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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
五章「サムーラトの村」
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第95話「gdgdな朝」

寝坊しました

遅れてすみません……

鳥のさえずりが聞こえ、うっすらと意識が覚醒する。


あれ? 身体が重い?


何かがのしかかっているような……。


目を開けて胸の上を見てみると、可愛らしい猫耳があった。


クロネが、俺の上でうつ伏せになって寝ていた。


ヤバイ、幸せすぎるぞこの状況。


って、あれ? クロネは昨日ジャンケンで負けてなかったか?


寝相が悪くても、さすがにミズクを越えて俺の上に上ってくることはないだろうから、みんなが眠りについた後、移動したのだろう。


まったく……


「クロネは甘えたさんだなぁ」


自然と頬が緩む。


だが、


「下手に動けないな」


左にはククラ、上にはクロネ、右にはミズク。


ククラは、俺の腕を枕にしながら四肢を遊ばせて眠っているし、ミズクは、俺の腕を抱きながら、やはりスキル 《待機》を習得するだけあって気配が消えるほど静かに眠っている。


この状況でどうして動けようか、いや、動けまい。


いや、動きたくない。


とまあ、冗談はさておき、本当にどう動いたらいいのだろうか。


左腕を自由にするのが一番簡単そうだから、ククラの頭の下からゆっくりと腕を抜いた。


しかしここで手詰まりになった。


ミズクの抱いている右腕を自由にしようにも、クロネが上に乗っている状態では優しく腕を解くことができない。


やむをえずクロネを起こすことにした。


上を向いている頬をしばらくつついていると、クロネが目を覚ました。


「あ……おはようございます……」

「おはよう、クロネ」


クロネは、しまった、と言う顔をして俺の上から退いた。


ミズクの腕を解いた後、気まずそうに立っているクロネを椅子に座らせ、褒めてやる。


「クロネは頭が柔らかいんだな」


クロネの顔が、頭上に疑問符が出そうな表情になった。


「左右がだめなら上に行こうと思ったんだろ?」


「え、いや……はい……ごめんなさい……」


「なんで謝るんだ?」


「昨日はお兄ちゃんと一緒に寝たらダメな日だったのに、一緒に寝たから、ごめんなさい」


ジャンケンで負けたからって、別にダメってことはないだろう。あくまでも左右を取り合うジャンケンなんだから。


まあ、そこらへんはミズクとククラがどう思うかだな。


「俺は別に悪いことだとは思わない。ルール決めにも無かっただろうしな。でも、二人にはちゃんと話したほうがいいと思うぞ」


「はい」


ミズクとククラを起こし、クロネに話をさせた。


すると、


「クロネすごい! ククラ、上なんて思いつかなかった!」

「発想の勝利なの」


二人はクロネを責めたりすることはなく、むしろ尊敬の眼差しでクロネを見ている。


悪いことをしたとばかり思っていた本人は、きょとんとしていた。


「でも、上で寝るのはやめておいたほうがいいの」


ミズクがそんなことを言う。


「なんで〜? ククラも上で寝たいのに〜」


そうだぞ、ミズク。俺だって上で寝てもらいたいのに!


「そ、その……ハヤトにぃに迷惑が掛かるの!」


ミズクは、慌てて理由を付けたようだった。


「俺は、別に迷惑じゃないぞ」


「ハ、ハヤトにぃは優しいからそう言ってるだけだけど、本当は迷惑してるの!」


おい、ミズク、俺の気持ちをでっち上げるんじゃ無い!


しかし、ここを訂正しに行くと、上で寝て欲しいと思っているのがばれそうだな。


どう話を持って行こうかと思っていると、ククラが、


「ねぇ、上で寝ていいかはマスターが決めることだよ?」


ナイスだククラ!


「でも……」


ミズクは不服そうな顔をしている。


「確かにそうですね、ハヤトお兄ちゃんに決めてもらいましょう!」


そこでクロネが、俺が決めるように話を持ってきてくれた。


「俺は、別に構わないぞ。三人とも羽のように軽いから、寝苦しくもないしな」


そう言うとミズクが苦い顔になった。


うーん、やっぱりミズクは嫌そうだな。


「まあ、嫌ならいいんだが」


「い、嫌じゃないの! ……でも、ミズクは恥ずかしくてムリなの!」


気がつけばミズクの顔は赤くなっていた。


まあ、そろそろ誰かにべったりではなくなる年頃だろうからな。


「ククラは、恥ずかしくないよ?」

「クロネも、はずかしくないのです」


いつもガンガン引っ付いてくる二人は、まだそういう兆しは見られないが。


まあ、この二人については、生い立ちによるものもあるだろう。


「そう言えば、マスター!」


不意にククラがドヤ顔で振り向いた。


いいこと思いついた!って言う顔だな。


「なんだ?」


「ククラも閃いたよ! ククラはお兄ちゃんの下で寝る!」


「「ぶふっ!」」


何を言い出すんだこの幼女は。


いや、冷静に考えればククラがいかがわしい意味で言っているはずはないんだ。


そう、問題なのは、俺の思考回路の方だ。


それと、ミズクも吹き出していたから同罪かもしれないな。


梟人は少数種族だから、一族繁栄の為に早くからソウイウ教育を受けていても不思議ではない。


「な、何を言ってるの、ククラ! そういうのはまだ早——」


ミズクがハッとした顔になった。


あ、今ソウイウ意味に限られた話ではないことに気がついたっぽい。


しかしミズクは、俺のようにそっち方面の思考に陥ったことを恥じる様子はなく、安堵の表情を浮かべただけだった。


「でも、ハヤトにぃの下ってどうやって寝るの? ククラだと下敷きになっちゃうの」


「ううん、マスターは優しいから、軽くなってくれるよ!」


「いや、さすがにムリだよ!」


思わず反論してしまった。

軽くなる、ってなんだ。あるかわからないが、重力魔法でも使えというのか。


「うーん、じゃあマスターの枕になる! マスターのマクラー!」


駄洒落はさておき、なんていう提案をしてくれるんだ。


だが、幼女を守る騎士(ロリコン)が幼女を枕にしていいのだろうか。


俺の中で、欲望と騎士(ロリコン)たる矜持が火花を散らしている。


すると、ククラはベッドに対して横向きになって寝転がった。


「マスター! ここに頭を乗せて!」


そう言って自分のお腹の上を指す。


……はぁ、仕方ないな(﹅﹅﹅﹅﹅)


俺はククラの言うことに従った。


後頭部にククラのお腹の感触が伝わる。


と、ククラの小さな指が俺の頬を両側から押し込んで掴んだ。


「マスター何か喋ってー」


「ほよおよほふよおよ」


「きゃはは! 何言ってるかわかんなーい」


「ほい……」


楽しそうだなククラ。

俺は口を摘まれて情けない顔になっているだろうが、それは気にしない。気にしても仕方がない。


「クロネ〜! お腹に振動が伝わってきて面白いよ!」

「わたしもやります!」


クロネがククラと交代し、俺の後頭部にお腹を滑り込ませてくる。


そして、また、俺の口が掴まれた。


完全に幼女のおもちゃにされてるな。


よかろう、本望だ。


「ふおふおふおふおふお」


「ほんとです! 面白いです!」


「でしょー?」


その後、ミズクまでやりたがって、結局朝ご飯を食べられたのは二時頃(およそ午前九時頃)だった。

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