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サノハビッチ

作者: 中澤 悟司

ちょっと趣向を変えてチャレンジです。


これはそもそもジャンル恋愛なのか。

私的にはヒューマンドラマ、コメディとどれにするか、ちょっと悩みました。


表現不味ければ本編ごと削除しますので、読んでいただけるなら、お早めにどうぞ(^^;

 とんでもない女に絡まれていた。


 佐野さん、歳は俺のひとつ下、容姿端麗、成績優秀、性格も悪くないらしい。本当かどうかは知らんが、実家は金持ちらしい。彼女はとても人気があった、主に軽い男から。


 彼女はとても『軽い女』で、惚れっぽい性格らしく、学内外で浮名を流しまくっていた。毎月どころか、毎週のように隣にいる男が違うことで有名だった。特定の男と付き合わず、一夜の恋も数多有り。そんな恋多き女である。

 とにかく容姿が最高で人当たりも良いので、寄ってくる男は後を絶たず、相手に困ることはない。口説いてきた男を気に入れば、相手に恋人がいようが関係なく一夜を共にする。彼氏を寝取られたと『逆恨み』する女子も数多く、結構な数の女子に蛇蝎の如く嫌われていた。そんな彼女に付いたあだ名は


「サノハビッチ」


 そのまんまだな。


 そんな、ある意味有名人である佐野さんが、何故か俺に絡んできている。


「佐野さんさ、いい女なんだから、男が放っておかないでしょ。経験が多くても不思議じゃないし、清純とか別に期待してないよ」

「期待してないんだ…」

「まあ、経験積んで磨かれなきゃ、そこまでにはならんだろうしね」

「じゃあ、気にしないのよね」

「それは別だけどね」


 何故か学食で昼飯を食っていた俺の隣に座り、一生懸命に口説いて?くるのだが。


「私、そんなに魅力無いかな」

「魅力のあるなしじゃないんだよ、倫理観の問題だね」


 俺の話聞いてたか、キミ。露骨な論点外しはいかんよ。


「私は倫理観が無いって言いたいの?」

「そうじゃなくて、俺の倫理観と、佐野さんの倫理観というか価値観、考え方が合わないってだけだよ」

「私お金とか貰ってないよ、毎回真剣だけど」

「でもすぐ寝るんでしょ?」

「うん」


 頭痛くなってきたよ、どんなに見た目が良くてもノーサンキューだわ。


「じゃあさ、必ず避妊具付けてた?」

「ほぼ…」

「中には強引に生でヤろうとする男もいたでしょ?」


 佐野さんは沈黙している。学生なのに、責任も取れないのに信じられん。


「そういう奴はヤれればいいんだよ、遊び女相手に約束守る男ばっかりじゃないよ。どっちかっていうと、ちゃんと守る方が少ないんじゃない?」

「遊び女…」

「俺はね、いきずりとか、一夜の過ちとか、若気の至りとか、そういうので人生を台無しにしたくないだけだよ」

「こ、子供が出来なければいいの?」

「何言ってんの、病気でもうつされたら終わりだよ、どういう相手かもよく分からないのに肌を重ねるなんて、少なくとも俺は御免だね」

「あ…」


 そんなリスク考えたことも無かったんだろうな、まあ、それが若いってことなんだろうけど。


◇ ◇ ◇


 数日後、学食で飯を食ってると、また佐野さんがやってきた。表情が硬い、どうしたのだろうか。まあ、俺には関係ないが。


「検査、してきたの」

「何の?」


 いきなり検査とか言われても分からん、妊娠検査でもしたのか?何で俺に言うのか。


「何って、性病検査だよ」

「ごふっ!げほげほげほ」


 思わず親子丼を噴き出した。あ、クソ、ご飯粒が鼻に入った。


「この前、病気が心配って言ってたから」

「そ、そうだっけ?」


 正直何言ったか覚えてない、突き放すようなことは言ったと思うが。


「そしたらね、あ、あったの、クラ〇ジアだって」


 げ。


「ううっ、どうしよう、私どうしたら良いのか分かんなくて」


 だから何故それを俺に言うのか。ここは追い打ちをかけて帰ってもらおう。


「佐野さん、最後にシたのは何時?」

「…それ、言わなきゃダメ?」

「いや、別に佐野さんの男性遍歴に興味はないけど、性病ってさ、潜伏期間が長いやつ?もあるからね。感染から1~2ヵ月経たないと分からないのもあるらしいし」

「…うっ、ううっ」

「泣いたって病気が治るわけじゃないし、時間が戻るわけでもないから。まずは男断ちして治療してみたら?」

「男断ちって、香山くんホント容赦ないね…」


 学食で親しくもない女子から性病の相談受ける俺はどうなんだよ。社会的に死にそうなんだが。


◇ ◇ ◇


 また数日後、佐野さんが俺の前に現れた。


「ど、どうしたの、その格好」


 明るい茶髪でギャルっぽかった佐野さんが、何故に黒髪ワンピース。


「香山くんさ、清楚系が好きなのかと思って」

「いやいやいや、容姿の問題じゃないって言ったでしょ、俺」

「うん、でも好みでしょ、こういうの」


 その格好で上目遣いはやめて。


「ま、まあそりゃ、どっちかと言えば好みだけど、でも俺の好みなんて佐野さんに関係ないでしょ」

「関係大ありだよ、今必死で落としにかかってる相手の好みなんだから」


 俺、落としにかかられてるのかー、そうなんだー。


 可愛いのだ、佐野さん。見た目だけであれば文句の付けようがない。しかも俺好みに変えてくれる。噂に違わず軽くてビッチみたいだけど、実は尽くし系なんだろうか?何度かしか話していないが、性格もそこまで悪くないように思う。


 …まあ、女子の性格なんて、男には一生理解不能だと思うが。


「心頭滅却すれば火もまた涼し、煩悩退散悪霊退散、南無阿弥陀仏」

「…ねえ、なんでそこまで嫌がるの?」


 幾ら見た目が良くても現在進行形で病気持ちとヤりたくねーわよ。それにな。


「佐野さんはどう思ってるか分からんけど、そういうことは好きな相手と、深い愛情の表現としてやるべきだと思ってるからね、俺は」

「…人間も本能のある動物だよ」

「理性のある生き物だよ」


 理性あらずば人間にあらず、本能の赴くままは畜生の所業なり。


「私だって、流石に嫌いな相手とシたことなんてないよ?いいかな、と思った相手だけだよ」

「佐野さんと俺とでは、好きとか、愛してるとかの感覚が違うんだと思うよ、それこそ価値観の違いだね」


 その後、佐野さんはしばらく黙って考えていたが、またね、と去っていった。


 諦めてくれたかな。とても可愛い子だけに、非常に勿体無いと思う。勿体無いとは思うが、同時に大火傷を負う未来しか見えない。仮に付き合い始めてから、欲求不満とかなんとかで他の男をつまみ食いでもされたら立ち直れる気がしない。


 あとね、ここは学食なんだが…。


 佐野さんはとにかくモテる。かなりの人数と寝たみたいだから、中には病気持ちやDQNもいるだろうことは予想できていた。一方で、何故かは知らんが特定の彼氏を作っていなかった彼女に、決まった男の影が見えた時、そのDQNがどう動くのかは予想できないわけだ、DQNだけに。

 今までも若干怪しい動きはあったのだ、君子危うきに近寄らず、李下に冠を正さず、である。ちょっと違うか。


◇ ◇ ◇


 数日後、学食に珍客が現れた。


「おいお前、ミカに付きまとっているらしいな」


 早速来ましたよ、こういう勘違い馬鹿と付き合うのが嫌だから、モテ女子佐野さんからは離れたかったんだよ。


「ミカとは佐野さんのことですか?佐野さんとは何もありません、疑うなら佐野さん本人に聞いてください。納得できないなら警察も行きますよ」


 俺は別に探られて痛い腹は持っていない。


「お、おう、そうか」


 こういう、ある程度話の分かるヤツばっかりなら大して苦労もしないんだが。


 これまた別の日。


「お前俺のミカに手を出すんじゃねぇ!」


 振り返りざまに殴られた俺は、目の前のテーブルに突っ伏した。味噌汁がひっくり返り、日替わり定食のとんかつが床にぶちまけられる。俺の昼飯が!!許さん!!


 はい、警察呼びました、当然ですね。口の中切ったし、歯も浮いたので、きっちり治療費も請求しました。しかも、言うに事欠いて俺が佐野さんを無理矢理襲ったとか言いふらしてやがったので、親に相談して名誉棄損で法的措置を講じた。


「勘違いで殴っておいて、事実無根の噂をばらまいて、御免で済むわけないだろ。学生だろうと、成人だからね、一応刑法も適用されるからね」


 学校の事務局からは『学生同士だから』とか『穏便に』とか言われたが、何でこっちが泣き寝入りせにゃならんのだ。ああいう輩はきっちりヤキを入れんと、学習せずにまたやらかすんだよ。抑止力だ、抑止力。


◇ ◇ ◇


 俺と佐野さんが出会ってから、そこそこ日が経った。一連の騒ぎの顛末は、一応彼女にも伝えたが、それで彼女が俺から離れることはなかった。


 まあ、佐野さんが悪いわけではないのだが。


「俺は大して相手してないけど、それでもキミは俺と一緒にいたいんだろ?」

「…うん」


 最近は一緒に昼飯食ってるなぁ。


「なら、俺も自分を守るために動かんと仕方ないでしょ」

「…す、ストーカー扱いしないの?」


 佐野さんが不安そうにこちらを見てくる。うっ、そんな顔しても絆されないからな俺は。


「…別に嫌いなわけじゃないからね。価値観が合わないってだけで遠ざけるほど心は狭くないつもりだよ」


 彼女の顔が一転、輝いた。


「えっ、それってもう告白よね、OKってことよね?」

「いや違うから」


 何故そうなる。


◇ ◇ ◇


 その日はたまたま時間があったので、食後にコーヒーを飲んでいた。当然のように隣に座っている佐野さんは何か良く分からんチャイとか頼んでた。


「そういえば」


 唐突に佐野さんが話始めた。


「私、貴方にあげられる初めてって、何もないや」

「ファーストキスとかバージンとか、そういうやつ?」


 そもそもビッチらしい彼女にそんなものは期待していないが。


「うん」

「そうか」


 少しの沈黙、俺にどういうリアクションを求めるのか、さっぱり分からんのでコーヒーを含む。


「ア〇ルも興味本位でヤっちゃったしなぁ」

「ぶふぉっ!」


 盛大に吹いた。


「汚いよ、香山くん」


 俺は悪くないと思うぞ、うん。


「いやそんな話聞いてないんだけど!恥ずかしくないの!?」


 ここは学食だから!ハシゴ3軒目じゃないからね!?


「恥ずかしいよ勿論、でもここまで知っちゃったら後に引けないでしょ?」

「なりふり構わなさ過ぎだろ」

「だって、そうでもしないと私のこと剥いてくれないんだもん」

「おい、何かニュアンス違う気がするぞ」

「えー」


 ちょっと頬を赤くしながらふてくされる佐野さん、クッソ可愛い、ああもう!


 俺は、話題転換に、ずっと気になってたことを聞いてみた。


「なあ、なんでそんなに俺にこだわるんだ。他にも良い男なんていっぱいいるだろ」

「もうね、イケメンとかスパダリ系は飽きちゃって」


 …飽きるもんなのか、それ。


「みんな私のカラダ目当てだから、なんかつまらないの、真面目に付き合う気が無いんだよね」


 まあ、どう考えても遊び女ポジションだろ、こんな誰とでもすぐ寝ると思われてる女、本気で彼女にした日には修羅場しか待ってない。都合良くヤれるセフレがいいところだ。見た目が抜群に良いから、連れまわすには良いんだろう、アクセサリー感覚だな。


「だからさ、最近は一夜過ごして終わり、だよ。昔は半年くらい続いたこともあったんだけどね。ヤる前後で全然態度が変わる男ばっかりでさ、私はトロフィーじゃないっての」


 佐野さんはチャイを一口飲むと、ため息をついた。


「初めての相手から、ずっとそれ。あんまり続くから、何かもう真面目に相手するのが時間の無駄みたいな感じになって、取り敢えずヤって様子見、それで態度変わって白けちゃって解散、ってのが定番かな」


 彼女は、またチャイを一口含んだ。


「だから『一夜限りの花魁』ってのも、あながち間違ってないかも、ははっ」


 それは、彼女を揶揄する連中が付けたあだ名だった。


「…俺も、一緒だとは思わないわけ?」

「だって、誘っても相手にもしないじゃん、彼女がいるわけでも、私が好みじゃないってわけでもないのに、そんな男初めてだったの」


 あんたの周りには、そんな軽いクズみたいな男しか居なかったのかよ。でも、それでも俺は。


「佐野さん、正直に言うね」


 普段より少し硬い俺の声に、佐野さんもちょっと背筋を伸ばす。


「うん」

「佐野さんの周りには、たまたまなのかなんなのか分からないけど、軽い男しかいなかったんだと思うよ。そこまで極端だったなら、そう仕組まれていたのかもしれない。だから、佐野さんがやってきたことをどうこう言う気は全く無いよ」


 もし本当なら、まるでエロ同人誌みたいな話だけどな。


「でもな、世の中そんなね、頭の中がチ〇ポで詰まってるようなクズ男ばっかりじゃないんだよ、身持ちの固い男だってちゃんといるの」


 彼女の視線が痛い。着地点を探るような、その視線を避けるように、俺は少し早口になっていた。


「そういう男はね、身持ちの固い女が好みなの、事情はどうあれ、すぐにカラダを許すような女は願い下げなの、分かる?」


 佐野さんの目に、涙が浮かんだ。


 酷いことを言っている自覚は、ある。


 ただ、こう言わないと通じないだろうし、これ以上奔放なまま付きまとわれるのも困るのだ。ここまで言ったのだ、今後佐野さんと俺の人生が交差することは無いとは思うが、彼女が決定的に酷い目に遭う前に、俺が彼女に対して忠告しておきたかった。


 別に彼女のことが嫌いなわけではないし、不幸になってほしいわけでもない。そこまでの感情を抱くほど、彼女と深い付き合いはしていない。価値観や倫理観が合わないのは、他人なのだから当たり前で、それを宗教よろしく改心しろ悔い改めろなどと強制するような真似は俺はしないし、する権利もなければ義理もない。

 ただ、ある程度話をした相手に、何も言えないままに堕ちていくのを傍観するのは寝覚めが悪い、といったところだ。そこには相手への思いやりや労わりというよりは、自分の気分が悪くなるのを防ぐ、偽善的な自己保身の側面の方が余程強いだろう。所詮は独りよがりの自慰行為に過ぎない。


 彼女はその後、何も言わずに立ち去っていった。うん、逃した魚は大きい、それは俺も分かっている。あんなイイ女、一晩だけでも相手をしてもらえれば、それはとてもいい思い出になるんだろうな、とは思うが。色々考えると、いきずりの恋を楽しむ、なんて発想には俺はならない。


 こんなだから、いつまで経っても彼女なんて出来ないのだろうな。


◇ ◇ ◇


 次の日、もし会ったらどんな顔すりゃいいんだ、と思っていた矢先、朝一番で俺の前に佐野さんがやってきた。


「おはよう、香山くん」

「ん、あ、おはよう、佐野さん」


 取り敢えず挨拶だけして、去っていくのかと思ったら、彼女は昨日までと変わらず距離を詰めてきた。


 いや、俺昨日はっきり言ったよな?


「あの、佐野さん?」

「ちょっとだけ、後で話できるかな?」


 そういう佐野さんに、付き合う義理は無かった。が、彼女と同じフロアで講義を受けるので、嫌な空気感は払拭しておきたいと思った俺は、学内のカフェで話をすることにした。

学食と違い、個室チックなブースに入ると、俺の機先を制して、佐野さんが口火を切った。


「昨日の話、私なりに考えてみたの」

「そうか」

「…昨日の夜ね、前から誘われてた人に連絡しようとしたんだ、慰めてもらいたくって」


 そう言うと、彼女は探るように俺を見た。俺は、努めて無表情を貫いた。


「それで?」

「…でもね、何となく違うな、って思って。それから貴方の言葉を思い返して、泣きそうになって、でも向き合わなきゃって、そう思って」


 声が少し震えている。俺は、何も言わずに彼女の独白に耳を傾けた。


「私ね、分かったんだ」


 うつ向いていた彼女が、しっかりと顔を上げて、俺の目を見据えた。その瞳には、しっかりと自信に裏打ちされた光があった。俺は、彼女が脱皮する瞬間に立ち会えたようで、ちょっと感動し…。


「香山くん、貴方の言葉、全部私のことを想って言ってくれてたんだって」

「あ、いや、そういう」

「だってそうでしょう?嫌いじゃない相手をわざわざ傷つけて、嫌われるようなこと、しないよね?」


 お、おう。


「私が傷付くのが分かってて、貴方自身も嫌な思いするのが分かってて、知らんふりしてればいいだけのことなのに」


 お、お。


「一晩だけ私を抱いて、終わりにすれば済む話なのに、それでも、それでも言わなくてもいいことを言うのって」


 お?


「それって、もう愛じゃない?」

「は?」


 どういう思考回路ならその結論に行きつくのか、さっぱり理解できん。


 …はっ、自己愛とか、そういう意味か。それならば、俺の深層心理を正確に突いてきてるな。恐るべし、侮りがたしは恋愛脳。


「ま、まあ、確かに(自分を)愛していると言えないこともないかもしれないな」

「やっぱりそうよね!」


 彼女の顔が一気に華やぐ。なんだか得意げだ。


「(私を)深く愛してないと、あんな言葉は出てこないわよね」

「…そこまで言われると恥ずかしいが、俺の正直な気持ちとしてはそうなんだ。俺は(自分への)愛ゆえに、君を傷つけた、どうしようもない男だよ」

「そんなことないよ、貴方の(私への)愛は、とてもよく分かったから」


 俺の懺悔のような言葉に、彼女は優しく微笑んだ。


「確かに傷付いたし、辛かったけど、でも私の目を覚ますための、(私への)愛の鞭だったのね」


 ん?その解釈でいけば、どちらかと言うと俺自身への愛の飴だったんだが。俺が思案する間にも、彼女の言葉は続く。


「だから、私は今までのやり方はやめる。面倒臭がらずに、焦らずに、怖がらずに、ちゃんと段階を踏んで、向き合っていきたいと思うの」


 うんうん、そっちの方が良いと思うよ、俺は。それで相手の人間性が必ず見極められるとは思わないけど、いきなり寝るよりは良いんではなかろうか。


 俺は羽化して羽ばたき飛び立つ揚羽蝶を、見送る感動に震えながら告げた。俺の半年は無駄では無かった。


「そうか、じゃあ頑張って彼氏を見つけて」

「だから!!」


 佐野さんは、俺の万感を込めた贈る言葉を思いっきりかき消した。ちょ、せっかく良いところ…。


「今日から、彼女候補としてよろしくね、香山くん」




 …は?


表現的に際どいですかね?

問題ありそうなら誰か教えてください。


でも切っちゃうと話半分になるんですよねぇ。

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