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Uranus 第六特命巡視捜査隊  作者: サロ
第1章:静かに壊れる夜
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第4話 優しい顔の先輩

「お待たせしましたっ」


地下駐車場までダッシュしてきたせいで、

肺が焼ける。


出入口の防火扉、ガチで重いしさ。


でも初日早々遅刻は……


ゼーハー言ってる耳元に、

すっと足音が寄ってくる。


「そんなに急がなくてもよかったのに。

17時半まで、まだ1分あるし……


脚、速いんだね」


……アレ?


怒られない??


お昼の新人説明会、

あんなに怖かったのに――!?



視界の隅に黒いスニーカーが映る。


顔を上げると、

差し出された右手。


「今日から1年間、

新人教育も兼ねるけど……


あなたとバディになる

毘乃木 沙与です。


よろしく」


髪をサイドテールにまとめた、

小柄で柔らかい雰囲気の先輩。


……別人じゃん。


(昼と、違いすぎる――同じ人、だよね?)



いけない、アタシも挨拶しなきゃ。


「アメリカから4月1日付で

転属・配属になりました、


廣目 瑛梨です。


ご指導よろしくお願いします!」


会釈して、手を握る。


紫の瞳がふっと緩んだ。


「歳近いし、

分からないこと気軽に聞いてね」


「じゃ、車行こっか」


「はい……!」




橙色のバインダーを抱えた後ろ姿に続く。


ネイビーブルーの車列。


……これ全部、

緊急車両(パトカー)なんだよね。


「ピアス外してきたの?」


「え?」


「普段はしてるのかなって。


その耳の感じ、

塞がってるように見えないし」


一拍。


「……あ、でも入庁式はアウトか」


「え……いやっ、あの」


(そこまで見てんのっ!?)



「ウチの隊、おおらかだから大丈夫だよ。


それに普通にしてくれてた方が、

密行業務には好都合だし」


「へぇ〜……そうなんですね」


「うん」


その瞬間。


目の奥だけ、

ふっと温度が変わった。



「真剣に仕事してくれれば、ね」



(この人――)


(優しい顔で、ちゃんと怖い)


(でも……嫌じゃない)



「次からしてきなよ!


あ、大事なこと忘れてた」


ふと、視線がこちらに向く。



「廣目ってルムチルドレン――特殊個体で、

間違いないよね?」


その目は、

最初から“分かっている”ものだった。


(……やっぱり)


(同じ側の人だ)


「ちなみに、どんなタイプなんですか?」


「私?耳だけど。


廣目は?」


「目です、目!」



(とは言っても……


動体視力がいいくらいのもので)


(最近だし、開花したの)


(……ていうか今、

普通に呼び捨てだったよね?)




毘乃木先輩は小さく頷く。


「なるほど。資料通り」


そう言って、

一台の車の前で立ち止まった。


コン、と軽く車体を叩く。


「はい、到着」


振り返る。


「この子が、私とあなたの相棒――特視603号車」


一拍。


「1年間乗るから――


事故らないでね?」


――その一言は、


まるで冗談に聞こえなかった。

次回は初任務編です…

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