第9話「冒険者になる」☆
※4/29アサートスクリーンを画像に差し替えました
※6/19文字でのステータス表示を追加しました。
「二人分頼む」
「はーい」
俺は代筆で小遣い稼ぎをしている子供に仕事を頼んだ。
名前と戦闘型、得意スキルを任意で申告する。種族がないのは、差別をしないというギルドの方針によるものだそうだ。
「へぇー魔法が二つ使えるんだー。それも片方は回復魔法……」
「珍しいのか?」
「それはもう」
ほー、やはり俺のスキル選択は間違っていなかったようだな。
次はクロネの方だ。
「えーっと名前はクロネ。戦闘型は特になしで、得意スキルも特にありません」
あれ? やっぱり秘密にするのか。
「はあ、さすが。戦わない人は荷物運びか治療士になるけど、この場合荷物運びだね」
さすがとは随分皮肉だな。亜人差別は子供にまで染み付いているのか。
しかし俺の奴隷と分かっているので仕事はちゃんとするようだ。
ちらりとクロネを見ると首を傾げていた。
皮肉が分かってないみたいだ。
子供にお金を色貨を4枚渡してカウンターに向かう。
受付のお姉さんに紙を渡した。
「ギルド証の発行はすぐにできます。赤青緑の三種類からギルド証の色をお選びください」
色貨と同じ色合いか。
「えーっと、俺は青で。クロネはどうする?」
「青でお願いします」
「了解しました。少々お待ちください」
そしてしばらく待ち、ギルド証を受け取った。
ギルド証の見た目は八角形のコインだった。
中央に何かのマークが描かれている。
それからすることは、クロネを奴隷にする時とまったく同じだった。
血を紋章に押し付け――
「「契約」」
コインの紋章が光り、形が変わった。
「これで登録は完了しました。ギルド証に触れながら、情報を見ようと念じてみてください」
いわれたとおりにすると、ブオンとステータスに似た表示がコインの上に現れた。
――――――――――――――――
ハヤト rnk.0
役:近接型、治療士
スキル:
《ヒールlv.3》《水魔法lv.2》
――――――――――――――――
「今現れたのがアサートスクリーン、または、アサートと呼ばれるものです。誰にでも見ることができますが、ギルド証本来の持ち主にしか出すことができません」
なんとなく見る角度を変えてみるがるが、どこから見ても俺に正面を向けた状態だった。
クロネのアサートスクリーンを見てみると、そちらも正面が俺に向いている。
――――――――――――――――
クロネ rnk.0
役:荷物運び
スキル:なし
――――――――――――――――
「お気づきかもしれませんがアサートスクリーンは見ているすべての人に正面を向けます」
俺が首を動かすのを見て、くすりと笑ったお姉さんがそう説明する。
やばい、超恥ずかしい。
「ランクについての説明は要りますか?」
「ああ、頼む」
「ランクは0~5まであり、実力があると順に上がっていきます。そしてランクが上がると受けられるクエストの数が多くなり、見返りもよくなります」
「ランクはどうやったら上がる?」
「ランクは実力に応じて勝手に上がります。スキルのレベルと同じですね」
「なるほど、よくわかった」
少しイメージしていたのと違ったが概ね問題はない。
「次に、ギルド金融について説明します。これは簡単に言えばギルドにお金を預けておくということです。引き出しの際はアサートスクリーンの定時にて本人確認を行うので偽造は不可能です。また、このサービスは冒険者ギルド以外でも使え、例えば商人ギルドなどでお金を引き出すことができます。」
「なるほど」
「一度に大量に引き出そうとすると、引き出しを拒否されることがあるのでご注意ください。何か質問はありますか?」
「大量にってのは具体的にどれくらいだ?」
「現地ギルドによります。現金が不足している場合がありますから。高額を引き出したい時は商人ギルドを訪れると良いですよ」
「わかった。ありがとう。そういえば、安くて防犯がしっかりできる宿で、どこか良いところはあるか?」
「そうですね、血の牙獣宮亭がおすすめですよ。料理も美味しいと評判ですし」
物騒な名前だな。何か意味があるのだろうか……
「わかりました、そこに行ってみます」
「あ、これを宿の人に渡してください。値段が半額になります」
俺は手紙を受け取ると、受付のお姉さんにお礼を言って、クロネを連れてギルドの出口に向かった。
感想・ご意見・誤字脱字などなど随時受け付け中!
気軽に書き込んで行ってください!
できる限りコメント返します
ブックマークもお願いします!