三人の盗賊は地獄でも変わらない
荒れ果てた大地には牢屋とそれを監視するための建物があるぐらいである。地獄に落ちたものはいずれ黒い影のようなものになってしまう。偽神はそれを「鬼」と呼び牢屋の見回りなどをやらされている。
しかし中には「鬼」にならない者もいる。自己意識を保っていたもので神に自身の財産を取られることを拒否した者たちだ。
そんなうちの彼ら三人はたまたま出会った。皆が生前盗みを働いていたということもあるだろう。石川五右衛門、鼠小僧、ジャック・シェパードこの三人である。ジャックが牢屋を脱獄に成功したところに鼠小僧がちょうど連れてこられ、ジャックは助けてやったのである。本人はのちに、
「私が出るのに邪魔だった。それだけだ。」
と言っていたが。そしてそこに五右衛門がお宝目当てに登場し三人がこれから行動を共にしていくのである。ここには何もないとわかると早速次の獲物を探しにいこうとする。
牢屋を出るとおびただしい数の鬼達がいた。
「逃げるのは無理そうですね。ですが残念ながら私は脱獄と盗み以外にこれといって特技はないのです。」
ニコリと笑いながらジャックは言う。それに対し、
「ふん、ここは俺様に任しとけ。鼠ちゃんにも無理だろうよ。よーく聞け、鬼ども。俺様は天下一の大泥棒石川五右衛門様だ。」
そう大声で名乗ってから、背負っていた釜を取り出す。それを敵の方へと投げた。中にはアツアツの油が入っておりどんどんと鬼は倒れ消えていく。
「鼠ちゃん言うな。あたいだって戦えるんだ。いけー。」
掛け声とともに大量の鼠が服の裾からどんどんと出てくる。鼠達は鬼に群がると次々と食い殺していた。負けてられんとばかりに五右衛門も刀を抜いて油降りしきる中を突っ込んでいく。しばらくし全滅させ終える。
「まったくなんと汚らしい戦い方なのでしょう。もっと優雅に美しく戦えないものですか。」
と一切戦闘に加わっていないジャックは言う。