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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第119話「ギルド長は娘との不仲が気になるご様子」

遅れてすいません!

新規で話作って保存した時、小説がありませんってなるのはとても面倒くさいです

翌日、ギルド長をダンジョンの最下層に連れて行き確認はあっさり終わった。


「なあハヤト、何体か魔物を倒すところを見せてくれないか? 魔物の強さも評価したい」


「依頼としてなら引き受けるぞ」

「まあ、当然だな1000エソでどうだ?」

「ああ、それでいい」


久々の収入だな。


ダンジョンウェイストからはパズル関係のアイテムしか出ないから収入が無かったのだ。


まずは二階層から、ということで二階層に転移する。


「魔物のところへは俺が案内するからついてきてくれ」


そう言ってギルド長は迷いなくダンジョンを歩き始めた。


「もしかして気配察知か?」

「そうだ、気配察知のレベル5だ、すげえだろ。それに俺は剣士のレベルがカンストしてる」

「カンストだって? 今レベルはいくらなんだ?」

「50だ。——っとあそこの角を曲がったとこに魔物がいるぞ。ここの階層は木偶人形だったか?」

「ああ」


少し前からハヤトも気がついていた。


「依頼しといてなんだが、まずは俺に倒させてくれ」

「引退したんじゃないのか?」

「なあに、低級くらいなら倒せるさ」


ギルド長はそう言うとハヤトたちの前に出て角から出てきた木偶人形と対峙した。


剣を振ってくる木偶人形の攻撃を余裕を持って交わすと同時に脚をすくった。


木偶人形が前傾になった時にはギルド長はすでに次の動きに入っていて、


「ふんっ」


次の瞬間には回し蹴りが炸裂し、背中を蹴られ床に叩きつけられた木偶人形が真っ二つに折れた。


「すげえな」


肉体的な強さにしてもそうだが、巨体の割にかなり素早く動きに無駄がない。


「驚いてるな。一番の武器である剣が使えなくなったために引退したが、低級の魔物ならこんなもんだ」


「すご〜い」

「凄いの」

「凄いのです」


「ありがとな嬢ちゃんたち」


三階層のスライムも、ギルド長は、サッカー選手がシュート練習をしているかのように容易く倒していた。


このギルド長、ユニフォームが似合いそうだな。


八階層あたりからギルド長は引っこみ、そこから俺が倒すことになった。


「そういえばハヤト」

「なんだ?」

「お前、何のために奴隷を連れているんだ?」


「……」


「荷物も多いわけじゃないし、別に必要ないと思うんだが」


一番の理由はクロネたちと一緒にいたいからだが、奴隷に対してそんなことを言うのはおかしいから言えない。


やむを得ない理由として、幼女がいないとパワーダウンしてしまうことが挙げられるがそれも理由に使えないよな……


「……彼女たちを一人にしておくのが心配でな」


よし、これなら問題ないはずだ。


嘘は言ってないがこう言えば、目を離すと勝手をするという風に取ってもらえるだろう。


「そうか、奴隷想いなんだな」


「え⁉︎」


何でそっちに取った? 世間の奴隷に対する考えからしてそう取られることはないと思ったんだが……


「気づいてないなら言っておくが、あんたかなりそこの奴隷に好かれてるぞ。気配察知はマイナスな感情を感じ取ることができるんだが、本来察知しにくいはずの好意がハヤトに向かってるのが感じられるんだ」


気づいてないことはないが「かなり」というレベルで好かれていたのか。


それにしてもそんなことまで分かるとは、気配察知が凄いのか、クロネの好意が凄いのか分からないな。


「身なりも綺麗だし、清潔だ。とても一冒険者の奴隷とは思えない」


そこまで疑問を抱かれているのか。


ならもう問題ない範囲でバラしてしまおう。


「俺の故郷の言葉にな、『女の子に優しく』ってのがあるんだ。それを実践しているだけだ」

「へぇ、それでわざわざ買ったのか」

「いや、拾った」

「小さい子供の世話は大変だろうに」


ギルド長はため息を吐いた。

その言葉には疲れが感じられた。


「あんた、子供がいるのか?」

「ああ、十一歳の娘なんだが生意気でな。しょっちゅう喧嘩するんだ」


ほう幼い女の子とな?


「怒鳴ったりしてるんじゃないか?」

「しょっちゅうさ。嫌われているようなんだが……どうしたらいいだろう」


「おいおい、俺に聞くのか?」


それは、子供を育てたことがない俺に聞くのか、という意味だったのだが、ギルド長は別の意味に捉えたようで、


「なぁ、嬢ちゃんたち、お前たちはどうしてこいつのことが好きなんだ?」


と、奴隷もいるのにそんなことを尋ねた。

おいおい、いきなり好きな理由とか聞くか普通。


「ええっと、かっこいいし、優しいし、強いし、撫でてくれるし、一緒にいるとほっとするし……その、『お兄ちゃん』って感じです」


「おおう、次から次へと出てくるな」


スラスラと答えるクロネにギルド長は苦笑していた。俺も少し恥ずかしい。


「お兄ちゃんって思われてるみたいだぞ」

「ああ、俺も妹のように思ってる。ちょっと似てるだろ?」

「確かに同じ黒髪黒目で兄妹に見えないこともないな。だが獣人だろ?」

「特に気にしてない」


むしろ可愛いと思うくらいだ。

というか帽子をかぶっているのによく獣人だと分かったな。

そういえば気配察知でそこらへんの違いはわかるんだった。


実力主義を謳う冒険者だからギルド長も特に何も言わなかった。


「マスターはね、魔力がおいしーの!」

「まあ、偶人だもんな。他の理由は?」

「うーんと、抱きつくとね、安心するの!」


「あんたは?」

「ご主人は、その、他の人と違うから……じゃないの。強いのに偉そうじゃない……からでもないの。ご、ごめんなさい一番好きな理由がどれかわからないの」


ミズクは悲しそうになっていた。


「どうだ、参考になったか?」

「……ならん。娘には優しくしてるつもりなんだがなぁ」

「でも怒鳴っているんだろう?」

「それは必要だからな、あんただって怒鳴ったりするだろ」


「マスターは怒鳴らないよー」

「お兄——ご主人様は、失敗しても、次は気をつけようなって撫でてくれるんです」


「そんな緩い教育でいいのか?」


「まあ、それじゃダメなやつもいるだろうが、怒鳴るってことは恐喝と変わらないだろ? 特に子供は大声をあげられたら怖いって感じるだろ」


「確かに」


「そういった恐怖ってのは、反発心とか嫌悪に変わりやすいから俺はなるべくしないようにしている」


「な、なるほど。参考になった」


俺より年上で役職も目上の人であるはずなんだがなぜか俺が説教をするような形になっていた。ギルド長、そんなに娘との不仲が気になっていたのか。


幼女に嫌われたくないという気持ちはよく分かる。もしかして彼も同志(ロリコン)なのだろうか。


ま、結婚してる時点で違うか。


その後ほぼ丸一日使って魔物の調査は終わり、明日正式にダンジョン踏破を讃える式が行われることになった。

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