第二章1 使い始めるための現実解
全面的に自己責任でお願いします。
第二章1【読書してチート目指します。~本でスキルゲット!?チートですがなにか?~】
第2章 第1話「開業届という、ただの紙」
平日の昼休み、区役所のロビーは静かだった。
騒がしいわけでもなく、活気があるわけでもない。
ただ、人がいて、書類があって、番号が呼ばれているだけの空間。
俺はベンチに座り、膝の上に置いたクリアファイルを開いた。
中に入っているのは、印刷した一枚の紙。
個人事業の開業届。
たったそれだけだ。
名前、住所、職業。
どれもすでに何度も書いてきた項目ばかりで、特別なことは何もない。
屋号――
『本堂サポート事務所』
これが、彼――有守が考えた屋号であった。
(ネーミングセンスとかは、あれやけど、そのまんまが一番分かりやすいやろ)
職業欄には「情報サービス業」と書いた。
これも特別な意味はない。
説明できる範囲で、いちばん無難な言葉を選んだだけだ。
番号が呼ばれ、窓口へ向かう。
職員は書類に軽く目を通し、淡々と処理を進める。
「不備はありませんね」
それだけだった。
質問もなければ、励ましもない。
拍子抜けするほど、あっさりしている。
控えを受け取り、窓口を離れる。
外に出ると、昼の光が眩しかった。
世界は何も変わっていない。
通行人はスマホを見て歩き、車は信号で止まり、コンビニの前には人が並んでいる。
――個人事業主になった。
そう言葉にすると、少しだけ実感が湧く。
「とりあえず、先生方に電話入れておこう」
有守はスマホを取り出し、
税理士、会計士、弁護士の先生方に電話をかけ、
無事に個人事業主の手続きを終えたことを報告した。
家に戻り、いつもの机に座る。
パソコンを立ち上げ、ブラウザを開く。
調べ物を始めると、自然にスキルが働く。
情報が早く、正確に集まる。
海外の資料も、規約文も、引っかかることなく頭に入ってくる。
……やっぱり変だとは思う。
けど、もう前ほど驚かなくなった。
慣れた、ということなのだろう。
「驚くから、不思議な感覚になるんかな……」
独り言が、自然に口をついて出た。
「まぁ、便利やし。助かるからええけど」
こうして、一日は過ぎていった。
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




