希望の光
跳ねる馬車、揺れる船。
その中でいろいろと考えていたが、どうしても納得のいかないものを感じていた。
なぜ、わたしはその事を知らなかったのか。
その“枯れない花”という噂も、もとを辿ればわたしの故郷から始まったそうだ。
なのにわたしは、つい最近知ったばかりなのである。
その噂はずっと昔から言われていたそうで、その街で生まれ育ったわたしは知っていてもおかしくはないはずなのだ。
町の人が、その話をしていれば。
「ああ。そうか」
町の人が、その話を信じなかったから、わたしみたいな子供までその噂は届かなかったのだろう。
その結論をだすと、ようやくわたしは納得できた。と同時に、なぜか昔のことを強く思い出してしまった。
気付いたときから親はいない。自慢できないことをたくさんやらかして、とりあえず生きているような感じだった。
そんな古臭い思い出を掘り返していくうちに、いつの間にか出来たばかりの新しい思い出も、頭の中に浮かんでくる。
旅立ったときの情けない顔。情報が一切とれなかった日の不安な表情。信じているものを信じてもらえなかった悔しさ。分かり合えた喜び。手掛かりが見つかったときの嬉しさ。
旅に出てからもう六日になるが、そんな指を折り曲げて数えられるほど短い間にいろんな思いがわたしの中に浮かんでは消えていく。
そんなことを考えていると、決して楽しいわけではないのにフフッと笑い声が漏れてしまう。
こんなふうに、素直に笑えられたのは何年ぶりだろうか。
目の前にあるのは、小さな花の蕾。
その蕾を優しく撫でながら、少年は言った。
「希望の光が、墜ちた」
優しく撫でていた手は、少し震えて、止まった。
枯れない花を咲かせよう
キミとボクとのさだめ運命のように
キミとボクとが忘れぬように




