第1章9「会社員が辞めない理由~準備だけで勝つ男~」
全面的に自己責任でお願いします。
第9話
「図書館という最適解」
図書館の静けさは、優守にとって理想だった。
人は多いが、誰も他人を気にしない。
「……読むだけでいいなら……ここが、最強だな……」
最初に向かったのは、速読関連の棚。
(まずは、これだ。今日1日で読めるだけ読みたいからな。)
視線移動、情報圧縮、脳内処理。
一冊、二冊と立て続けに読み終えた瞬間。
《読了を確認》
《スキル:速読 Lv1 → Lv2》
「……っ……(よし!)」
次に開いた本。
文字が、塊として頭に入ってくる。
行を追っていない。
意味だけが、直接流れ込む。
「……読む、じゃないな……“処理”してる……」
時間感覚が明らかに違う。
一時間で、以前の何倍もの本が読めている。
(よしよし!いい感じだ。)
次は、記憶力に関する専門書。
短期・長期記憶、定着理論。
《スキル取得:永久記憶》
「……忘れない、か……」
(俺もそろそろ歳だからな。正直ありがたい。)
読書型には圧倒的に相性がいい。
続いて、ダイエット関連。
筋肉、代謝、有酸素。
糖尿病対策の栄養管理書。
血糖値、食事設計、長期コントロール。
(……ジムに行く予定だしな……これ、必須だよな……)
料理レシピ本も数冊。
簡単調理、時短、栄養重視。
《料理 Lv1 → Lv2》
「……あ……(うんうん。100レシピ以上は頭に入れたからな。)」
写真を見ただけで、
手順が同時に浮かぶ。
材料の代替案や失敗しやすいポイント。
これで、生活が確実に底上げされる。
次は、地理。
地図帳、地理学入門。
《スキル取得:地図作成》
《効果:脳内GPS》
「……もう、迷うことはないな……」
語学コーナー。
基礎文法、会話集。
《スキル取得:言語理解 Lv1》
《多くの言語を学べばレベルが上がり、5を越えるとネイティブ並みに学んだ全ての言葉を話す事ができる》
意味が“分かる”。
話せるわけじゃないが、十分だ。
ネット・コンピューター関連書籍。
AI、仮想環境、情報処理。
《スキル取得:思考補助AI構築》
「……これは、後で使おう……」
次に手を伸ばしたのは、
ビジネス書の中でも、やや異質な棚。
――人を見る本。
評価、分析、能力把握。
《読了を確認》
《スキル取得:鑑定》
「……っ……」
近くの利用者を見る。
――ぼんやりと、情報の輪郭が浮かぶ。
年齢層、体力、集中力、特徴、関心、嘘。
(……数値じゃないが……嘘まで見えるのは、やばいな……)
だが、人を見誤らない力。
「……目立たず生きるなら……必須だな……」
次は、交渉術。
心理、譲歩、落としどころ。
《スキル取得:交渉術》
「……今までの経験が……整理された……」
続いて、社交術。
距離感、会話、空気。
《スキル取得:社交術》
(……無理に明るくなる必要はないが、それなりに社交性はありがたい……)
社交性は、自然に周囲に溶け込み、相手を不快にさせない力だ。
次は、株・競馬・パチスロ雑誌。
確率、期待値、資金管理、税金。
《スキル取得:ギャンブラー》
(……これは……なかなかだ……周りに気づかれず、少量ずつ資金を増やすには有りだ。税金さえきちんと払えば問題ない。)
占いコーナー。
怪しい本から、本格派まで読み漁る。
《スキル取得:占い》
おまじない本各種。
《スキル取得:呪術》
最後に、運をつかむ系の本。
《スキル取得:豪運》
「……選択肢の引きが、良くなる……か……」
気づけば、閉館時間だった。
「……読みすぎたな……」
だが、頭の中は異様なほど静かだ。
――戦うためじゃない
――生き残るための知識
――健康、生活、人間関係
――そして、運すら管理する
「……まさに、チートだな……」
図書館を出る頃、空は暗かった。
優守の中で――
成長方針は、はっきりと形になっていた。
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




