表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

生きている事も忘れるさ

爺様は、若い頃、気難しい人だったそうだ。

いろんな役員をこなし、街の人に頼りにされていた。

けど。

あの感染症で、自宅待機の日が続いて、爺様は、壊れ始めて行った。

家族の顔がわからない。

あんなに、字が上手で、年賀状を頼まれていたのに、

自分の名前さえ、書けない。

大好きな孫が、わからない。

その変化に、婆様は、泣いたり、笑ったり。

元々の育ちがいいから、暴れたり、怒ったりは、しなけど。

けど。

一緒にいる婆様の表情が曇っていった。

僕らは、

爺様を通してみる世界は、新鮮だった。

けど。

一緒にいる婆様は、辛かったみたいだ。

これが、認知症なのか?

本人は、全て、忘れて新鮮だ。

いろんな事を忘れていく爺様を

「かわいそうに・・・」

と。

婆様の友達が呟いた。

その瞬間、婆様の心の中で、何かが、壊れたんだ。

あたり構わず、ズボンを下げて、おしっこする爺様に

婆様が、叫んだ。

悲痛な声だった。

辛いのは、本人じゃないんだ。

一番近い人が、辛いんだ。

僕らは、事は、深刻だと思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ