第六話
うぁぁぁぁ――――――!!話が思い浮かばない――――――!!
で、何で第二王子はいないんだよー!!
「本当に申し訳ございません。せっかく初めて来てくださったのに。」
「いえいえ。ヘレの使えるご主人様ですから、ヘレと私で探します。皆さんは忙しいでしょうし、お仕事に戻っていただいていいですよ。」
え、いやいやいや。流石にメイドさんたちも断るよね?だって自分たちの方がどこにいるか分かるもんね。得体のしれない人には流石に探させないよね?
「よろしいですか!有難うございます。何かございましたら、遠慮せずお声がけください。」
《おい。》
「いえいえ。」
マジかー。どこ探そう?
「兄さん。どこを探せばいいと思いますか?」
「表では、ゼラニウムと言ってください。ヘレ。」
「・・・で、どこを探せばいいと思いますか?」
ハァ――――
「私は、左から。ヘレは右から探しましょう。」
「了解しました。」
一緒に探さないの!?俺絶対迷子になるよ?
《歩きながら話すぞ。で、グラジオス様についてどれぐらい覚えている?》
《えーと。第二王子、11歳、男、性格が狂暴、表向きは炎魔術と氷魔術。裏は、プラスで精神操作魔術、俺の執事には反対、良く脱走するぐらいかな》
《じゃあ、この情報から推測される逃げやすい場所は?》
は!?
《分かるわけないじゃん。》
《・・・帰ったら教育し直しか。それが嫌だったらあと、15分で見つけてこい》
え。無理ゲーなんだけど。取り合えず魔術使いまくるか。
《了解しました!》
まじで急がないと。あれをもう一回は流石に死ぬ。
気候魔術【花妖精の調べ】
一瞬で見つかった。見つけたはいいけれど、どうやって話しかければいいんだろう?相手は、第二王子でしかも、自分のことを嫌ってるんでしょ。ま、ノリでなんとかなるか。というわけでいざ、花園へ
************************
というわけで今ここに至る。
「で、さっさと答えろ。」
「初めまして。第二王子、ルミナス・グラジオス様。私は、今回からあなた様の執事をさせて頂く、」
「いらん。今すぐ帰れ。どうせお前も、俺に取り入ろうとしているだけのただの貴族だろ。第一王子は傀儡に出来ないから、俺、第二王子の所に来たんだろ?」
なにこいつ。せっかくひとが自己紹介しようと思ってるのに、話を遮るわ、被害妄想を思い浮かべるわまったくもって腹立たしい。兄さん、敬語がだめなら鬼畜キャラで行けって言ってたな。この場合にぴったりだな。
「は?何言ってるんですか?この引きこもりの人が。俺に取り入ろうとしているただの貴族?あなたのような人に誰が取り入りますか。今すぐ帰れ?帰りませんよ。もう一度言います。何言ってるんですか?阿保だろ?あのな。確かに俺は、執事なんてやりたくねーよ。めんどいしな。でもな、自分勝手に自ら投げ出すほど腐ってもないんだよ。お前のその被害妄想を思い浮かべて引きこもってる俺様精神俺が教育して第一王子を超えるぐらい素晴らしい性格にかえやるよ。」
・・・言い過ぎた!ってか途中から俺本性出てるくなかった?ヤバ。コレ死刑かな?死刑には流石になりたくない!
フハハハハハ
「お前なんだ、面白いな!途中から敬語辞めるし、一人称変わるし、俺に偉そうな態度取るし。いいぜ。お前の提案乗ってやるぞ。面白そうだしな。ただし、途中で俺から逃げるなよ?」
「了解しました。グラジオス様」
良かったー。取り合えず、ミッションコンプリート。たいそれたこと言っちゃったけど、まいっか。
「やっぱ面白いなお前!さっきまで偉そうな態度だったのに。お前、名前は?」
「そこは忘れてください。私の名前は、ディアール・ヘレニウム。今からあなた様に忠誠を誓う執事です。」
特になし。