも悪い魔女といった風貌の婆さんが現れたことによって、クロネたちは悲鳴をあげて俺に飛びついてきた。


「ああ、やっぱり恐がられちまったかい、ヒヒヒッ。しかし奴隷と聞いたのは間違いだったのかねぇ」

「まあ、奴隷から解放したんだよ」


独特な笑い方をするこの婆さんがこの店の店主で腕のいい魔法道具職員らしい。


ギルマンには、初めて見ると驚くぞ、と言われたがまさにそのとおりだった。


「水晶を売りに来たんだが」

「ヒヒッ、見せてみな」


婆さんはそう言ってカウンターを叩いた。


ダンジョンパズルで手に入った水晶を二十個ほど並べると婆さんは頭を振り回し始めた。


「ど、どうした⁉︎」

「どうしたもこうしたも、驚いているんだよ!」


お、驚いたら頭を振り回すのか?


クロネたちがめちゃくちゃビビってるんだが……。


おかげで三方向からしがみつかれて動けない。


婆さんは頭を振り回すのをやめると水晶を手に持って観察し始めた。


「これは三級、これも五級、これは三級だね、で、こっちは四級……」

「何してるんだ?」

「何って鑑定だよ」


か、鑑定だって⁉︎ 転生物では主人公が結構な確率で持つことが多いあの鑑定⁉︎


もしかして俺たちのステータスを見られたりしているのだろうか。


だとしたら奴隷から解放したという嘘がばれてしまう。


そしてクロネたちが獣人ということも……


これやばいんじゃね?

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