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色なし魔法士は今日もご機嫌  作者: 橘中の楽
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1の七 まずいかお

「アツムさん、ちょっといいっすか。」


「んー?ああ、デニスか。さっき言ってた課題のことかな。いいよいいよ、行き詰まった?」


「そうなんっすよ。ーーーあと、こっちはライラです。見ての通り魔力発動が苦手なんで、遠射魔法に困ってて。」


デニスに促され、ライラはひょっこりとデニスの後ろから顔を出す。

ライラの登場にデニスのエルダーであるアツムさんは、少し驚いたようだったが、よろしくねーと愛想よく手を振ってくれた。


ーーーどうやら色なし差別はない人らしい。


内心ライラはほっとため息をついた。

警戒心を緩めたライラの様子を見て、デニスも安心していた。

彼も紹介する手前、気まずい空気になったら自分がどうにかするしかないと身構えていたのだ。


デニスとライラの説明を聞きーーーアツムは何か思い付いたらしい。


「ちょっと、ライラの水球の魔法陣見せてくれる?」


「わかりました。ここで発動しちゃって大丈夫ですか?」


「お、上でも練習してたのに、まだ描けるってことは、魔力量は結構余裕があるのかな?ーーーでも、この後のために魔力は温存しよう。この紙に普通にペンで描いてみて。」


杖を構えたライラをアツムがやんわりと止めた。

差し出された筆記用具を受け取りながら、ライラは内心首を傾げる。


ーーー今日はやたらと魔力量の話をされるなあ。


ライラは自分の魔力量が多い自覚はあった。


魔法発動ができない一方で、周りの魔力の質や量を感じ取るのは得意だったのだ。

ライラが意識して調べようと思ったわけではない…それでも自然とわかったのが、同学年では魔力総量的にはライラが上から5本の指に入るということだった。


ライラの生家であるガブモンド家は優秀な魔法使いを多く出している。

ライラの両親も、国の公認機関である魔法師団の出身だった。

魔法の才能が遺伝によって決まることからも、ライラの魔力量の多さはそこまで不思議なことではなかった。


ーーーまあ、量がいくら多くたって、発動に難がありすぎるんだけどね。


ライラは何度繰り返したかわからない「もしも魔法発動ができたら」という考えを頭の隅に追いやり、描き上げた魔法陣をアツムに渡した。


「おおお、想像以上に高度なのきた。ーーーこれ自作?」

「いえ、フレイザー先生からかなりアドバイスをもらってます。」


ライラが首を振ったのをみて、アツムがふんふんとうなずいた。


「なるほど、あの人天才だもんね。ーーーでもさ、今回みたいな『遠くに飛ばせばいいだけ』みたいな単純な課題のときは、二つ魔法陣を描いて発動した方がいいよ?」


紙から視線を上げ、ニコッと笑ったアツム。

アツムのモスグリーンの髪がさらりと流れる。

その仕草は、密かに同フロアの注目を集めているのだがーーー学園事情、つまり人気者に疎いライラはアツムのことを知らなかった。


純粋に目を見開いている。

考えてもみなかったアツムの指摘に、すごい発想だ、と驚いていたのだ。

初対面の先輩に対して遠慮しているのか、言葉は出てこなかったが、ライラの表情が雄弁に物語っていた。


アツムは、無愛想にも見えるライラの、意外にもわかりやすい表情の変化に笑みを深めた。


「あはは。ライラ、目まんまるにしてる。ーーーフレイザー先生も結構意地悪だからな。絶対気づいてて教えてないね、これ。」


アツムの指摘にーーーライラは思い当たる節があったのだろう。

どこか遠くを見るような顔になった。


「ーーー聞いたことには答えてくれますが…それ以上は仕事じゃないそうです。『3年の課題なんだけどこれ。』って毎回言われます。」


「フレイザー先生っぽいなあ。複数属性の行使を理論で習うのは2年以降だから言わなかったのかもね。」


アツムはあははと変わらずに笑っているが、その内容にライラは全く笑えなかった。

金色の瞳が憂鬱そうに伏せられる。


「…今度は2年で習う内容なんだけど、って言われるんですね。」


「そうなるかもね。ーーーまあ、魔法陣よりは低学年向けなんじゃないかな?みんな意識はしなくても、水球の大きさを変えたり、今回みたいに遠くに飛ばしたりしてるでしょう?これを理論立てて理解して、複数属性を扱うようになるのが2年生以降ってだけだから。感覚的には一年生もやってることだしね。」


「ーーーその言い訳、使わせていただきます。」


「どーぞどーぞ。ふふふ、課題はできそうかな?後は二人でやってごらん。自分たちでクリアしないと補修課題の意味がなくなっちゃうからね。」



親切なアツムにお礼を言った後、ライラたちは4階に戻ってきていた。


4階につくなり、デニスが真面目な顔でライラに言った。


「ーーーアツムさんに言われたんだけど、俺がライラに触るとライラに魔力が流れて『ヒジョー』にまずいことになるらしい。決して触れるな。」


ーーー去り際にアツムさんがデニスを呼び止めていたので何かと思ったけど、そんな話をしてたのね?


ライラは、難しい顔をしているデニスに向けてコテンと首を傾けた。


「ヒジョーニ?ーーーなんか、逆に気になるね。」


ライラの発言が意外だったのかーーーデニスはキョトンとした顔になった。

そしてーーーすぐにやけに重々しくうなずいた。

ライラは、そんなデニスの仕草に少し笑った。

ミシェーラもライラも大人びているせいか、年相応の仕草が新鮮に映ったのだ。

デニスは、そんなライラの様子に気づき、不思議そうにしていたがーーーすぐにまた、真剣な顔に戻った。


「そうなんだよな。でも、アツムさん、お子ちゃまにははやいからって、笑うだけで、どうなるか教えてくれなかったんだ。」


二人は思わず顔を見合わせた。

ゴクリと唾を飲んだのはどちらだろう。


「ーーーエロい系ってことかな?」


二人しかいないにもかかわらず、なぜか声をひそめたライラ。

それに合わせてか、デニスもヒソヒソと返す。


「そうなんじゃねえ?なんか、ライラよりも魔力総量が多いやつしか関係ない話で、同学年では、ほとんどいないから普段は大丈夫だろうって話だったけど。」


デニスの説明によって、ライラがミシェーラと普段過ごしていても全く問題がなかった原因が判明した。

ミシェーラは魔力量が多い方だが、黄色属性に偏っていて、赤属性がその半分程度なはずだ。「総量」はライラの方が多いのだ。


成績優秀の評判は嘘偽りがないもので、アツムは優秀な生徒だった。

ライラたちと会話したあの短時間で、かなり特殊な例である色なしの魔法使いに的確なアドバイスをするだけでなくて、本人たちが気づいていない危険性にまで考えが及ぶのだから。



ーーーそれにしても。


「ーーーめちゃくちゃ気になるね?」


「ーーーだよな。」


「ーーー課題あって時間余ったらちょっとだけやってみる?ほら、わかってた方がこれからにも対処できそうだし。」


相変わらず潜められた声。

そして、ライラからなされた提案に、デニスは頷きたそうにしながらも、迷いを見せた。

しかし、好奇心が勝ったらしい。

赤の瞳を輝かせ、ニカっと笑った。


「ライラがいいなら、俺も気になるからやってみよーぜ。…ってこれバレたらミシェーラちゃんに殺されないかな?」


煮えきらないデニスの反応だったが、当のライラはすでに決心をしたらしい。

デニスに向けて、ニヤリと口元に笑みなど浮かべたりしている。


「ミシェーラも全く指摘してこないところ見るとたぶん知らないんだよね。ーーーどうなるか安全な場所で試してみたって説明すれば大丈夫じゃない?」


「ーーーライラがそういうなら。まあ、さすがのミシェーラちゃんでも俺は退学にできないから大丈夫か。」


デニスはそう言って、反応を伺うように、チラリとライラを見た。

しかし、デニスの予想とは異なり、ライラは非常に不満げな顔だ。


「ミシェーラが誰でも退学に追いやるみたいな誤解を招く発言はやめてくれる?」


「ーーー悪かったって。いや、気になるのそっちかよって思うけど。ライラと話してると調子狂うわ。課題やっちゃおうぜ。」


ちなみに、ライラはわかっていて「俺は退学にできない」発言をスルーしている。

ライラにとってデニスの出自が何であろうと、いい意味で興味がなかったからだ。

ライラにとって重要なのは王族くらいだった。その他の生徒は、多少の例外がいるものの、ほぼ同列なのだ。



その後で、ライラたちは小声の会議をやめ、課題のレポートを完成させた。

できれば実演もしたかったのだが、遠射魔法と水球魔法の基礎の魔法陣などライラは覚えているはずもなかった。

それぞれの応用系は頭に入っているのだが、どの部分が基礎魔法に関わるのか記憶が曖昧だったのだ。


脳内で、フレイザー先生が「理論を全く理解していない。脳みそ働かせろ。」と注意してきたが、ライラはぺっと隅の方に追いやっておいた。

残念ながら普段使わない記号の羅列をいつまでも覚えていられるほど、ライラの頭のつくりは良くないのだ。

暗記は寮に帰り、教科書を見ながら行う。

発動は明日の授業でぶっつけ本番でやるしかないーーーと算段をつける。


ライラにとっては幸いなことに、きちんと努力していけばアルフは補修に関しては合格点をくれる先生だった。「熱意が大事だ!」と繰り返し話しておりーーー「魔法陣が不発でも、全力で魔力を込めて気合を入れているふりをしておけばいけるだろ」、などとライラは考えている。


「ーーーというわけで終わったけど、本当にやるんだよな?」



デニスはここまで来ても決心がつかないらしい。

不安そうにライラを見つめる。


しかし、なぜかライラが大変乗り気なのだ。


「やるよ、ーーーなに?怖くなっちゃった?」


ーーーなどと、大人気なく煽ったりしている。

デニスはライラの予想した通り、わかりやすい挑発にも乗ってきた。


「ーーーっな訳あるかよ!…てか、お前がそれいうのおかしくないか?」


まだ話をしているデニスをよそに、ライラはいそいそと手袋を外していた。

ライラの脳内には門限までの残り時間とーーー久々に、幼い頃に聞かされた、両親の言葉が浮かんでいた。


ーーー今思えば、父さんから「絶対にこの手袋を外さないようにしなさい。」って口をすっぱくして言われたなあ。


ライラにとっては、手袋をしていることが当たり前すぎて意識していなかったのだが…ライラの手袋は魔力を通さない素材でできている魔道具の一種だ。

持ち主の手の大きさによってサイズが変わり、汚れもつかない代物だった。


ライラの両親は「色なし」の体質を知っていたのだろう。家族で触れ合う時もライラには手袋とスカーフをつけさせ、彼ら自身も常に手袋をしていた。


ライラは無意識に胸元のサークルペンダントをいじっていたがーーー目の前に立ったデニスと目が合うと、すっと右手を前に出した。


「ーーーん。」


ライラの差し出した手のひらの、その指先の白さにーーーデニスは息を飲んでいた。

手袋のせいか、全く日焼けのない、傷のない指先は、戦闘職の多いデニスの家系ではみることのないものだった。


デニスが固まっているとーーー焦れたのか、ライラが自分からデニスの指先を掴みにいった。


発育の良いデニスの長い指に、ライラの右手が重ねられる。


指先がほんの少し触れ合っただけだった。

それでも二人の間に確かに魔力が流れたのがわかった。


「ーーーひゃっ!」


ライラは生まれて初めて感じるーーーまるで電流が流れたような感覚に慌てて手を放す。


しかし、次の瞬間立っていられなくなってその場にへたり込んでしまった。

視界がぼやける。あまりの気持ち悪さにライラの目には涙が滲んでいた。


体内で、他人のーーーデニスの魔力がグルグル回っているのがわかる。

平衡感覚がおかしくなり、さらに床に倒れ込みそうになったところでライラはデニスに支えられた。


そんな、デニスにとっては突然倒れ込んだライラに、デニスは最大級に混乱していた。

しかし、そんな状況下でも運動神経の良さからか、突際に手を出しライラを抱えることができたことにホッと息をつくデニス。

体制を整えながらも、肌が触れ合わないように細心の注意を払う。

ライラの不調は、明らかに先ほどの接触が原因だとわかったからだ。


「おい、ライラ??大丈夫か?俺なんも感じないから全然状況わかってないんだけど。ーーー何かできることある?」


慌てた様子のデニスを安心させるように、ライラはなんとか笑みを作る。

ライラの瞳には涙の幕が貼っており、今にもこぼれ落ちそうだった。

顔が赤く、若干息も上がっている。


予想していた以上の状態の悪さにライラも混乱していた。

それでもなんとか顔を上げデニスに向き直り、鞄の中から火の魔法に関する魔法陣を描いたものを取ってきてほしい、と言葉にした。そして、思ったより至近距離にあった真紅の瞳と視線が合う。


ーーーライラと目があった瞬間、デニスは真っ赤になった。

慌てて距離を取ろうとし、ライラを支えていることを思い出して固まった。


そんなデニスのーーー他人の非常に挙動不審な態度を見たことで、軽いパニックになっていたライラは逆に落ち着きを取り戻していった。

そして、内心ごちる。


ーーーそれにしても、これは体験しておいて良かった。


初めての感覚だったのだ。

自分の中に他者の魔力が入ると全く力が入らなくなる、正直、アツムの忠告を舐めていたとしか言いようがない。

デニスを巻き込んだことに多少の罪悪感を覚え、少しばかりライラは反省していた。


ライラが落ち着いてきた思考でそんなことを考える中、デニスはライラをそっと横たえると、全速力で魔法陣をとってきてくれた。

そして、ライラの顔の前にばっという効果音がつきそうな様子で二枚の紙をかざす。


「ーーーデニス、こっちじゃない。左手に持ってる方の、魔力がこもってるやつ。」


デニスはどこかギクシャクとしながらも、ライラの指示通りに動いていた。

時間にして一分ほどで、ライラの手に魔法陣が描かれた紙が渡った。


そして、赤属性の魔法をライラが発動すると、体内の魔力バランスが戻ったのだろう。

ライラはグルグルと回転していた世界がいつもの状態に戻ったのがわかった。


それでも銀色の頭はまだ少しフラフラと揺れていたがーーーもうすぐ寮の門限だ。

デニスにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないと、ライラはなんとか自力で立ち上がった。


デニスが無言で差し出してきた手袋をはめ、身なりを軽く整えると、少しおぼつかない足取りながら、扉の方に歩き出す。


そんなライラを、慌ててデニスが止める。


「ライラ、もう少し休んで行こう。」


「でも、門限まで後15分だよ。そろそろ出ないと。」


「移動プレート拾ってくれば、5分で部屋まで戻れるだろ。ーーー言わせんなよ、その顔で外歩かせられない。」


真剣な赤い瞳がライラを見下ろす。

先ほどまで、おろおろとしていた人物とは思えない。


そんなデニスの態度に、ライラは吹き出してしまった。


笑われたせいだろう。デニスはすぐにふてくされたような顔になる。

しかし、自分の主張を曲げるつもりはないらしい。


ここは絶対に通さないとばかりにライラと扉の間に立ち塞がっている。

どうやらデニスの何かのスイッチを押してしまったらしいとようやくライラも気付く。


「ーーーそんなに()()()顔してる?」


苦笑いで尋ねるライラに、デニスが、舌打ちでもしそうな顔でうなずいた。

その表情は先ほどまで、ライラの前でうろたえていた少年と同じものとは思えないほど大人びていた。

ライラはその変化の理由がわからず、内心で首を傾げる。


「ちょーまずい顔してるよ。俺、今自分がマスキラになっても正直驚かない。」


真剣な表情のデニス。

ライラは急に燃え上がった炎のような、その瞳の温度に気づかないふりをしつつーーーどうしたものかと頭を働かせる。


デニスの睨むような視線を受けても一向にうなずかないライラ。

堪えきれなかったのか、デニスは軽く舌打ちをしていた。

ライラはどうやら小さな騎士の機嫌を損ねてしまったらしい。


ーーーでもなー、ここでデニスに送ってもらうと、多分下に残ってる先輩たちに気づかれるんだよなあ。


ーーーよし決めた。こうしよう。


「じゃあさ、今から頭から水かぶるから。デニスはわたしと一緒に外に出て、移動プレート捕まえてきて?」


「ーーーは?」


急なライラの提案に、デニスは驚きで固まった。

ライラはデニスに反対される前に、先ほど使わなかった水球の魔法陣を取り出した。ーーー特大のやつだ。


「ーーー水よ。」


ライラの体長ほどもある水球を頭上に出しーーーコントロールを切った。

見事に、ライラの頭上で水球が球形を失う。


「ーーーちょっと、ライラ、待って…聞いてねえな!どんだけ水出してるんだよ!おいやめろって!」


ーーー結果として、全身から水を滴らせたライラが完成したのだった。


「あはは。魔法のコントロール失敗しちゃった。ーーーというわけで、ここでの内容は他言無用でお願いね。寮にかえろ。」


のほほんと笑うライラを見てーーーデニスははあああ、と大きなため息をついてしゃがみ込んだ。

時間を思い出したのか、すぐさま立ち上がったが。


「はあー。言えるわけねーだろ。ーーー早く帰るぞ!それで着替えろよ!」


結局、ライラがずぶ濡れのまま降りていくと、ちょうど移動プレートで帰るところだったアツムに出くわた二人。

アツムは爆笑しながらも、ライラを乾かして元の状態に戻してくれたのだった。


アツムはついでに自分の移動プレートにも乗せてくれた。

再度見ることになった赤いプレートにライラは首を傾げる。

案外多くの人が持っているのか?などとライラは考えているが大きな誤解である。


アツムのプレートのおかげもあり、余裕を持ってライラとデニスは寮に到着した。

しきりにお礼を言う二人に、アツムは気にしないでーと手を振り返す。


デニスがそっとライラの腰に手を回している。

ドアが閉まるまで二人を見送り、アツムはニヤリと笑った。

随分と打ち解けたように見える一年生二人を見て、アツムは確信する。


「あいつら試したな。」ーーーと。


もちろん根拠などなかったが、確かにそう感じた。

特に、黒曜石からライラが降りるときにエスコートするデニスを見た際には、笑いそうになってしまった。


「あれは落とされたかー。でも、ライラは魔性っぽいしなあ。そもそもミシェーラ嬢の『ナイト』がライラでしょう。フィメルなのかさえ怪しいじゃん。」


ーーーお坊ちゃんのエルダーなんかめんどくせえと思ってたけど…案外楽しいことになるかも?ライラにちょっかいかけてみたら、デニス怒るかなあ。


アツムが少しだけその場でとどまっていると、普段は見かけない赤いプレートに、生徒たちが集まってきていた。

アツムはすぐにいつも通りの優等生の仮面をつける。

彼の名前を呼ぶ声に、手など振りつつ…その場にいた生徒たちが驚くほどの魔力を魔石に込めた。


そして、生徒たちが慌てて道を開けた次の瞬間ーーー文字通り、風のような速度で姿を消したのだった。




















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