第24話 影王直撃 ― 王都決戦前夜
王都は静まり返っていた。
空には朝焼けが差し込み、
人々は戦いの余韻を感じながらも、
平穏を願って息を潜めていた。
しかし――
その平穏は、もろく崩れようとしていた。
◆
王城・玉座の間。
ラグナは机の上に広げた地図を睨む。
「影王が直接動く。
王都への侵攻は避けられない」
「直接……ですか?」
リアンは剣を握りしめ、額に汗を浮かべた。
「ああ」
ラグナは顔を上げ、鋭い目で二人を見つめる。
「影界七将は単独で討ち取ったが、
影王は別格だ。
おまえたちの絆だけでは太刀打ちできぬ可能性もある」
アイナは膝に手を置き、
核をそっと押さえた。
「……でも……私、怖くない」
その声は小さいが、確かな意志を帯びていた。
「リアンがいるから……」
リアンの胸が熱くなる。
(……そうだ。
俺たちは一緒にいる。
どんな絶望でも、二人なら超えられる)
ラグナは静かに頷いた。
「……ならば、今夜は決戦前夜だ。
体を休めろ。
明日、王都全体が戦場となる」
◆
城壁の上。
リアンは夕陽に照らされる王都を見下ろす。
「明日……本当に来るのか」
小さく呟く。
「来る……影王が」
ラグナが隣に立つ。
「奴の狙いは、アイナの核だ。
支柱であるおまえを倒せば、
核は不安定になる。
おまえたちの絆も狙われるだろう」
リアンは剣を握りしめ、
決意を固める。
「絶対に折れねぇ。
どんな手を使っても、俺はアイナを守る」
その言葉に、ラグナの目に一瞬の驚きが走る。
(……支柱という存在、
ただの補助ではなく、
“核を守る絶対の盾”か……)
◆
王城・巫女の間。
アイナは窓の外に目を向け、
深く息を吸った。
「……明日が最後の戦いになるかもしれない」
小さく呟く。
「でも……怖くない。
リアンがいるから……」
リアンは背後からそっと手を伸ばし、
アイナの肩に触れた。
「おまえが怖くないなら、俺も怖くねぇ。
絶対に二人で生き残る」
アイナは振り返り、微笑む。
「……うん。
明日は……リアンと一緒に、勝つ」
その笑顔に、
リアンの胸は力強く熱くなる。
◆
夜。
王都全体が闇に包まれる中、
影王の姿がゆっくりと浮かび上がった。
黒き鎧と翼のような影。
闇そのものを纏った存在。
「――光よ。
よくここまで来たな、光影巫女よ」
その声は、王城全体に響き渡る。
冷たく、絶望を孕む響き。
「――影王様……!」
アイナの瞳が強く光る。
「私は……私の意志で戦う」
その光に、リアンの支柱の光が重なる。
影王はゆっくりと手を掲げ、
暗黒の波動を王都全体に広げた。
「さあ……試練の最終章だ」
◆
リアンはアイナの手を握り締める。
「覚悟はできてるな?」
「うん……リアンと一緒なら」
二人の光が、
影王の闇に立ち向かうために強く輝いた。
王都決戦の火蓋は――
もう、切られたのだ。




