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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
六章「王都フォトーシス」
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第116話「豚に真珠、ハヤトに……」

翌日、のんびりと朝食を食べた後、ギルドにダンジョンを突破した旨を伝えに行く。


「ええええええええ⁉︎ ウェイストを踏破した⁉︎」


窓口の童顔のお姉さんが大きな声を上げた。


「おい、声が大きい」


「すみません、にわかには信じがたいですね……」


「別に信じてもらう必要はない。それじゃあ、報告に来ただけだからもう行く」


別にダンジョンが踏破できたからどうだとかは思っていない。


嘘だ本当だなんて言い合っているくらいなら俺はリティアのもとに尋ねて、みんなで遊びたい。


ダンジョンを踏破すれば富と名声が手に入ると言われているが、少女との交流の機会の方がずっと価値がある。


ハヤトが踵を返そうとすると、窓口の童顔のお姉さんは「ちょ、ちょっと待ってください!」とカウンターに身を乗り出した。


「今から調査に行きます!」

「今から? お前が?」

「ええ、確認だけなら私にもできますから。あとお前じゃないです、カカリです」

「初めて知った」


カカリは驚いたようなショックを受けたような顔をしていた。


「そういえば初めて名乗ったような……」


まあ、窓口の人が名乗る必要ってないよな。


彼女は別の職員に窓口を頼むと、何か言われながら急ぎ足でカウンターから出てきた。


「窓口の代役を頼む時、何を言われていたんだ?」


ウェイストに向かう途中、雑談がてら聞いてみる。


「あ、いえ、『抜け駆けする気か』と言われました」

「抜け駆け?」

「ええ、ハヤトさん実は職員の女性から人気が高いんですよ」

「なんでまた」

「そりゃあ、他の冒険者みたいに怒鳴ったりしないし、あっさりしていてクールですし」


クール? ただ淡々としているだけだと思うが。


「だよね、カッコイイよね!」


俺と手を繋いで歩いているククラがカカリに同調する。


クロネとミズクは奴隷だから、主人の後ろだ。


「それに他の冒険者は体臭が凄いんですよ。ハヤトさんは臭いどころかイイにおいがしますからね」


「そりゃどうも」


そりゃ幼女に嫌われたく無いから身なりは整えているしな。


ロリ整然の効果は加護の所持者にも一応及ぶようで、服でも聖水をかけただけで洗剤の匂いがする。


「ククラもお兄ちゃんの匂い好きー」

『わたしも好きです!』『ミズクも好きなの!』


そうかそうか、それは嬉しいな。

お礼にククラの頭を撫でてやる。


「〜♪」

『二人にはこの人がいなくなってからな』

『はいっ♪』『はいなの♪』


今まではこういうときクロネたちに声をかけてやることが出来なくて歯がゆい思いをしていたが、ダイアリンクがあるとそれも解決する。


使い方が間違ってる? こういう使い方もあるというだけのことだ。


「ふふふ、かわいいですね。私は操者であることも魅力の一つだと思います」

「なんでまた?」

「だって操者でありながら冒険者やってるんですよ。ドールが冒険者殺しって言われているのは知っていますか?」

「ん? 知らないな」


そんな呼び名は人魔大全に乗っていなかった。


「ドールは魔力を吸うので魔法使いの冒険者は魔法を使えなくなるし、必ず利き手に指輪が現れるので剣を握る邪魔になってしまうじゃないですか。だから剣士にせよ魔法使いにせよ冒険者を辞めざるをえないんです」


「へぇ、あまり気にしたことはなかったが」


「そこがかっこいいんですよね〜」


俺はそろそろ気づいた。


この女(カカリ)は俺に好意を抱いていてアピールしてきているのだ。


やたらと視線を送ってくるし、距離も近い。


「ねぇハヤトさん、今夜一緒に食事でもどうですか?」


まあ、カカリは美人だし笑顔もかわいいから、食事に誘われることは素直に嬉しい。


「だが断る」


あくまでも他の同年代の女性と比べてという話であって、幼女(クロネ)たちの可愛さには到底及ばない。


食事自体は悪くない話だが、奴隷であるためにクロネとミズクがゆっくり食べられないのはいただけない。


「り、理由を聞いても?」

「先約があってな」


リティアとの遊ぶ約束があるのだ。

嘘は言ってない。


「そうですか、ではまた今度誘いますね」


多分そのときも先約があるだろうな……リティアとの約束は毎日行くことだから。


話をしているうちにウェイストに着いた。


今のウェイストは、前より来る人が多くなっている。


俺が次々と踏破しているから興味を持つ輩が出てきたのだ。


それでもまだ空いているウェイストに入ると、


「二人の奴隷に、偶人(ドール)。へへへ、テメェがハヤトだな」


ガラの悪い男たちが下卑た笑い声をあげながら出迎えてくれた。

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