第1章31「会社員が辞めない理由~準備だけで勝つ男~」
全面的に自己責任でお願いします。
第31話「退職、そして制度の確認」
退職届は、静かに受理された。
退職3ヶ月前にきちんと提出した。
引き留めも、説得もない。 事務的で、拍子抜けするほどあっさりしたやり取りだった。
(……終わったな)
会社員という肩書きは、今日で外れる。 だが、優守はすぐに次へ進まなかった。
◆◆◆
最初に向かったのは、ハローワークだった。
独立準備を始める前に、 制度を確認する必要がある。
(知らずに動くのが、一番危ない)
窓口で確認したのは、次の点だ。
・自己都合退職の場合の失業給付
・待機期間(7日)
・給付制限期間
・開業準備と給付の関係
・「開業」と見なされるタイミング
答えは、明確だった。
――退職後すぐには、給付は出ない。
――自己都合の場合、給付制限がある。
――開業届を出した時点で「就業扱い」になる。
つまり。
給付を受けるなら、先に受け切る。
開業届は、その後。
(やっぱり、順番だ)
準備は可能。 調査も、計画も、相談も問題ない。
だが、届を出した瞬間に立場が変わる。
優守は、その線をはっきり引いた。
◆◆◆
その足で、弁護士に連絡を入れる。
「正式に退職しました。次の段階に進みます」
弁護士の返答は短い。
「了解です。契約書雛形と、業務範囲の整理から始めましょう」
続いて、税理士と会計士。
・失業給付と開業時期の最適解
・開業初年度の収支設計
・青色申告開始のタイミング
・法人化を見据えた数字ライン
話は、もう「仮定」ではなかった。
(ここからは、準備じゃない。実行だ)
◆◆◆
夜。
ステータス画面を開く。
《職業:無職(求職中)》
《副業:翻訳・ECサイト運用》
《次段階:個人事業主(予定)》
不安は、ない。
資金はある。 知識も、相談先も揃っている。 制度も、理解した。
(焦る理由は、一つもない)
独立は、飛び込むものじゃない。 切り替えるものだ。
優守は、カレンダーに日付を書き込んだ。
・失業給付の受給開始
・制限期間の終了
・開業届提出予定日
すべて、予定通り。
退職は、終わりじゃない。 制度の内側で動き出すための、スタート地点だ。
優守は、静かに次のフェーズへ足を踏み出した。
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




