第五話
要素として腐男子が出てきますが、BL表現は含まれておりません。
苦手な方はご注意下さい。
「すまん、阿…」
いつも通りの昼休み、けれど、今回はいつメンではない。
「阿がやられたそうですね…」
「ふんっ、奴は四天王の中でも最強!もはや我らに勝ち目なぞないわ!」
「なんで勝ち誇ってんだよ…それよりもお前ら、気をつけろよ」
2人を見ると、頷いている。わかってくれたようでなによりだ。本当に、注意しなければならない。奴は危険すぎる。
「風邪にはな」
俺は、もともと超健康優良児だから治りは早かった(まだ喉がすこし掠れるが)。
だが、しかし。
阿が、風邪でやられた。
今週の月曜には具合が悪かったらしく早退した。そして、今日も休みだった。
阿曰く、長引くタイプらしいのでしばらく休むのだろう。
伝染した手前、見せるように授業ノートはきれいに取ってある。
「早く治ると良いんだけどな」
「だな」
「本当に心配です…早く治ってほしいです」
杜が心底心配そうに言う。こちらが逆に心配になるぐらいの落ち込みようだ。
「杜…」
何か慰めようと足りない頭を回していると、とんでもねぇことを言いやがった。
「阿×田が見れませんしね…」
「そこかよ」
ツッコミの声が思わず文屋とハモった。
こんなやつのためにエネルギーを使ったことを後悔したが、まぁ、こいつなりの場の和ませ方なんだろう。
その後金曜日までは、珍しく阿抜きだった。
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「くっ、文屋くん…!」
「とうとう、文屋まで落ちたね」
「あぁ…だが、我々は決して諦めてはならない。彼の犠牲のためにも!」
いつものように厨二病をキメながら、今は亡き文屋を悼む。
金曜日、やや風邪気味の阿が復活し、いつものように4人で昼飯を食った。土曜は半日だから集まらなかった。
そして、月曜。
2限の体育を前にして、文屋は早退した。
文屋よ、1限受けて帰るなら、なぜ来たんだ?
「まぁ、彼の犠牲を無駄にしないためにも、ほら、なんかあれしてあれしようよ」
「何言ってんだよ、まぁでも、あれは必要だろうな」
「あれって、なんですか?」
「ほら、あれはあれだよ、ね、田中?」
「あぁ、杜、あの大事なやつだよ」
「あ、2人とも適当こいてるんですね」
「あら、バレた」
そうして、3人で笑い合う。
文屋は、まぁ、大丈夫だろう、きっと。
結局、文屋は水曜日には復帰した。
やつもやはり風邪だったらしい。
今現在、クラスでは風邪が流行っていて担任が手洗いを呼びかけている。
…え、もしかして私の風邪強すぎ?
だんだんと暑くなってきましたが、体調には十分気を付けてお過ごし下さい。