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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第125話「絵の少女」

「(お兄さん、私を助けて!)」


貴族の屋敷のギャラリーで、絵に描かれた少女に助けを求められた。


彼女は周囲を気にしているのか声を潜めている。


「(ここにいると燃やされちゃうの!)」


その少女の様子は鬼気迫るものがあった。


「どうしたのじゃハヤト、そいつが何か言っているのか?」

「いや、動く絵なんて初めて見たから気になったんだ」


俺は咄嗟に嘘をついた。いや、実際見るのも初めてで気になって近づいたから嘘ではないな。


ただ、言いふらしていいことではなさそうだから、助けを求められたことは伏せておく。


「ああ、そうじゃな、生きた絵(リビングアート)は珍しいじゃろう。さ、早く応接室に向かうのじゃ」


ノーブルはそう言って急かす。


その行動に酷く違和感を覚えた。


今までギャラリーにあるものは何から何まで自慢話を聞かされていたのに、見るからに珍しい動く絵のことは自慢しないのだろうか。


水色の髪の少女が助けを求める原因にはノーブルが関わっていることがすぐに予想できた。


少女から詳しく話を聞きたいが、この場にずっといるわけにもいかない。下手に留まろうとして怪しまれるのは避けたほうがいいだろう。


「(お話は、また後でな)」

「待って!」


助けを求める声を置き去りにするのは忍びないが、この場は仕方がない。


燃やされるというワードが気になったから、触られても分からないよう絵にぴったりと合う結界を張って、一旦その場を離れた。


それから広くて窓からの景色の良い応接室に通され、ノーブルと話をする。


話し合いは三時間にも及んだ。


脱線が多く時間がかかったが、要するに彼に仕えないかという誘いだった。


旅を理由に断ったが、ノーブルは特に執着するでもなく何か面白いものを持っていたら譲ってくれと言われた。


ダンジョンウェイスト最下層で手に入った中に数字がある水晶を見せてみると食いつき、10000エソで買取された。


ノーブルとは応接室で別れ、従者に連れられて来た時に通ったギャラリーを通る。


「お兄さん!」


例の絵の近くに差し掛かった時に絵の中から声がかかった。


「すまない、絵の少女と話をさせてくれないか?」

「ええ、構いませんよ」


断られる警戒もしていたが、意外にも従者はすんなりと会話を認め、少し離れたところで待機した。


「お兄さん、戻ってきたんだ!」


絵の中の少女は表情を明るくする。


「また後で、と言ったろ? それで助けろっていうのはどういうことだ?」

「お兄さんってこの屋敷の人じゃないよね?」

「ああ。全くの無関係だ」

「なら良かった……。あのね、私をこの屋敷から盗み出してほしいの」


盗み出す……ね。


二次元だろうとロリはロリだから彼女を助けてやりたいのは山々だが、それだけで窃盗に手を出す気にはなれない。


「……なぜこの屋敷から出たいんだ?」

「ノーブルっていうおじさんがエッチなこと要求してくるの」

「……はい?」


まさか、あいつ幼女性愛者(悪いロリコン)だったのか?


もしかしてクロネたちに卑猥な目線を向けていたりしたのだろうか。


だとしたら一発殴ってやりたい。


「裸になれって命令されて、無視したら絵が燃やされて……凄く怖かった。それから毎日夜になると現れて裸を見せろ見せろって……」


ノーブル(あいつ)め、いい奴かと思ったら幼女の敵じゃないか。


うん、そんな奴から二次元少女を救うためなら盗んでも問題ないな。


幼女の敵はロリコンの敵、とも言うしな!


「よし、お前を助けてやる」

「え?」

「絵ごと盗み――助け出せばいいんだな?」

「うん、そうだけど……やっぱりいい。お兄さんに盗みをさせるのは気が引けるし、警備があるから無理だよ」


いざ自分の要求が通りそうになって不意に冷静になったのか、少女は及び腰になった。


「確かに厳しいかもしれないな。だが、時間をかければ難しいことではない」


気配察知というスキルは潜入などにも役立ちそうだと思っていたのだ。


結界を踏み台にすれば空から屋敷に侵入できるしな。


そんなことを考えていると、


『スキル《幻装魔法》を習得しまちた』

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