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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第124話「自慢の品」

待合室に現れたのは、小太りのおじさんだった。


ただ肥満かと言われればそうではなさそうな太り方だ。


「おっといきなり失礼した。ワシはこの屋敷の主人であるノーブルじゃ。ところでお主らは何をしておったのだ?」


「いや、従者の真似事を少しな」

「そうなんです、いつもの毒見ネタを披露して見せたところお返しをいただきまして」

「ほう、すぐにでも見たいと言いたいところじゃが、ワシが興を削いでしまったようじゃな。是非また後で見せておくれ」


それから改めて自己紹介をし合う。


ノーブルはカップにラベンダーティーを注がせ別で取り出した砂糖をドバドバ入れると立ったままそれを仰いだ。


「ふう、やっぱりラベンダーは落ち着くのぉ。どうじゃハヤト、この茶は気に入ったか?」

「ああ。ちょうど俺の好きな色でもあるしな」


「じゃろう? これは庭で育てているラベンダーなのじゃがな、南部の国から仕入れたものなんじゃよ。そこの特産品だったのをなんとか苗を譲ってもらって育てるのに詳しい専門の庭師も雇ってな。おかげで花の時期には絶景じゃよ。それによい匂いもするから妻にも好評でな。貴方もたまにはいいものを見つけて来るのねと言われた時には失礼なやつじゃと思ったわ。おっと、こんなとこで立ち話もなんじゃし、わしの自慢の品を紹介しながら部屋に行くとしよう」


突然ベラベラと喋りだしたと思ったらこれまた突然踵を返し、付いてくるように言った。


最初に会った従者の男が言っていたのはこれかと思いつつ、嫌な感じの貴族でない事に安堵する。


「そこの壺は、カタストロフによって滅びた事で有名な失われた(ロストポリス)の王族が使っていたものでな。不吉だと周りには言われているがワシは気にしとらん。気にしたら負けじゃと思っとる。だって滅亡した国の中心にあった壺じゃぞ、なんか凄そうだとは思わんか?」

「そうだな、その壺――」


「おうハヤトは分かってくれるか。やはり面白いものはいい。そこにあるヘンテコな像だがな。それは売れない芸術家がやけになって作ったものらしいのだが、なんか凄いじゃろう? 見ているとなんじゃこれは!と言いたくなったから買ったんじゃ。それでそこにあるのが――」


この貴族相槌をほとんど聞かず、マシンガンのように次々と言葉を放つな。


俺は話半分に聞きながら、ギャラリーに飾られた数々の美術品を眺めた。


思わず二度見してしまうような作品があったり、ツッコんでしまいそうになる話のおかげで長いギャラリーも退屈せず気づけば回廊を一周していた。


ん? 一周?


「おおっと、一周してしまったな。すまんワシの悪い癖じゃ、つい話す事に夢中になってしまう。少し口を噤んで二階に行くとしよう」


少し引き返して二階に上がるとそこにも色々なものが置いてあった。口を噤むと言ったにも関わらずノーブルはまたそれぞれにまつわる自慢話を始めた。


それぞれを眺めているとふと、一つの絵が目にとまった。


思わず三度見してしまったほどだ。


一回目は絵の右半分が焼けていたために驚いて見直し、二回目はそこ書かれた絵が動いていた気がして見直した。


それは気のせいではなく、絵に描かれた人物が本当に動いていた。


手を大きく振って飛び跳ねていたのだ。


自分の目を疑いながらも近寄ってみると、それは白いワンピースを着た水色の髪の少女だった。


「よかった、お兄さん気づいてくれた……」

「絵が動いているだと……?」


流石のハヤトも幼女がどうこうよりも驚きが勝った。


思わず食い入るように眺めてしまう。


水色髪の少女は大きな挙動によって上がった息を整えながら、ハヤトに対して突然お願いをしてきた。


「(お兄さん、私を助けて!)」

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