第1章15「会社員が辞めない理由~準備だけで勝つ男~」
全面的に自己責任でお願いします。
15【読書してチート目指します。~本でスキルゲット!?チートですがなにか?~】
第15話
「数字が語り始める」
生活が回り始めてから、しばらくが経った。
優守は、特別なことはしていない。
派手な挑戦も、無理な努力もない。
ただ――
決めたルーティンを、淡々と続けているだけだ。
◆◆◆
朝、体重計に乗る。
表示された数字を見て、ほんの少しだけ目を細めた。
「……減ってるな」
一か月で、三キロから五キロ。
ブレはあるが、確実に下がっている。
元は、百十五キロ。
今は、ゆっくりだが確実に落ちている。
(……目標は、七十五から八十……)
身長は百八十センチ。
目標のBMIは、二十五未満。
数字として見れば、まだ道のりは長い。
だが――
(……前は、“無理”だった)
今は、違う。
無理をしていない。
削っていない。
戻ってもいない。
続いている。
それだけで、十分だった。
◆◆◆
会社でも、変化はあった。
半年に一度、社内に貼り出される営業成績。
その前を通りかかったとき、優守は足を止めた。
(……あ、俺……)
順位は、中の上。
以前は、ずっと中の下だった。
突出もしないが、埋もれてもいない。
だが今は――
(……ちゃんと、上がってる)
派手な大型契約はない。
だが、小口を積み上げ、安定して数字を出している。
目立たないが、崩れない。
上司に呼ばれたときも、言われたのはそれだけだった。
「最近、なかなか安定してきたな」
褒めすぎでもない。
疑いもない。
“評価として、一番安全な言葉”。
(……これでいい)
◆◆◆
痩せた、と言われるほどではない。
スーツの腹回りが、ほんの少し楽になった程度。
顔つきが、わずかに締まった程度。
だが、身体は正直だ。
ジムでの動きは軽くなり、
階段で息が切れることも減った。
回復スキルも、過剰に使う必要がなくなっている。
(……土台が、でき始めてる)
チートは、数字を跳ね上げない。
だが、積み重ねを裏切らない。
生活。
健康。
仕事。
全部が、同じ方向を向いている。
◆◆◆
その夜。
データを整理しながら、優守は思う。
(……このままでいい)
急がない。
焦らない。
目立たない。
数字が、結果が、評価が、
勝手についてくる状態を作る。
それが、今の最適解だ。
「……悪くないな」
画面を閉じ、布団に入る。
体重も。
成績も。
人生も。
少しずつ、現実的な数値に戻り始めていた。
――変化は、もう始まっている。
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




