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神様復活

爺様が、施設にお泊まりに行ってから、穏やかな時間が流れていった。他の家族は、こんなに穏やかな時間を過ごしているんだ!なんて、感じながら、退屈で、兄と喧嘩する日々を送っていた。本当に、退屈。爺様との生活は、スリリングだった。新しい発見を僕らにくれたし、いろいろ考えさせてくれた。爺様が、どうやって生きてきて、そして、どうしてこんな行動をするのかが、わかった。爺様は、基本、穏やかな性格の人だった。感情的に怒鳴ったり、暴れたりはしない。好奇心旺盛で、何でも、確認に行ってくる。僕らに、生きるって、何かを教えてくれた。人には、いろんな価値観がある。だけど、見方を変えれば、こんなに、心が満たされて、穏やかに生活できる様になる。爺様には、何にも、いらない。裸一貫で生活できる。爺様の頭の中は、人と比べる事なんて、少しも、考えていないのだから。感じたまま生きて、行動して。人間らしい。何もな編む事はない。僕らは、爺様が、施設から帰って来るのを心待ちにしていた。退屈な毎日とおさらばしたい。爺様の発見に付き合いたいのだ。だけど、いざ、爺様が帰って来る日が、近づいてくると、婆様も、親父も、顔を顰める様になっていた。

「困ったぞ」

親父が言う。

「寝れなくなる」

婆様が、ため息をついた。どうやら、爺様の頭の中は、真っ白になっていて、トイレの場所もわからなくなっているらしい。

「いっそのこと、永久に施設に入れようか」

親父が言う。兄を含め、僕ら家族だけで、面倒見ていくには、限界があると言う。

「少し、様子を見ようよ」

僕は言った。

「お前、受験だろう?」

親父が反対する。

「帰ってみないとわからないでしょう?」

「それは、そうだが・・」

早く、生まれたての、爺様に逢ってみたい。

「お前らの事なんて、忘れてるかもな」

忘れてないかも?でしょう?僕は、親父の背中を押した。まだ、逢ってもいないのに、勝手に、行き先を決めないでほしい。僕らに、爺様は、必要なのだ。

「また、困るわよ。婆さんは、疲れるの」

婆様は、ため息をついた。兄も、爺様が帰って欲しいと、大声で、騒ぎ、とりあえず、爺様の退所日が決まった。神様の復活だ。

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