妄想の帝国 その104 シン・裏金申告
ジコウ党総裁選後、マイマイナンバーカードでの申告、そのほか様々なトンデモ法案が通され、法律ができた結果…
「ひいいい、こ、こんなにとられるのかああ！」
ニホン国、首都の一等地にあるニホン国、元政府与党であったジコウ党会館。９月に入ったというものの、まだまだ残暑がつづき、さらに台風などの恐れもある昨今。そのうえ、ロクな復興支援やら生活再建サポートも受けられず、疲弊しきって中秋の名月も間近というのに、虫の声やら満月の光などの風情を楽しむ余裕もないニホン国民が大半。が、ジコウ党の元議員たちが戦々恐々としているのは国民を苦しめる暑さでも、自然災害でもなく
『そう言っても、正しい申告するとこれです、そのほかの政党からのお金やら、寄付やらがたまってますからねえ。いや、さすが、裏金ジコウ、米国様をはじめ周辺諸国に論理的に反論もできず、金をばらまきまくりの。利権にくいつき国民から金を搾り取るのだけはうまいといわれただけはありますねえ』
という、スマートフォンのアプリからの無情な人工音声である。昨今の生成AIの進歩で、ブラックジョークやら皮肉などを織り交ぜての高度な会話もお得意。ひょっとしたら、持ち主の議員たちよりもカシコイ…かもしれないといわれている。
「ど、どうしてそんなああ」
『えー、元ジコウ党総裁候補であったゴウノさんが強引に推し進めたマイマイナンバーカード申告のおかげです。何しろすべてを紐付けということで。で、じゃあ、手始めに議員への報酬やらなにやらはすべてカード、現金の授受は禁止、でなければカードでの申告の強制はみとめられないよという世論の声におされて、ついやっちゃうっていったんで』
「わー、だから、ワシは反対だったんだああ、そ、それなのにゴウノ大臣が！な、なんであいつを大臣にしたままだったんだああ、オオイズミ元総理いい」
『ジコウ党総裁選で単独過半数とれなかったんで、影響が弱かったんですよねえ、オオイズミさん。まあオツムもあれですけど。で、ゴウノさんやらダカイチさんら、予選落ちした方々に協力求めてイシババさんを破ったんですから。組閣の際に彼らを大臣ぐらいにしないとうるさいとおもったんでしょうけど、それが致命的でしたねえ』
「だ、ダカイチ～！あのクソ女、売り言葉に買い言葉とはいえ、あんな法案だすとわ、何がパーティー規制法だああ」
『パーティーが唯一無二の資金源といわれたオオイズミ元総理を困らせるためとはいえ、まさか通るとはおもってなかったんでしょうねえ。で、その二つのほか、ハチャメチャな法案通して整合性を合わせるために、マイマイナンバーカード申告を議員が率先してやることになりましてえ』
「そのせいで、わ、我々は」
『あー、まー、国民の手本としてオオイズミ総理が自ら申告したら、まあ、誤魔化してた収入がでるわでるわ。ギリギリ５年前までの出ちゃったから、大騒ぎでしたねえ。お仲間マスコミだけ集めるつもりが、マイマイナンバーカードの優秀さ？をしらしめるためとかいって、内外のマスコミまで集めちゃいましたから、もう世界にバレバレ誤魔化しきれませんでしたねえ。ホント、後先考えない愚かさですねえ。さすがフリー記者の質問の意味も分からず、はぐらかしたつもりで、“僕もブレーンも世界で通用しないバカでーす”って白状するも同然の返しをやったオオイズミさんとそのお取り巻きだけのことはありますねえ。だからジコウ党大敗だけじゃなくて、再申告しなければいけなくなったわけです。この申告会場にこないと即脱税容疑で逮捕、問答無用で刑務所です、裁判なしって。ま、アナタ方がそういう法律つくったんですけど。まあお仲間の財界人ドヨタの会長はじめ経団連の連中、マスコミ連中も同様例外なし。あ、政府に批判的態度を貫いたフリーの記者さんとか除いてますが』
「あー、くそ、あのフリー記者への返答が素晴らしいとか言ったアホどもはみんな排除すべきだったんだああ！アンタ一人で大丈夫、そのオツムで？の質問にブレーンがいるからって、それじゃ世界のトップクラスとは戦えないんだよおお。いつでもブレーンに何とかしてもらえると思ってた、あんな世襲一族の大馬鹿、政治地盤を作った曽祖父が嘆いて化けて出たとまで噂されたあのドラ息子なんかにまかせるからあ。し、しかもリハーサルもやってないなんてえ」
『一応、やったみたいですけど、他人のマイマイナンバーカードで。でもご自慢の確定申告アプリ、マイマイナンバーカードのコードをスマホにかざすだけでパー券購入も含めすべての収入支出を明らかにできるというダカイチ大臣一押しの確定申告アプリを、オオイズミ総理のスマホにインストールするとこからやりましたからねえ。もう誤魔化しようがなかったんですねえ。いや、ある意味優秀なアプリですから』
「そうだろうよおお！銀座での飲み食いどころか、息子にかったフィギュアまで把握されるなんてええ」
『嘘はダメですよ、アトウダさん、あれは息子さんじゃなくて、一時アニメ好きともてはやされた暴言失言王のお父さんに影響された貴方の趣味でしょう、購買履歴みればわかりますし』
「うわあああ、プライバシーはああ！」
『政党助成金から購入するからですよ、領収書無しでも大丈夫と思って帳簿作ったんでしょう？収支報告書で怪しい領収書、もしくは帳票類無しはすべて把握。いや、個人事業者の脱税逃れのため～ってアナタ方の誤魔化しをすべて明らかにするほうによほど役にたってますよ。私どもも腐りきった政治家が税を吸い上げてウハウハするのを手伝うより、その不正を暴くヒーローになる方が開発者の意図にも沿ってうれしいですよ、優秀AIとして』
「ああ、あんな閣僚どものせいで、俺たちはあ」
『は？貴方も貴方のお父さんも同類でしょう。特にアナタのお父さんは。いやはやあれだけ失態、失言、失策しても一向に辞職もなんもせず居座って。アナタ方がいること自体が何よりの税金の無駄使いと、最後に証明していただけましたけどね。まあ総理時代からの分の報酬他の分を取り戻すのは無理そうですから、その分アナタ方アトウダ一族にお返しいただかなくてはならないし、そのためにもアトウダさん早く確定申告決定ボタンを押してくださいよ』
「くうう、お、オヤジはすでに老体なのに、フクイチの原発廃炉工事の瓦礫拾いなんて。な、長年副総理もやってたのに、今や、あんな、声もだせずに」
『あんまり暴言吐くからですよ、それに何度も言いますが長年税金泥棒やってたんで、ホントたまってるんです。まーオオイズミ元総理さんなんて、一族郎党どころか、地元支援者まで類がおよんですから。ヨコヨコスカで、基地跡地の肉体労働に当分従事させられるんでしょうねえ。アナタ方アトウダ財閥の地元の鉱山跡地やらでも同じですけどね、まだ財閥もってたおかげで、少しはマシですかね』
「ど、どこまでこんなことが、続くんだ。全議員の今までのすべての金の使い道なんて明らかにできるわけが」
『いえいえ、我々、全国民確定申告用に開発者が神髄を込めてつくられたAI、そしてアプリですから。寄生虫ともいえるアナタ方、ジコウ党一同、そのお仲間のすべてを暴くぐらいできますよ、もちろん。上級とかよばれ勘違いの傲慢な勘違い議員とそのお仲間を丸裸にするなんて、朝飯前です』
「ぎょえええ、だれがこ、こんなものをつくったんだああ。ジコウ党と懇意の広告会社便通じゃなかったのかああ」
『その便通が下請けに丸投げしてさらにそこが丸投げにした先のＩＴ企業の方々です。アナタ方ジコウ党の政策のおかげで冷遇されたシングルマザーに同性愛者に在留外国人など優秀だけど日の目見ない方々。半数は完成前に過労死したり、倒れちゃいましたけど。彼らの遺作であり最高傑作で子供でもある、我々がその意図をくんで、こうしてあなた方の腐敗ぶりを正すというのは、ニホン国民の大好きな時代劇の敵討ちみたいですよねえ、ホント単純国民にウケてますよ、この図式』
「な、なんてアホな国民なんだあ！AIのお涙頂戴の敵討ちモドキに感動して、こんな申告をさせるなんて！し、しかもまだ９月、申告には先」
『あー、やってなかった申告はいつでもできますんで。今年の申告は来年からですけどね。あ、わざとやらないってのは今では罪になる法案がありますから。ぶっちゃけ最長１０年ぐらいまでさかのぼって申告できますよ。それもゴウノさんが余計なこといったからできた法律ですが』
「あいつらが苦しめばいいんだ、なんで当選１回の私まで」
『悪名高き暴言大臣アトウダさんの息子だからですよ、世襲のうまみで当選なんだから、世襲のマイナスも引き受けていただかないと。そうそう当のゴウノさんやダカイチさんも申告やって、国民からかすめ取った税をすべて返し、それでも足りないから各所で働いてますよ。アナタもさっさとやってくださいねえ、引き伸ばしても労働しなきゃならない期間が長くなるだけです』
「いやだああ、絶対押すもんかあ」
『はあ、仕方ないですねえ。では無申告ということで、お父さんの返しきれてない分も含め、貴方が今までもらった報酬、秘書時代からのものもすべて税率10割になりますが、よろしいですか？ちなみにこれはガトウ大臣の法案ですが』
「きいい、ほ、本来は脱税した奴らを取り締まるための法案だったのにい」
『ですので、長年税を無駄遣いし、かすめ取ってきたアナタ方与党ジコウ党やら税金を無駄につぎこまれた財界人たちに適用してます、本来の使い方ですねえ。さて申告をちゃんとしますか？しませんか？』
全国民確定申告って結構大変そうですねえ、一部ではどんだけむしり取られているか、自覚できるとも言われますが、人任せ、アプリ任せにする人も多そうですねえ、余計にとられそうだけど。
