友情の光
歩くことに、疲れてしまった。
馬車から降りてからは、ずっと歩いてばかりだった。
それでも、しっかりと人に訊くことは忘れない。
「すいません」
わたしが話しかけた男性は、少し迷惑そうな顔をして、応えてくれた。
「なんですか?」
「あ、少し訊きたいことがあったのっで。“枯れない花”について、何か知りませんか?」
すると、男性は一瞬驚いた顔になると、突然笑い出す。
「ハッハッハッ……。キミは本当にそんな花があると思っているのかい?」
「……そうですけど」
わたしがそう答えると、男性は急に笑いを止めて、睨むようにわたしを見る。
「大人をあまりからかわない方がいい」
「!」
「ふざけていないのだったら、頭がおかしいんじゃないか?病院に行くことをオススメするよ」
見下すような視線。わたしはどうしようもなく悔しくてなにか言い返そうとしたけれど、
「わたしは―――」
「そんな花、あるわけないじゃないか」
「―――」
結局、なにも言い返せなかった。
「枯れない花なんて、あるわけないだろう。それは誰かが考えたフィクション物語……架空のものだ。ありもしないものを求めて旅をしているなんて、バカげてる。そんな気狂いしたようなヤツとはこれ以上会話をしたくはないな」
一方的に会話を終わらせると、男性はわたしに背を向けて歩きだした。
その背に、わたしは。
わたしは。
「―――わたしは!」
一瞬、男性の足が止まる。しかし、それだけだった。振り返ろうともせずに、また歩き出す。
「わたしは信じているんです!誰も信じていなくても。みんながわたしをバカにしても!世界中どこを探しても、信じている人がわたしだけだったとしても!!」
見えなくなった背中に向かって、叫ぶ。誰も聞いていなかったとしても、誰も聞く気がなかったとしても。
そして、
「わたしは…ずっと……信じているんだ……」
呟いた言葉は雫となって、頬を滑り下りて、溶けた。
月明かりが辺りを照らしていた。
そして、次の瞬間それよりも強い光が辺りに轟く。
「友情の光が、墜ちた」
少年は悲しそうな目のまま、光の消えるときを見つめていた。
枯れない花を、咲かせよう
キミとボクとの信じる道に
キミとボクとが触れ合うように




