別視点
「あーー!やっと終わったぜ。」
5時間くらい立ちっぱなしで疲れたわ。
さあ、帰ろ帰ろ。
「お疲れぃ!鈴。」
「お疲れ。」
「さあ!今からカラオケでも…」
「さあ、帰ろう!」
俺は素早く部室から出た。
それを直樹が追いかける。
「おっと!にがさねぇ。」
「なんだよ。」
「行こうよ!せっかくの休みだぜぇ?行かなきゃもったいないぞ?」
直樹が凄く説得してる。惨めだ。
「行きましょうよ、水瀬先輩。」
佐伯が言った。
って言うか、お前も行くのかよ。
「そうだよ〜紫羽ちゃんが言ってるんだからさあ…。」
「名前で呼ぶのやめてください。キモいです。」
それは俺も思ったぞ。キモい。
と言うかみんななんでそんな乗り気なんだ?
疲れてたりしないのか?
「これは行くしかないっすよ、先輩。」
「お、鳳まで…。」
…。
仕方がない。
「…行くか。」
「よし!そうと決まれば出発だ!」
「レッツゴー!」
たまにはこういうのもいいな…。
なんて思ったりしないからな。
ノリだよ。ノリ。
そう思いながら渋々ついていく俺であった…。
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「あ"〜!のどがガラガラだぜ。」
「直樹歌いすぎなんだよ。」
しかも地味うまいし。
それに比べて…
「佐伯はド下手だったな。」
「なっ…!ひ、酷いです!鳳先輩!個人差だってあるんですよ‼︎」
「佐伯はいいところ一つもないなあ…。」
「なっ…。」
酷いな。鳳。
そしてショックすぎて固まってる佐伯。
なんとも言えない光景だ。
「んじゃ!今日はここで解散!俺と鈴はこっちだから、ここで!じゃな!」
「今日は有難うございました!」
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《佐伯and鳳》
人通りが少ない住宅地。佐伯と鳳は二人で歩いていた。
「なんだよ、元気ないじゃん。」
「…。」
「どうしたんだよ。」
「…だって、先輩がいいところ一つもないって言うから。」
佐伯は泣きそうだ。
(あーこれヤバイかも。)
「おいそんな凹むなって。嘘に決まってんだろ。」
「……鳳先輩のばか。」
「……………。あー!もう!俺が悪かったよ!許してくれ。」
「じゃあ、頼みごと聞いてください。」
「なんだよ、言ってみろ。」
「…それは…。」
佐伯は俯いた。
口をパクパクと動かしている。
「…え?なんつった?」
「〜〜!なんでもないです!ほっといてください!」
「はあ!?なんだよ、お前から言ったんだろうが。」
「もう!先輩は乙女の心が分かってないですね!」
「お前の場合『乙女』じゃなくて『少女』だろ。」
「うるさいです!口にティッシュ詰め込みますよ!」
夕日が二人の影を見守った。