第1章13「会社員が辞めない理由~準備だけで勝つ男~」
全面的に自己責任でお願いします。
13【読書してチート目指します。~本でスキルゲット!?チートですがなにか?~】
第13話「身体を動かし、現実を回す」
次の日の朝。
優守は、少し早めに家を出た。
目的は、ジム用の服と水着だ。
向かったのは、駅から少し離れたアメリカンサイズを扱う店。
(……分かってたけどな……)
ジャージを手に取り、値札を見る。
(……高い。
普通の店に、俺のサイズ置いてないし……)
選択肢が少ないというだけで、値段は跳ね上がる。
だが、動くためには必要な出費だ。
ジャージ上下、水着、室内履き用のシューズ。
最低限を揃えて会計を済ませ、ジムへ向かうため車に乗り込んだ。
(……まずは身体だ。ここは削るところじゃない)
◆◆◆
ジムに到着し、車内で持ってきたスポーツバッグに買ってきたものを入れてから、車を降りる。
(バスタオルとタオル……よし。忘れ物はないな)
受付を済ませ、更衣室で着替える。
鏡に映る自分の体型に、ほんの一瞬だけ目を細めた。
(……はぁ……現実、だな。
子供の頃から、痩せてた記憶なんてないよな)
だが、逃げない。
誤魔化さない。
今回は、いける。
◆◆◆
トレーナーとのカウンセリング。
体重、体脂肪率、糖尿のこと。
昔から太っていたこと。
すべて正直に話した。
「では、最初は無理をしないメニューでいきましょう。腰や膝に負担のかからない内容にします。
このあとプールも利用されますよね? そちらを多めに組み込みます」
組まれたのは、軽めの筋トレと有酸素中心、プール比重高めのメニュー。
(……助かる)
◆◆◆
動き始めると、すぐに分かった。
息が上がる。
関節が重い。
(……やっぱり、落ちてるな……)
だが、途中から違和感が薄れていく。
身体の奥が、じんわりと温かい。
――回復。
ほんのわずか、疲労を取る程度。
無理に戻さない。
細胞や筋肉の壊れは、あえて癒さない。
自己修復しなければ、筋肉はつかないからだ。
ギリギリのラインを保つ。
(……これは、続けるためのスキルだな。
レベルが低かったら、こんな調整はできなかった)
◆◆◆
続いて、プールへ。
水に入った瞬間、身体が一気に軽くなる。
水中歩行。
軽いクロール。
平泳ぎ。
背泳ぎ。
呼吸を整えながら、淡々と続ける。
隣のレーンでは、年配の利用者が黙々と泳いでいた。
(……競争じゃない)
ここは、続ける場所だ。
◆◆◆
気づけば、昼を大きく過ぎていた。
近くの定食屋で、遅めの昼食をとる。
量は控えめ。
だが、しっかり満足感がある。
(……運動した後だから、ちゃんと身体が要求してくるな……)
◆◆◆
その足で向かったのは、パチンコ店。
(……休日だし、混んでるよな……)
案の定、店内は人が多い。
一パチは、ほぼ満席。
四円も空きはあるが、常に人が動いている。
(……想定内)
事前に絞っていた狙い台は、数台ある。
一台に固執しない。
条件が合い、空いた台に座るだけだ。
数分待ち、タイミングよく一台が空いた。
(……ここだ)
投入は一万円。
実際に回すのは、四千から五千円まで。
データだけを見る。
演出は、それなりに楽しむ。
しばらくして、流れが来た。
(……ここまでだな)
結果は、六万円弱。
十分だ。
即ヤメ。
追わない。
粘らない。
換金して、すぐ店を出る。
(……これでいい)
勝っても浮かれない。
負けても深追いしない。
“金策”として、それなりに楽しむ。
それだけだ。
◆◆◆
夕方。
家路につきながら、今日一日を振り返る。
運動。
回復。
現実的な金策。
派手な出来事はない。
だが、すべてが噛み合っている。
「……ちゃんと、回ってるな……」
――結局、使うのはこの身体だ。
身体が動けば、選択肢は増える。
チートは、近道じゃない。
続けるための補助輪だ。
優守は、静かに次の予定を思い描きながら、家へと帰った。
生活は、確実に前へ進んでいた。
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




