第111話「てんむす」
ハヤトたちはパズル部屋の台座を囲んで目の前のパズルのルールについて考えていた。
「何か法則っぽいのを思い付いたら教えてくれ」
「はいはーい、溝を繋げるんだと思うー!」
いきなりククラが案を出してくれる。
「お、いいぞ、そういうのだ。多分ククラは正解だろう」
「いぇーい!」
まだ正解と決まったわけでもないが、パネルの溝が他の用途で使われているところが想像できない。
溝を繋いで行くというのは間違いないだろう。
「溝を繋いで輪っかを作るとかそういうのだろうか」
ありそうだ、と思ったことをそのまま口に出す。
「でも、お兄ちゃん。窪みの外にある色のついた石はなんなのでしょうか」
クロネが鋭い指摘をする。
ああ、確かにそれもあったな。
「飾りかなぁ?」
「いや、パズルは盤上のもの全てがヒントなんだ。だから多分この石にも意味があるはずだ」
「うーん、石から溝がスタートするとかなの?」
「それだ、ミズク!」
となると、これは同じ色の石同士を溝で繋ぐパズルなんじゃないか?
ということを三人に伝えると、
「違う色どうし、ということはないですか?」
「ああ、それもあるけど、どっちに続くか分からないからな……。同じ色同士でつないでみて解けなかったらそうしてみよう」
それから紙の上でパズルを解き、それぞれの集めるパネルの数を割り出した。
パネルを集めてきて試してみると、やはり同じ色同士で繋ぐというルールで良かったようで、ガラガラと台座が崩れ、宝箱が姿を見せた。
またパズルの描かれた布が入っているんだろうな、と思って宝箱を開けると、一見ビー玉に見える宝石のような物が入っていた。
青色のものが二つと、緑色のものが二つ。
パズルの盤に嵌っていた物とよく似ている。
用途は分からないが、ちょうど四つあるから一人一つずつ持つことにした。
それから新たな層をしばらく探索しする。
六階層の魔物もナメクジ、蛇、蛙の三つ巴で、落としたのは五階層で手に入る物と同じパネルだった。
「六階層もてんむすロジックですね!」
「そうみたいだな」
ちなみにてんむすロジックというのは、今回の石同士を溝で結ぶパズルのことを、俺が「点結びロジック」と呼んでいると、クロネたちもそう呼び始め、略された名称だ。
パズルにハマりかけているクロネは、楽しそうにしていた。
ミズクとククラも三日間で三種のパズルを見て、徐々にだが興味を持ち始めていた。
帰りに見つけた、普通の宝箱から出現したパズルをやってみたいと言い出したのだ。
宿に帰ったら紙に写してみんなでやろうと話しながら地上へと戻った。
余談だが、てんむすてんむすと言われ、俺は海老が食べたくなった。
未だに見たことはないが、この世界にもいるのだろうか。
次は海を臨むような街に行ってみてもいいかもしれない。
だが、それはこのダンジョンを完全攻略してからだ。
このダンジョンは、ある程度のパズルのルールを知っている俺が他の冒険者よりも優位に立てるダンジョンなのだ。
このチャンスを逃しはしない。
「よし、明日もパズルのダンジョンに行くぞ!」
「はい!」「なの」「はーい!」
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