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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第120話「踏破発表」

こ、今回は予約投稿面倒くさがらずにやりきりましたよっ!←

ダンジョンから出た時には、太陽はそこそこ傾いていて、店じまいの早い店は片付けを始めているような時間帯だった。


出来るだけ急いで宿に帰り、金の鍵を使ってリティアの棲む迷宮の最奥エリアに入る。


ツリーハウスを訪ねてみるとリティアがまたパズルの上で寝ていた。


今更ながら不法侵入と思ったが、金の鍵は所謂合鍵みたいなものだと思っておくことにした。


「(リティア、寝てるみたいだな)」

「(ぐっすりなのです)」

「(起こす?)」

「(いや、辞めておこう。その代わり……)」


ハヤトはリティアを抱えあげると、結界魔法でマットレスを作り、そこに寝かせた。

そして毛布を持ってきて、彼女に掛ける。


「ふあ、んぅ……」


リティアはもぞもぞと動いたものの起きる様子はなく、そのまま寝続けた。


「(さて、今日はもう帰って、また明日来よう)」

「(はーい)」×3



ハヤトが去ってからしばらくして、


「——はっ、寝ちゃってた! ってあれリティア浮いてる? それに毛布がある……。(すんすん)あ、ハヤトの匂いがする〜」


その日の晩には、ダンジョンのツリーハウスで毛布に顔を埋めて深呼吸する妖精がいたとかいないとか。



◇◇◇



翌日、ダンジョン踏破の正式発表のためにギルドに向かう。道中街が賑やかで人の足が大体同じ方向を向いていたが何かあるのだろうか。


ギルドに着くとカカリがすぐにハヤトを見つけ、呼び止めた。


「あ、ハヤトさん、お早いですね」

「まあ、言われていた時間より早く来るのは当然だ」

「いやぁ、そうでもないんですよねぇ」


彼女の好意の目が煩いが、まあ、他の冒険者は普通に遅れてやってくるという話だろう。


「表彰ってどんな風に行われるんだ?」

「えっとですね、広場で発表するんですよ。来るまでに広場に向かう人たちを見ませんでしたか?」

「ああ、それでか」


その後待ち合わせの時間になってしばらくするとギルド長が奥から顔を出した。


「おう、ハヤトもう来てるのか。それじゃあ広場に向かうぞ」

「準備とかはないのか?」

「特にないな、踏破の発表をして、踏破した本人からそのダンジョンについて語るんだ」

「は? 聞いてないぞ」

「大丈夫だ、ほら」


ギルド長が差し出した紙を読んでみると、ダンジョンウェイストについてのまとめがなされていた。


それを読む限りダンジョンを踏破したのは俺一人とみなされているようだ。


実質その通りだし、もしクロネたちが踏破者だと知れたら、誘拐されて各階層に行くための道具にされる事態になる可能性が出てくる。


踏破者だと公表するのは俺だけでいいな。


ダイアリンクを通して三人に話すと皆素直に認めてくれた。


「大体それに沿って自由に話してくれればいい、何か他に情報があったら好きに追加して構わない」


「まあ、それなら構わないが……あのダンジョン、ソロ向けなのか」


ざっと目を通して気になったのがダンジョンウェイストはソロ向けという内容だった。


「ああ、ハヤトは他のダンジョンに行ってないんだったか。ウェイストは一度に出てくる魔物が少なく、魔物が小型のものしかいないんだ。だから大勢で行くより一人の方がやりやすいと判断した」


「まあ、確かにそうかもしれないな」


だってパズルは一人で解くものだからな。リティアもきっとそれを踏まえて魔物を選んだんだろう。


「よし、納得したなら広場に行くぞ」



広場にはちょっとした人だかりが出来ていた。


全体で二百人くらいの数だが、その三分の二を町人が占めていた。残りは冒険者が多く、ちらほらと正装を着込んでいる執事らしき男たちだ。


加護で視力も上がっているハヤトは、その男の胸に緑色のブローチが付いているのが分かった。


緑は、この世界では貴族や王族だけが身に纏うことを許されている色だ。つまりその男は、貴族の関係者であるということ。


「貴族の部下もいるからな、自分の有用性をうまくアピールできたら貴族に召されるかもしれないぜ」

「ほう」


裕福な暮らしというのは憧れないこともない。

ただ、面倒ごとが増えるようなら別にいいんだよな……。


それに貴族の下に就くことになるとしたら、自由に旅ができなくなるだろうから、それは避けたい。


「おらー、道を開けた開けた!」


ギルド長が群衆を退かせて作った道をついていくとお腹の高さくらいの台があった。


ギルド長はそこに飛び乗ると、ざわついている群衆の視線がそこに集まったのが分かった。


「おっす! みんな知ってると思うが、ギルド長のギルマンだ!」

「みんな知ってるぜー!」

「あんた誰だっけー!」

「相変わらずデケェな!」


へぇ、ギルド長ってそういう名前だったのか。ずっと聞きそびれていたが、ようやく知れたな。


「噂は広まってるだろうが、三日前にダンジョンウェイストが突破された!」


騒つきが大きくなる群衆。「マジかよ!」「あのウェイストが!」「FOOOOO!!」などの声が聞こえてくる。


観衆のテンション高くないか?


「長らく謎とされてきたウェイストを攻略した者は、なんとつい一ヶ月前にこの街に来た男だ!」


「男かよー!」「一ヶ月で攻略⁉︎」「物好きだが、すげえな!」「FOOOOO!!」


「じゃあ、さっさと出てきてもらおうか、カモン!」


あ、これが出て行くタイミングなのね。


台の上に登ると、群衆の目が集まったのが分かる。


緊張はしない。幼女でもない有象無象に緊張してやる必要はないだろう。


あ、幼女が何人かいるな。飛び跳ねて一生懸命人の間からこっちを見ようとしている子もいる。


かわいくて癒されるから、おかげで調子が上がってきたな。


よし、貴族は面倒くさいけど全力でやってやろう!


ちらりとギルド長改めギルマンの方を確認すると目配せされた。もう喋ってもいいようだ。


彼がくれたカンペには、まず何者か名乗るとあったな。


「俺がダンジョンウェイストを踏破したハヤトだ!」


「お、ゴリゴリじゃねぇぞ!」「むしろ優しげじゃないか?」「あいつが踏破したのか? 信じられん」「おい、お前あんな奴にやられたのか?」「すげぇ強い魔法使いなんだよ!」「「「ハヤトー!」」」「FOOOOO!!」


なんか前列から黄色い声が上がったと思ったらギルドの窓口の女性たちじゃないか。カカリさんも混ざっている。


とりあえず手を挙げて応えておくか。


「はじめに言っておく! ダンジョン・ウェイストの本来あるべき名はダンジョン・パズルだ!」


「やっとコンセプトが明らかになったのか!」「パズルってなんだ?」「FOOOOO!!」


「パズルというのは、ある一定のルールに基づいて一つの解を導く一人用の盤上遊戯だ。幾つかのパズルのルールを紹介するが、大人から子供まで皆楽しめる遊びだから冒険者以外もぜひ聞いて行ってくれ」


その後、ダンジョンの説明に入る。


ダンジョン・パズルでは、階層主の魔物の代わりに、階層パズルというパズルの難問が階段を出現させる鍵になっていることや、今までゴミと思われていた紙や布がパズルであったこと、魔物が小柄でソロ向けであることを述べ、最後に、


「ダンジョン・パズルでは水晶玉が手に入ることが分かった。この街の新たな特産品になり得るから、冒険者は踏破に勤しんで欲しい!」


俺も今朝知ったことだが、まるばつロジックをはじめとする特定の階層パズルに必要な球体が、実は水晶玉だった。


俺がサンプルとしてギルドに貸し出した十個の水晶玉はすべて買い取られ、ピンからキリまであったが合計で10000エソになった。


水晶玉が手に入ると聞いた人々は、思わぬ朗報に一層騒がしくなった。

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