第107話「ウェイスト・ダンジョン」
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翌朝、まずは冒険者ギルドでダンジョンについて教えてもらった。
それによると、ダンジョンのまだ一度も突破されていない階層は、不定期に内部構造をガラリと変える。
これは気分屋な妖精の性格が表れているのだとか言われているが、真偽は分からない。
そして、階層が分かれていて、地上から地下へ行くほどに出てくる魔物が強くなっていくようだ。
階層の数は攻略されたアースで三十。それ以外は分かっていない。
各階層の入り口に転移の魔法陣があり、自力でたどり着いたことのある階層へは好きに転移できる。
次に、ウェイストの情報だが……
未だ一階層も突破されていないらしい。
魔物が強いわけではなく、次階層へ続く階段がないのだそうだ。
他のダンジョンは、階層主と呼ばれる強い魔物を倒せば次階層へ続く階段が現れるのだが、ウェイストには階層主がいないらしい。
話を聞く限りとんだ欠陥ダンジョンだ。でも、百聞は一見に如かずとも言うし、とりあえず行ってみることにした。
◇◇◇
不定期に構造が変わるといっても数日で変わるものではないから、マッピングするための紙と、この世界で最もポピュラーな筆記用具であるクレヨンを買ってからウェイストに行く。
そこは、ルーに聞いていた通り人が全くいなかった。
隔離された公園のような場所にポツンと石で作られたダンジョンの入り口があるだけで、周囲に人影はない。
「本当に人気無いんだねー」
「閑古鳥が鳴くとはこのことだな」
ダンジョン周辺はもっと活発なイメージがあったのだが……ウェイストだけだと信じよう。
「まあ、とりあえず入るか」
ハヤトたちは、落胆気味に、ダンジョンの入り口である地下への階段を下った。
階段を下ると、幅二メートルくらいの通路があった。壁も床も、四角くカットされた岩によって組まれている。
また、光源が無いにも関わらずダンジョン内は暗くなかった。
そこからクロネにマッピングを頼んだ。
やはり空間把握があるクロネに任せるのが一番いいと思うんだ。
「お兄ちゃんのために頑張ります!」
少し進むと左右に分かれ道があり、俺は迷わず右を選んで進んだ。
「お兄ちゃん、道分かるのですか?」
「いや、分からん。ただ、分かれ道は必ず右を選ぶようにすれば帰りは左を選べば迷わないだろ? それに、考える時間を省ける」
「なるほど!」
それから三十分ほど歩いた時のことだ。
四方五メートルくらいの開けた空間があり、その中央に宝箱が置かれていた。
中にはハンドボールサイズの立方体が十個入っていた。
その立方体は、一つの面に四角い窪みがあり、その反対の面に四角い出っ張りがある。これは同じものを積み重ねるための凹凸か?
よくわからないが一応もらっておくことにする。
その後、何度か魔物と交戦した。
この階層の魔物はクロネたちでも簡単に倒せるような小さなゴーレムだったのだが、倒すと宝箱にあったものと同じ立方体を何個か残して砂に帰した。
一体何に使うものなのだろうか。
二つ目に見つけた宝箱の中身が立方体だった時点で集めるのはやめた。
そしてまたしばらく進んでいると、雰囲気の違う部屋に出た。
宝箱のある部屋に似ているが、分厚い扉があり少し広い。また、部屋の四隅から中心に向かって青く光る線が伸びていて、線の交点には岩の台座があった。
見ると、何やら穴ががボコボコ開いていた。
宝箱から見つかった立方体の出っ張りがちょうど嵌るような窪みだ。
窪みの数は25個。5×5で正方形になっている。
また、台座の淵には幾つか数字が振られていた。
ハヤトはピンと来た。
「これ、ビルディングパズルじゃないか?」
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