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【絵本原案】ガラスケースに欲しい物

作者: 松下一成

1人の女性が傘をさしてトボトボと歩いていました。女性はこの街に夢を掴みにやってきた多くの人たちの中の1人でした。


 夢を掴むために女性は沢山の事を、沢山の時間を使って、沢山やってきたのですが、思うように結果が出ませんでした。


周りは自分と違って結果を出し、いい生活に成っていき、だんだんとこの街から離れていきました。


 そんな女性にとって唯一の楽しみは街角に有る宝石店に通うことでした。店前のガラスケースには色とりどりの宝石や豪華な服などが飾られています。


これを見ると女性は元気を取り戻し「よし、もう少し頑張ろう」と思いました。


ある日、またいつものように宝石店に足を運ぶと先客が居ました。


1人の少年です。


 少年は女性と同じようにガラスケースに入った宝石を眺めていました。とても美しく、綺麗な宝石です。少年の心も惹かれたのだろう、と女性は思いました。


 しばらく2人はガラスケースを一緒に眺めていました。すると、少年が女性に話しかけました。


「お姉さんはこの中の宝石が欲しいの?」


 少しびっくりしましたが女性は答えました。


「うん、これを買うことが今のこの街で頑張れる理由かな」


 すると少年はしゃがみこみ、足元にあった少し大き目の石を掴んで女性に見せます。


「ほら、これでガラスをたたき割れば中に有る宝石を手に入れることが出来るよ」


 女性は慌てて少年の腕を掴みます。


「だ、だめだよ!そんなことしたら泥棒になっちゃう!」


 腕を掴まれた少年はその様子を見て笑い始めました。


「変なことを言うね、もうあなたの心はこの宝石に奪われちゃってるのに」


 少年は持っていた石を地面に置きなおすと女性を指さしました。


「憧れがガラスケースに奪われちゃった。きっとお姉さんの心は悪い大人に泥棒されちゃったんだね」


 そういうと少年はその場から立ち去り、女性は置かれた石を見つめていました。


おしまい。



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