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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
一章「異世界」
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第1話「女神」

この小説は作者が「ゲームのジョブがロリコンだったら」という思いつきがもとになっています。


失踪はしないように努めて努力して頑張ります


感想、ご意見、誤字脱字の指摘等なんでも受け付けていますので、気軽にコメントください!


※9/23 一部修正と魔法の詠唱を追加しました。

第1話「女神」



◇◇◇



気がつくと知らない部屋にいた。


しかしパニックになることもなく心は落ち着いていた。


ああ、俺は死んだんだな。


その事が理解でき、不思議と受け入れられていたのだ。


部屋の広さは八畳くらい。壁も床も天井も、自らが発光していると錯覚してしまうほど白いが、不思議と眩しくはない。


そんな不思議な空間で、俺は白い椅子に座っていた。


(ここは何処だろうか)


もしかして死後の世界というやつか……なんて事を考えているとふとこちらを見る目に気がついた。


いつからいたのだろうか、目の前には輝くばかりのブロンドの髪を背中まで伸ばした絶世の美女がいた。


俺は息を飲んだ。


ゆったりとした白の貫頭衣は、飾り気がなく地味にも思えるが、その野暮ったさが服から伸びる細い四肢をとても繊細で上品なものとして引き立てている。


また髪と服、金と白の対比は薄明光線のように神秘と天を支配する力を顕示していた。



と、その唇が動く。


「初めまして、私は女神フレイ。大鷹隼人さん、不幸な事故でしたね、お悔やみ申し上げます」


鈴のような声が響いた。


「死んだ原因は憶えていますか?」


「確かバイクで夜道を走っていたとき、猫が飛び出してきて……」


記憶を辿るとその時の情景がはっきりと思い出せた。


暗い住宅街。度々横を通り過ぎる街灯の光。突如飛び出してきた白い猫。一瞬だったのに、とてもゆっくりに感じた。


「轢かないようにハンドルを切って、その勢いで宙に放り出されて……」


そこまで言った時に、いつの間にか距離が近くなっていた美女が、人差し指の腹で俺の唇に軽く触れた。


「そこまででいいですよ」


そう言われて俺は、安堵の息を漏らした。


これ以上思い出すのはイヤだ。


「それにしても珍しいですね。自我を保った魂がここに来るのはどれくらい久しぶりでしょうか」


女神は久しぶりに人と話したと言って、上機嫌で色々と教えてくれた。




人は死ぬと魂が体から離れ、初期化された後に別の肉体に宿って新たな生を受ける。しかし時々初期化されず自我を持ったままのものがいる。


俺はまさにその存在であるようだ。


その存在は言わば特異点で、変化が滞った世界の凝りをほぐすことができること。


俺の存在は、世界に新たなる変化をもたらす、っていうとカッコいいね。


「あなたの行く世界の名はイロエリスよ」


イロエリスと言う世界は地球のある世界と違って平ららしい。

また、一日が少し長かったり一年がちょっと短かったりという話も聞いた。


あとゲームみたいにステータスがあって、ジョブやスキルなんかも存在するらしい。


過去にも俺みたいな自我を持ったままの奴がイロエリスに行って、その時には鍛冶というジョブが新たに加わって金属の加工ができるようになったらしい。


ってそれ産業革命!



◇◇◇



俺はこれからのことを考え始めた。


「そういえばチート能力って貰えるんですかね?」


たまに読むラノベやネット小説の話を思い出しながら聞いてみる。


「チート能力? そんなのあげるわけないじゃない。ズルはだめよズルは」


えー、せっかくの異世界なのに……


「そんな残念な顔しないでよ。分かったわ。ズルじゃない範囲であなたの望みを叶えてあげる。私にとっても、あなたにすぐ死なれるわけにもいかないし」


よしきた!


「じゃあこの姿のまま向こうに行くことってできます?」


俺は、いきなり赤ん坊スタートの異世界転生より前世の姿のままで異世界転生する方が好みだったりする。


「それは可能よ。なんなら少し若返らせてあげるわ。ただその服はただのイメージだから向こうの服を用意しとくわね」


「ちょっとした路銀なんかは……」


「まあ、ないと不便ね。あなた死ぬ前にいくら持ってた?」


「えーっと、5000円弱くらいかと」


「じゃあ銀貨4枚、銅貨9枚、色貨10枚で500エソね」


銀貨五枚じゃない庶民感。


いや、正直ありがたい。


イロエリスの通貨の単位はエソ。1エソ≒10円で、貨幣十枚で次に高価な貨幣と等価になる。


銀貨の上には金貨、白金貨、翠金貨(ミスリル製)と続く。


一覧にするとこんな感じだ。


色貨———1エソ

銅貨———10エソ

銀貨———100エソ

金貨———1,000エソ

白金貨——10,000エソ

翠金貨——100,000エソ(百万円相当)


色貨は半透明の色のついた貨幣で、赤青緑と三種類あったりする。


「色貨の組み合わせは?」


「じゃあ赤3、青4、緑3で」


女神フレイは分かったわ、と言って微笑んだ。


「他には何か望みはある?」


「魔法スキル全部!」


呆れられた。なんでだ、魔法はロマンじゃないか。


結局スキルは二つまでということになった。


ここでふと冷静になった俺は、水を生み出せる水魔法のスキルと怪我を治せる回復魔法のスキルをもらうことにした。


鑑定とかアイテムボックスとか欲しかったが、命あっての物種ということでそこに落ち着いたのだ。


まあスキルは運と努力次第で手に入るみたいだし頑張ってみるか。


「スキルがあるとは言ってもいきなり魔法を使うのは難しいでしょうから、基本的な詠唱を教えておきます。水魔法は『来たれ清き流れ、ウォーター』、回復魔法……ハヤトさんに与えるのはヒールという魔法ですが、『汝、傷を癒やせ、ヒール』と唱えればスキルが使えるわ」


その後なんとかジョブを魔法使いにすることを約束してもらった。本物の魔法使いだ。


そしてとうとう転移の時間が来た。


「それじゃあ向こうに着いたらステータスを確認してみてね」



そう言って手を振る女神フレイに手を振り返し、俺は白い光に包まれた。

今回は2話連続で投稿します

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