逃避(孝)行
薄暮に照らされて走る電車
車窓から見える東京スカイツリーは
ちっぽけに見えて指で摘めば折れそうで
そんな電車に乗る人々は
四角い箱に目を奪われて
気づけば現実を忘れかけていた
周りを見渡せば暗闇に呑み込まれる
朽ちていく景色を見れずに
電車の広告には水を求めて
目を光らせながら映る子が
私たちを眺めては今にも目を濁らせていた
そして撮影したカメラマンは
その子よりいい生活をしている
そんな世の中に生きていることで
虚実を居心地良いと錯覚してしまって
他人の在り方を道端に捨てたゴミのように
忘れかけていた
空はあんなに蒼青く見えていたが
本当は明るすぎた闇だって
誰もが気づかないで手を伸ばして
掴めないものを掴むんだと意気込んでは
誰かを密かに哀しめている
気づけば電車は閉塞感に飲まれて
壁を見ては流れるケーブルを目で追って
時折見える光に居場所を見出していた
駅のホームには生を呼吸して
寿命を溜め息と共に吐きながら
立ち尽くす大人大人大人の群れ
そんな僕は耳を音楽に傾けて
騒音をかき消していた
いずれ僕もそこに立ち尽くして
感情に無気力を抱かせると思うと
自己意義が怖くなって
逃げたくなる
今回はお読み頂き、有難うございます。初投稿ということで文脈に説得力がないかと思われるかもしれません。ですが、等身大の私が感じたことや想像したことを今後も不定期ではありますが、詩や小説という形で書いて掲載できればと思います。よろしくお願い致します。




