第2話:春の始まりは2度目の遊園地
渚と家族と共に神奈川にきてから、5日ほどの春休みはあっという間にすぎていった。
引っ越しの準備や片づけでドタバタしてなかなかゆっくりできなかったが、入学式を翌日にひかえた今日、やっと渚と2人で遊びに行く時間ができた。
「渚ちゃ〜ん!!」
あ・・・母さんが1階から渚を呼んでる。
「はい〜〜!!」
――バタバタバタ・・・
渚が階段を駆け下りて・・・
――ドターーーンッ!!
「ぅおッ!?渚ッ!?!?」
俺も急いでベッドから起き上がり階段を駆け下りた。
渚が階段の下に腰をおさえて座り込んでいる。
「渚、大丈夫か!?」
「あ、雄輔〜〜」
「どうした!?」
「ちょっとすべっちゃって、腰ひねっちゃった・・・ハハ」
「おいおい〜〜;;」
母さんが笑いながらやってきた。
「渚ちゃんったらホントにおっちょこちょいなのね〜」
「ぁははは〜〜;;」
「ゆう、渚ちゃんのこと、あんたがちゃんと守ってあげなさいよ〜」
「言われなくてもわかってるよッ!!」
「フフフ。はい、渚ちゃん。湿布♪」
「あ、ありがとうございます〜〜」
「渚、お前、階段とかほんとに気をつけろよ〜〜??」
「うん〜;;気をつけます!!」
「よろしい。」
「ぅふふふ・・・♪渚ちゃんとゆうったら、本当に仲がいぃのね〜」
こういう毎日が俺にとって本当に幸せだ。
渚が俺の前で笑ってくれて・・・
本当に、俺が渚のこと守ってやらなきゃな・・・
「・・け・・・雄輔??」
「・・・あ・・・な、何!?」
「どしたの〜??ボーーーっとして〜。」
「いや、なんでもない!」
「ふぅ〜ん??」
「あ、それよりさ、今日どうする!?」
「デートッ!?」
「おぅ!」
「わーーー♪」
「どこ行きたい??」
「う〜ん・・遊園地!」
「遊園地かぁ〜・・・じゃ・・さっさと準備して行こーぜ!!」
「うん♪」
遊園地・・・前に一度、渚と2人で行ったことがある。
中学2年生の夏休み
***
「雄輔〜!!」
「お、おぃ!!」
「早くーー!!!」
「へいへい・・・最初からジェットコースターかよ・・・」
「はーーーやーーーーくーーー!!」
「あーもー!!わかったよ!!」
***
あんときは、遊園地入って1分でジェットコースターだもんな〜。
俺、実は絶叫系ってあんまり好きじゃなかったりするんですけど・・・
カッコ悪いと思って黙ってたおかげで渚に散々付き合わされてさ〜
そのおかげでまぁ、ずいぶんと克服できたんじゃねーかとは思うんだけどね。
「雄輔!!!」
「ん〜??」
「ジェットコースター!!!」
「お前・・・変わってねぇ〜なぁ!!!」
思わず笑いがこぼれる。
「え・・・な、何が!?」
「いや、何でもないw」
「何〜〜!?」
「何でもなぃよ。ほら、あれ、乗るんだろ??」
「うん!!!」
「ふはは・・・w」
『お待たせいたしました。発射いたしますので、シートベルトに・・・』
――それにしてもジェットコースターって・・・
「雄輔、どうかした??」
「い・・・いや、別に・・・」
ガタンガタンガタンガタンガタン・・・・
「う・・・」
「雄輔・・・??」
く・・・来る・・・ッ!!
ゴゴゴゴォォォォォ======・・・
「ぎ・・・・ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!!」
―――何回乗っても慣れませんね・・・・・・;;
「っあ〜〜!!たのしかったぁ〜!!」
「ハハ・・・そうだな・・・」
一体何回同じジェットコースター乗せられたんだ俺・・・
「お・・・もう6時か・・・」
夢中になって、こんなに時間が過ぎてるとは気付かなかった。
「え、もうそんな時間!?」
「うん・・・じゃあ、次で最後にしようか。何に乗る??」
「そっかぁ・・・うん、じゃあ、観覧車!!」
「よし・・行こう。」
観覧車かぁ・・・。
観覧車には特別な思い出がある。
前に遊園地に来たとき・・・
***
「ねぇ、最後に観覧車乗ろうよ!!」
「え・・・、でももう時間が・・・」
「いぃから!!ね!!」
「おぃ・・・!!」
時間ギリギリに乗り込んだ観覧車からは、兵庫の夜景が見えた。
「うわぁ〜〜!!」
渚の目が夜景に反射してきらきら光っている。
「高いな〜」
「キレイ・・・」
「うん・・・そうだな」
「雄輔・・・あのね」
「うん??」
「あたしね、遊園地きたのって今日が始めてなんだ!!」
「え・・・」
「もしかしたらね、小さい頃にお父さんかお母さんと一緒にきたかもしれないんだけどね・・」
「そっか・・・」
「うん。遊園地にきたら何か思いだせるかもって思ったんだけどね」
「駄目・・だったんだ」
「うん・・へへへ・・・」
俺の向かい側に座っている渚は、俺に向かって無理に笑顔をつくってみせた。
「渚・・・」
「でもね、今日は雄輔と一緒に遊園地来れて、本当に楽しかったんだよ!!」
「そっか・・・そりゃ良かった」
「うん♪ありがとうね♪」
・・・知ってるんだぞ俺は。
お前が遊園地にきてる家族連れをうらやましそうに見てたこと。
哀しい目で・・・・
「渚・・・ッ」
「ぇ・・・」
気づいたら俺は、渚を抱きしめていた。
「あ・・・あの・・・」
自分が渚の両親の代わりになってあげたいと何度も思った。
「雄・・輔・・」
代わりになんてなれるはずないのにな・・・
「ねぇ・・・どうしたの・・??」
渚・・・渚・・・もう泣くな・・・
「もう、泣くなよ。」
「え・・・あたし、泣いてなんか・・・」
渚は泣いていた。
本人は気付かずに泣いていた。
俺もいつの間にか涙を流していた。
少し・・少しだけだけど、
渚の悲しみをぬぐってあげられたんじゃないかって思った。
「渚・・・」
「ぅん・・??」
「わかるか??」
「何が・・・??」
「ここ」
「へ??」
「頂上だよ」
「あ、ホントだ!!わぁ〜!!凄い凄い!!」
渚がまた笑ってくれた。
良かった・・・。
「なぁ、渚。」
「ん〜??・・・んぁ・・」
俺は渚が振り向いた瞬間
渚の唇に自分の唇を重ねた
「ぁ・・・雄輔・・・今のって・・・」
暗闇に渚の頬が紅潮していくのがわかる
「き・・・キス・・・!?!?」
「真っ赤だなw」
「えぇッ!!////」
はずかしそうにする渚が可愛かった。
「初めての・・・////」
「うん・・・あ、なんか俺ごめん;;」
「ぃや・・いぃけど・・・////」
初めて・・・とか、深く考えないでしちゃったけど
女の子ってやっぱそういうの凄く気にする・・・よな;;
どうしようかな・・・
「ご・・・ごめんな?」
「うぅん!!いぃんだよ!!////」
「そっか」
「うん////」
ファーストキスが観覧車かぁ・・・なんかスゲぇロマンチックだなw
「また・・・来ような。」
「ぇ・・・」
「あ、ほら、いつかさ。」
「うん」
「お前と俺が家族になってさ・・・」
「ぇ・・・////」
「そしたらまた来よう」
「うん・・・」
***
「ねぇ、雄輔〜」
「ん〜??」
「約束・・・覚えてる・・・??」
「家族になったら・・・ってやつ??」
「うん・・・////」
「もちろん。今俺そんときのこと思いだしてたよ。」
「あ、あたしも!」
「そっか」
渚を2人で笑い合う
家族になったら・・・か
俺たちもう・・・
「家族・・・だよな??」
「ん・・・??」
「俺たちもう家族だよ。」
「え・・」
「俺と・・・母さんと父さんは、そう思ってる。」
「あ・・・うん」
「お前は??」
「あたし・・・いぃのかな??本当に」
「あぁ!だから一緒に住んでんだろ!!」
「うん・・・家族・・・」
「おぅ!!」
「ありがとぅ・・・」
観覧車からは、俺たちの新しいスタートの地、神奈川の夜景が見えた。
今回は自然に、渚を抱きしめた
そして頂上にきたとき、俺たちは優しいキスをした
俺は
―――ずっと渚と一緒にいられるように
そう願いながら
(オマケ)
「あ、あのさ。」
「ん〜??」
「次来るときはさ、俺たちの子供も連れて来ようなッ!!」
「ッ!!////」
渚・・・かわいぃッ////
―――バカップルでしたw
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