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色なし魔法士は今日もご機嫌  作者: 橘中の楽
色なし魔法士は主席魔法士のお世話役
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5の六 魔力増幅

特別寮の談話室で…ジョージ=フックスはぽかんとまぬけヅラになっていた。

それもそのはず、ライラとデニスを手伝いに巻き込んだ途端なぜかパーシヴァルが最強位決定戦の運営を取り仕切ってくれる様になったからだ。


ーーーやってくれるなら初めから俺に振るなよ!俺の苦労を返せ!


血の涙を流しつつもパーシヴァルから振られた仕事に向き合うジョージ。


…パーシヴァルが出てくる原因はおわかりであろう。

ライラである。

積み上げられた課題。

フェルの不調。

さらに増えた黒薔薇団の仕事。


どんどん顔色が悪くなっていくライラを見てパーシヴァルが不思議に思った様だ。

そこで自分が投げた仕事がどうなったのか初めて知ったらしい。


「俺は俺で王宮の仕事で忙しいのに…あいつほんと使えねえな。」


ちっと舌打ちなどしながらもジョージから仕事を取り上げ、さっさと片付け始めたのだ。

手伝おうとしたライラには不機嫌そうにお前は寝てろと長椅子へと向かわせた。


「でもパーシヴァル様、一度はジョージと約束したのです。」


流石に寝ているだけはと困った顔になったライラ。

パーシヴァルは少し考える様な仕草の後で、最強位戦当日に向けたジョシュアとイアハートとの調整の役割をライラに振っていた。

ただし、魔力通話で連絡を取り合って決して動き回るなと釘を刺すのはわすれない。


口調は厳しいものの…その声色の甘さにジョージは信じられないと言わんばかりにパーシヴァルを二度見していた。

そこにレイモンドがやってきた。

怒られると思ったのか慌てた様に立ち去ろうとしたジョージをレイモンドが手招きする。


不思議そうな顔をしているジョージにレイモンドはジョージが気がついていない事実を教えてやる。


「パーシヴァル様がジョージばかりに仕事を振る理由わからない?」


ジョージは「俺が嫌われてるからじゃないんですか?」としょんぼりと肩を落とした。

レイモンドは苦笑いして「違うよ」と首を振る。


「今年の黒薔薇団のメンバー。…ビバリーちゃんを除く全員が今年卒業するって気がついてる?」


レイモンドの指摘にジョージの動きが停止した。

そしてサーッと青ざめた。

ジョージの反応を見ていたレイモンドは肩を震わせている。


「やっぱ気がついてなかったか…。ジョージは全部の仕事を覚えたほうがいいよー。ビバリーちゃんに黒薔薇団やこの学園の行事全てを回すのは無理だ。」


ジョージが「ライラックやデニス、ミシェーラちゃんも卒業するんですか?」とこわばった顔で聞いた。

もう一年はいると思っていたと。

しかし、レイモンドが首を振る。


「王族の意向でミシェーラちゃんとライラちゃんは卒業が決まっていると思っていい。…デニスは自分だけ残るわけないだろうしね。四年生の授業まで履修してるでしょ?」


ジョージが見落としていたのも無理はない。

普通であれば、魔力の成長が止まる十五歳までは中等部で過ごすのだ。

高等部は魔力操作法を中心に学ぶ事になる。

魔力の最大量が判ってから入学したほうが効率がいいのだ。


「そもそも高等部進学が狭き門なのもあって普通は中等部で出来る限り粘る人が多いからね。ーーーまあ何事にも例外はあるって事で。来年から頑張ってねー?」


ニコニコと笑うレイモンドをジョージが泣きそうな顔で見た。

しかし「例外ってどう言う事ですか」などと聞くことはなかった。

ジョージの生家であるフックス家も「黒竜の儀」について情報が入ってきているのだろう。察するところがあった様だ。

そこでレイモンドがパーシヴァルに呼ばれた。

取り残されたジョージはしばらく呆然としていたが、一つうなずいたあとで働き始めた。

その顔に先ほどまでの不満はない。


パーシヴァルの登場によって数日で前準備は終わった。

最後の招待客リストの確認を終えたメンバー。

自然と集まってしまったようで…打ち合わせたわけでもないのに特別寮の談話室の机を取り囲んでいる。

この机は「空気を読む机」と呼ばれていて、会議の人数が増えるたびに大きくなったり椅子を出してくれたりする。


「イアハート史上最高傑作にして最高に才能の無駄遣い」とパーシヴァルには呼ばれていたりする。便利ではあるのだが。


ジョージが「終わってよかった!」と叫んで隣に座るデニスに蹴られていた。


さあ解散だとなりかけたところで…「ジョージ」と呼びかける声。

パーシヴァルだ。

ジョージはびくりと肩を震わせた。

それでもこれまでの反射か「はい!」と大きく返事をして大きな机をぐるりと回るようにして駆け寄っていった。

パーシヴァルの足元にサッと膝をつくジョージ。

パーシヴァルはゆったりとした姿勢のままでジョージを見下ろす。


「俺も魔力増幅見たいからやるとき呼んで。」


じっとパーシヴァルに見つめられて徐々にジョージの顔が紅潮していく。

ライラは「わかるわかる」とうなずき、レイモンドはあちゃあと言わんばかりに天を仰いでいた。

しかし終わりではなかったのだ。

コクコクと壊れた機械の様に頷いたジョージの反応を見て…少し悪い顔になったパーシヴァルがジョージの頬にするりと手を滑らせた。

ジョージの動きが完全に止まった。


「お前には期待してるから。」


にこりと笑ったパーシヴァル。

ジョージは不機嫌顔が通常運転のパーシヴァルが笑ったのを初めてみたのかもしれない。側で見ていたライラはジョージからボン!と音がした気がした。


ーーー人間ってあそこまで赤くなるんだ。


ジョージの反応を見てふふふとパーシヴァルが笑っているとレイモンドが「年下をからかっちゃダメですよー。」と歩み寄ってくる。

ひょいとパーシヴァルを椅子の後ろから抱き上げた。

ライラはレイモンドがパーシヴァルを抱えるのを見るといつも筋トレしなければと考えさせられる。

脳内のミシェーラが応援してくれた。最近サボりがちなので今日あたりやってみるのがいいかもしれない。


真面目な顔をするライラの横で、フェルは最近つけ始めたという日記を書いていた。

尻尾を巻きつけて器用にペン先を走らせるフェルを見て、デニスが感心している。


「フェルって本当に器用だよな〜何書いてるのかは全然読めねえけど。」


頬杖をつきながらデニスが言う。

フェルは「ライラには読めるからいいの」と舌を出した。

魔獣の言語らしい。文字にできるのは一部だけらしいが。


「いきなり魔法陣描いたり、次は日記書いたり…最近のフェルは面白いな!」


笑うデニスを無視してフェルはせっせと文字を綴り続けている。


ーーーライラはこれ見て、ちょっとでも元気になればいいけど。「あの方」が数百年間いっつも愛おしそうに秀策の日記を見てたから真似してみたけど…意外と書くのも楽しいな。


そんなフェルの内心を理解するものはここにはいない。

いや、世界中探してもいないかもしれない。

彼の真の意味での理解者はもうこの世界に存在しないのだ。



数日後。

参加者に魔法剣術部の部員が多いため、部活の定休日を選んで放課後の実技場に集まった一同。

ライラはジョージがフィメル化するかと期待していたのだがニュートのままだった。ライラがそう指摘するとーーー


「ーーーレイモンドさんが殺すぞと言わんばかりの目で見てきたし、俺はそこまで命知らずじゃない!」


いつも口を開けて豪快に笑うジョージらしく、「嫉妬されてしまった!はっはっは」と楽しそうに言われた。


それにしても、とジョージが驚いた様に言った。


「なぜシャーマナイト先生がここに?シリル君は何となく来るかなと思っていたけど。」


ジョージはパーシヴァルに寄って行って「あっちいけ」と追い払われているジョシュアを指差してライラに問いかけた。


ライラとしてもこれは予想外の出来事なのだ。

成り行き、としか言いようがない。


「ジョシュア様の手伝いをしているときに魔力増幅を教えてもらうって言ったら、危ないからついてくるって。ーーー優しいよね!!!」


ーーージョシュア様はパーシヴァル様がいるからきたのもあるんだろうけど、たくさん一緒に行動できるのは嬉しいからジョシュア様の予定が空いていたのはラッキーだね。


実際は無理やり予定を開けさせたのだが…ライラはそのことを知らない。

ジョシュアは魔力増幅など事故に見せかけて暗殺するのにもってこいだと考えてしまったのだ。

パーシヴァルには自分がいるのに心配しすぎだと言われてしまったが。


ジョージはうへへへへ突然笑い出したライラを少し引いた目で見た後で…「お前がくると王族の方が一緒に来る気がするのは気のせいか?」と言った。


気のせいではない。大正解である。


首をひねるジョージにデニスがさささと近寄って行った。


「頼んどいてあれなんだけどさ…このメンツでお前が教師っておかしいよな?」


デニスの言葉にジョージが「うむ」と頷いた。

そして先ほどからだるそうに立っているシリルの方をビシッと指差した。


「シリル君が一番増幅がうまいと思う!彼に見せてもらおう!」


突然指名を受けたシリルは嫌そうに顔をしかめた。


「え…?何で俺…?」


しかしジョージは折れなかった。

金色の瞳を期待でキラキラと輝かせてシリルに近寄っていく。


「授業中に一回増幅の授業があっただろう?無駄の全くない魔力の流れ。わずかな魔力を何百倍にも膨れ上げさせた魔素変換能力…もう一度見たい!」


ズズっと近寄られてシリルがたじたじになっている。


ーーーシリルは確かに先生にはふさわしいだろうけど、適度に手抜きしてる風なんだよな。


ジョージが言っている増幅の授業の時も、周囲の注目が集まってる事に気がついて「やべえ、やりすぎた」と呟いていたのだ。

物凄く羨ましかったのでよく覚えている。

ライラも一度くらいやりすぎてみたい。


ライラがそんなことを思っているとーーーシリルが根負けした。


「判ったから離れろ、暑苦しい。…お前がやってみな、三四年生の中だったら圧倒的にうまかったよ。悪いとこ教えてやるから。」


自分でやるよりは、とシリルが出した妥協案。

ジョージはシリルの言葉に「覚えていてくれたのか!」と顔を輝かせている。

ライラはデニスと並んでジョージが魔力の球をぐんぐん大きくするのをみていたがーーー何が起こっているのかさっぱりだった。


二人で首を捻っているとーーーパーシヴァルとジョシュア、レイモンドがやってきた。

ライラは振り返りーーー「わああああ!」と叫び声をあげた。


カシャカシャカシャ!

ライラが魔力通話で二人を撮影した音だ。


「おい消せ!」

「ライラ、後で送ってくれ。」


ーーー何がどうなったか知らないけど、ジョシュア様に抱え上げられるパーシヴァル様とかサービス過多すぎる!!!


「おろせ!」と暴れるパーシヴァルをジョシュアは離さないとばかりに捕まえている。身体強化を使っているあたりにジョシュアの本気度が窺える。


パーシヴァルが暴れるのを片手で押さえながらライラと写真を選び始めたジョシュア。

急に騒がしくなった空間に呆れ顔だったデニスは、同じく苦笑いしているレイモンドに話しかけた。


「どういう状況っすか?」


「んーとね。パーシヴァル様がいつも通り急に歩くの疲れたって言い出して…俺が抱えようとしたらシャーマナイト様がヒョイって。ーーー羨ましかったんだって。『今日だけ借りてもいいか?』って真顔で聞かれて頷いちゃったよ。」


思い出し笑いするレイモンド。

デニスは「歩くの疲れたって三歳児かよ」と呆れている。

自分もライラをしょっちゅう抱え上げていることは棚に上げている様だ。


写真を無事交換したジョシュアは名残惜しそうにしながらもパーシヴァルを下ろしていた。あまりに嫌がっているのでかわいそうになった様だ。

しょんぼりとするジョシュアをライラが必死に慰めていた。


パーシヴァルは不満げな顔だったが…すぐに「ライラ」と呼んだ。


「魔力増幅の練習のために来たんだろ?フェルがいないからってサボるんじゃねえよ。」


ライラは図星だったのかスッとパーシヴァルから視線を逸らした。

ライラにも言い分はある。そもそもジョージがシリルに教えてもらうのに夢中なのがいけない。


ーーー魔力増幅って授業では習ったけどさっぱりなんだよね。


魔力増幅は自分から出した魔力を核にして空中の魔素を魔力に変換して何倍もの威力の魔法が使える様になる技術のことだ。

上位魔獣はまず間違いなくやっているし、ジョシュアやパーシヴァルの黒魔法も魔力増幅が行われているそうだ。

しかし、ライラはその空中の魔素を変換するという一番重要な部分がさっぱりだった。


黙り込んだライラを見てパーシヴァルは眉を上げた後で「とりあえず杖くらいだせ」と促した。

ライラがゴソゴソとカバンを漁って杖を取り出した。


「ライラはどの辺がわからないの?」


パーシヴァルの疑問にライラは「空中の魔素を変換できる気がしない」と正直に答えた。横でデニスも頷いている。

そんな二人にパーシヴァルは魔素と魔力の違いを説明してくれた。


「魔素単独じゃ何もできない。でも魔法使いや魔獣が持ってる器で変換すると魔素は魔力になって火や水…いろんな性質を持つ様になる。ーーーまず大切なのは想像力だ。自分の外にある魔素も変換できるんだって頭で理解することが大事だぞ。」


ふんふんと頷いていたライラとデニス。

デニスが入っと手をあげた。


「エゲート様はどういうイメージで変換してるんですか?」


デニスの質問にパーシヴァルは不思議そうな顔になった。


「どうやってって…魔素が話しかけてきてる気がするんだよね。今は青の魔素が多い時期だろ?水にしていいよとかこの濃度なら氷もいけちゃうよとか。ーーー聞こえねえ?」


ーーー全く聞こえませんね!!


ライラはあんぐりと口を開けたが…デニスはなぜかピンときたらしい。


「もしかして魔力の球を作るときとかに『ここが余分だよ』とか『ここはもう少し足しておくね』とか聞こえるのって?」


パーシヴァルは「それ!」とデニスを見て嬉しそうに言った。

分かり合えた様で何よりである。


デニスとパーシヴァルによる魔素の声を聞く会が発足したところでジョシュアがライラの元へと近寄ってきた。首を捻っていたため理解できなかったのはバレていた様だ。


「ーーー魔力増幅のはじめの段階は無駄をなくすことだ。…ライラは普段魔力の球だったり壁を出すときに何を考えている?」


ーーー何をって、丸いもの…フットサルの玉とか?


ライラの答えにジョシュアは首を振った。


「想像は細かく、正確に行うんだ。例えばだが…ダイヤモンドはものすごく硬いだろう?あの分子構造の形を参考にして魔力を汲み上げるとものすごく強固な球が作れる。」


ジョシュアはそう言って手の平に青い水球を作った。

テニスボールサイズの球だ。

「触ってごごらん」と言われたためライラは手を伸ばし…石の様な感触に驚きで目を見開いた。


「すごく硬いです。」


ライラの感想にジョシュアは頷いた。

そしてサッと水球を消す。

相変わらずの鮮やかな魔力操作にーーーライラは思わず感嘆のため息が漏れた。


次にジョシュアは空中にダイヤモンドの構造を書いて教えてくれた。

ライラはジョシュアに言われた通り魔力を並べていく。

ライラの操作技術ではジョシュアほど緻密な構造は組めなかったが…今までとは比べ物にならないほど硬い球が作れる様になった。


「すごい!これってシールドにも応用できますよね?」


ライラが笑顔で言うとジョシュアが頷いた。


「高等部ではこうした魔力の扱いについて習うんだ。ーーー外部の魔素に働きかけられなくてもライラは自分の魔力が多いからある程度のことはできる様になる。短所を補うのもいいが長所を先に伸ばすことが大切だ。」


「はい!」


ライラがせっせと魔力の球の密度を上げ始めたのを見てジョシュアは頷いた後…今度はレイモンドへを呼んだ。


レイモンドは驚いた様に駆け寄ってきた。

「俺もっすか?」と戯けたように言って当たり前だとジョシュアに返されている。


「パーシヴァルは護衛をつけたがらない。しかも今いるメンバーを見た感じレイモンドを鍛えるのが一番早い。ーーー部活動交流会で竜を作っていたところを見ると魔力増幅はある程度できるな?」


さりげなくクリストファーやドロレスといった護衛騎士に「使えない」という評価を下したジョシュアに苦笑いしつつレイモンドは「一応できます」と答えた。


しかしジョシュアは「一応」では満足できないらしい。

不満げな雰囲気になった。

顔は無表情なのだが声が不満げなのだ。

嫌な予感がしたのだろうか、レイモンドが後退りしようとしてジョシュアにがっと腕を掴まれている。


「パーシヴァルは強い。でも知っての通り黒魔法を使うと今でも力が抜けるようだ。…わたしはお前を鍛えるぞ。パーシヴァルに傷一つつけてはいけない、そうだろう?」


「パーシヴァル様のこと大好きですねー」と苦笑いしつつもレイモンドも真剣な顔になった。

ジョシュアの竜魔法講座を真面目な顔で聞いている。


「え!?竜の形にしてるのってかっこいいからじゃないんですか?」


「ーーーそう思っている魔法使いも多いが、魔力の形として一番効率がいいのが竜の形なんだ。だからできるだけ緻密に再現した方がいい。レイモンドの魔法は翼の部分が…」


結局その日は日が沈んで下校時刻ギリギリになるまで練習が行われた。

デニスは魔力増幅だけでなく反魔法のコツも掴んだと嬉しそうにライラに語っていた。

ライラも「豆腐シールド」と呼ばれていたのが普通のシールドくらいの強度になったので大きな進歩といえるだろう。

途中で合流したフェルがライラの魔力増幅の才能が皆無だと知って頭を抱えていたが。


「やっぱりライラはダメだ。デニスを鍛えた方がいいね。」


フェルがそんなことを言うのでライラはふてくされていた。

そんなライラに追い討ちをかけたのはミシェーラだ。

一同が特別寮に帰ってきた際に彼女は偶然食堂にいたのだ。


「みんな揃ってどうしたの?今日は活動日じゃないわよね?」


「ミシェーラー!聞いて!私シールドの強度上がったの!」


ライラが満面の笑みでミシェーラに抱きつく。

よかったわねと笑っていたミシェーラだが…話を聞くうちに、ライラの魔力行使時の想像の稚拙さに呆れ顔になっていた。


「ダイヤモンド構造なんて教科書に載ってるわよ?」


「嘘でしょ!?」


ライラは慌てて自分の鞄を漁った。

ミシェーラのいう通り、教科書に載っていた。

端の方にコラムとして小さく。


「コラムなんて読んでないよ!?」

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