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色なし魔法士は今日もご機嫌  作者: 橘中の楽
色なし魔法士は主席魔法士のお世話役
84/103

5の三 魔力荒れのちミーティアウィーク

ーーーああこれは夢だ。


何度も同じ夢を見過ぎてすぐにわかるようになってしまった。


白鳥城とも名高いプロイセンの城壁前の湖は惨状と化していた。


「ーーーこれをやったのは誰だ?」


低い声でジョシュアが問う。

彼の腕には白銀の髪のニュート。ぽたりぽたりと真っ赤な血が垂れるのが痛ましい。


「こたえろよ…わたしの大事な国民を傷つけたのは誰だ!」


夢の中でジョシュアが叫んだ。

遠くで赤竜に抱えられたシリルが抵抗しているがしっかりと押さえ込まれているのが見える。

バッと黒魔法が広がり、逃げ損なった魔法使いの髪が一瞬で真っ白になった。


「ば、化け物め死ねええ!」


剣に魔力を纏わせて近づいてきた騎士。

しかしジョシュアが一瞥しただけで髪が白くなって足を縺れさせて転んだ。


「人間じゃない。」

「なんであいつがここに?」

「化け物だ。」

「バケモノだ」

「バケモノダ…」




ジョシュアはガバリと体を起こした。

寝汗でぐっしょりと濡れた寝巻きを乱暴に脱ぎ捨てる。

引き出しから自分で新たな服を取り出したところで…その生地が耐魔力加工されていなかったのだろう。

ジュっと音を立てて破けた。

そこでようやくジョシュアは体の中の魔素が、放出されている魔力が、荒ぶるジョシュアの感情に合わせるように渦巻いているのに気がつき舌打ちする。


服を着るのを諦めて手元にあったベルを鳴らしたジョシュア。

音を聞きつけ、間髪入れずにーーー普通、これだけ荒れた魔力の中へと入るには勇気がいるものなのだがーーーライラは平気な顔で入ってくる。

フェルがしっかりシールドを張っているにしても、変わった人間だとジョシュアは思う。


「わー、見事な肉体美!」


寝台へと半裸で座るジョシュアをしっかり目に焼き付けたらしいライラ。

ふざけたような口調でジョシュアを称賛しつつも、ジョシュアの手にある服に穴が開いているのを確認し、ライラは自分が呼ばれた理由を察したらしい。


「耐魔法加工のついた服ですね。ーーーちょっと待ってください。…よし、フェルも一緒に探そう!」


「ーーーもう見つけたよ?」


「優秀か!わたしより使用人スキル高いじゃん!」


「ーーー誰のせいだろうね?」


やいやいと言い合う二人を見てーーージョシュアは自分の中の高まっていた感情が収まってくるのを感じていた。

夢の中で倒れていたライラがこうして元気そうな姿を見せているというのもジョシュアを安心させた。


九月の最終週。

去年と同じくジョシュアの黒魔力が荒れて手をつけられなくなった。

パーシヴァルが始め呼び出されたのだが…すぐに不機嫌そうに言ったらしい。


「喜んで世話焼きたがる奴がいるのになんで俺が呼ばれたの?」


ーーーその場でパーシヴァルはライラを呼び出した。

浮遊魔法で文字通り飛んできたライラを見て、オズワルドは申し訳なさと安堵が混じり合ったような表情をしていた。


ボーッとしているジョシュアにフェルがせっせと服を着せた。


結局フェルを応援しているだけになったライラは「あれ、わたしいらない?」と内心首を傾げながらジョシュアの着替えを見守った。

これでよし、と退出しようとしてーーーガシッと服の裾をジョシュアに掴まれた。


「ど、どうしました?」


ジョシュアの珍しい行動にライラは振り返りーーージョシュアが迷子のような表情を浮かべていることに気がついた。


ーーー魔力が荒れる期間は悪夢を見るんだよね。


パーシヴァルが語っていたことをライラは思い出した。

その上、ジョシュアは一日中一人でこの部屋に篭っている。


ーーーわたしごときでもジョシュア様としてはいると安心するのかもしれない。


内心で「かわいすぎか!」と突っ込みつつも、さすがに場を弁えたライラは優しげな笑みを浮かべてジョシュアを振り返った。

視線があっても離れない裾を見て…そっとその場で膝をたて、ジョシュアを見上げるような姿勢になった。


「怖い夢でも見ましたか?ーーーわたしで良ければお聞きしますよ。」


悪夢は話せば正夢にならないって言いますしね?と笑ったライラを見て…ジョシュアがポツリと言った。


「ーーーわたしはバケモノなのかもしれない。」


唐突なジョシュアの言葉にライラはパシリと瞳を瞬かせた。

ジョシュアはふらりと視線を彷徨わせた後で…眉間にシワを寄せた。


「ライラは例外だが…わたしを見ると普通の人間は恐怖するんだ。」


ジョシュアの説明でライラもようやく話が飲み込めてきたらしい。

はあ、と頷いた。


ーーーなんて慰めればいいの!?わたしはジョシュア様が怖いと思ったことないからわからないんだけど…。


困惑顔になったライラを見て…ジョシュアは「わからなくていい」と言った。


「怖がられない方がいいんだ。ーーーわたしは国民を愛しているし守りたいと思っているのに。」


ライラは黙って頷いた。

きっとこれはジョシュアにしかわからない感情なのだ。

ライラは下手な慰めをせずに聞き役に徹することにした。


「魔獣の世界はシンプルだ。強いものが生き残る…わたしにとってはよほど共感できる世界だ。竜たちを見ていると落ち着くし、黒竜さまや始祖竜と話しているともっと落ち着く。」


ライラはうなずいた。

正直に言って全く理解できなかったがうなずいた。


ーーー竜が好きって気持ちならわたしも溢れるほどあるけど…ジョシュア様はまた違った感覚なんだ。さすが黒竜の加護を一身に受けた存在。


ライラが感心する中で、ジョシュアはストンと感情の抜け落ちた顔になった。


「人を殺しても何も感じないんだ。ーーー死んだ時に作られた魔石はいっそう美しいと感じる。…わたしは人間として壊れているんだろう。」


ジョシュアがあまりにも絶望した顔で言うので…流石のライラも何か慰めなければいないのでは?と慌て始めた。


ーーー人を殺しても何も感じないのは確かにちょっとまずいかも?…でも、そういう生活をジョシュア様に強いてるのは王家という仕組みであってこの国だよなあ。


ライラは前世が殺し合いなどない国だったことをよく覚えていた。

だから、ジョシュアが他国から送られてくる魔法使いを撃退したり、刺客をやっつけているという話を初めて聞いたときはゾッとしたものだ。

ジョシュアが怪我しないか不安でゾッとしただけなのだが。


ライラは必死に考えーーー気の利いたセリフなど何も思いつかなかったので、とにかく感じたまま言葉を紡ぐことにした。


「…無差別殺人を行いたいって言われたら止めますが…ジョシュア様は国民を守ることを一番に考えてくださる方です。だからちょっと一般人と違ってもいいんじゃないかって思います。」


「ーーー人を殺しても何も感じなくて黒竜さまを見ている時が一番落ち着くような人間が将来の王になってもいいと思うか?」


ジョシュアの問いかけにライラはグッと黙り込んだ。

ジョシュアの言葉に対して言い淀んだわけではない。

「国王になっていいと思うか?」そんな重い問いを自分が答えてしまっていいのかとという事実に困惑したのである。


ーーー弱ってる時って弱音が出るっていうけど…ジョシュア様でも同じなんだなあ。


ライラはクスリと笑った後で、ジョシュアと視線を合わせた。


「わたしは、しがない色なしなのでジョシュア様が国王にふさわしいか答えるのはちょっと難しいです。でもーーー黒竜さまがジョシュア様を選んだんですから自信を持っていいと思いますよ。」


黒竜さまは美しくて最強なので間違いはありません!とライラが自身たっぷりに言ったのを聞いてーーージョシュアはキョトンとした顔になった。


「ーーーライラは黒竜さまが好きなのか?」


「え?大好きですよ?存在するだけで奇跡だと思います。黒竜さまを助けるっていうのがわたしのライフワークですから。ーーー今の状態では色々難しいことは伺っていて、王族の方の元にいることが一番黒竜さまの助けになると考えていますので、こうしてお仕えしているのです。」


完全に話がすり替わっているのだがーーーライラは喜んでジョシュアの話に乗っかった。王にふさわしいか否かなんていう話よりも百倍語れる自信があったからだ。

ジョシュアは自分以上に黒竜が好きそうな人間に初めてあったと少し感慨深そうに言っている。


「黒竜さまを助けるか…いいライフワークだ。」


「そうですよね!?みんなにバカだって笑われるんですけどいいライフワークですよね?」


ライラはジョシュアから肯定されて嬉しかったのだろう。

瞳に赤、青、黄色、黒ーーー弾けるように全属性の魔素を流して喜びを表した。嬉しくて仕方がないと言った様子でニコニコと笑うライラを見てジョシュアもふっとわずかにだがまなじりを下げた。


ーーー貴重なジョシュアさまの穏やかな顔いただきましたあああ!


二人は黒竜の曲線美が美しいだとか黒魔法の扱いが見事だとかそういう類の話で非常に盛り上がった。

ライラはジョシュアが初めて饒舌に語る姿を見た。

しかも内容は愛してやまない黒竜についてである。

オズワルドが心配して様子を見に来るまで談笑は続いた。


自分が入れるほどに魔力が落ち着くなんてライラさんはすごいとオズワルドに褒められたライラ。

うへへへへと笑って少しパーシから引いた目で見られていたのだが、そんなことは微塵も気にならないくらいご機嫌なライラだった。



王族にしか使えない魔法だという国全体を覆う透明な魔力のドーム…そして食堂で顔を合わせたミシェーラとデニスがスタージュエリー用のネクタイをつけているのを見て、ライラは今日が星降りの夜であると実感する。

魔石がぶつかるたびに、透明なドーム上に魔法文字が浮かび上がるのは何度見ても綺麗だった。


「毎年見てるけど…何度見ても綺麗ねえ。」


スタージュエリーで埋め尽くされたネクタイをつけて頬を染めているミシェーラ。

そのミシェーラを見て頬を染める親衛隊の生徒たち。

何故勢揃いしているのかといえば、今日は危ないとかで特別寮の前でわざわざ待機していたのだ。


ーーーああ、ミーティアウィークだなあ。


ライラはしみじみと思いながら学園へと向かった。

ミシェーラが動くたびに、魔石のぶつかり合うシャラリシャラリという音を響く。昨年と異なり特別寮からの移動なので普通の生徒と入り口が違う。

そのため、今年はマスキラに囲まれないかもと期待していたライラだが…その予想は大きく裏切られた。

黒薔薇団の生徒が出入りする入り口は朝から人でごった返していたのだ。

そこには黒薔薇団のミーティアウィーク担当者であるジョージの姿もある。


よく考えれば当然のことだった。

ライラでさえ送られるスタージュエリーが倍増するほどの黒薔薇団だ。

人気者しか通らない入り口など出待ちで溢れるに決まっている。


「これは親衛隊が警戒するのも納得だな。」


デニスがそう言ってうなずく。ライラはデニスにおんぶしてもらっていた。

人混みに弾かれて全く進めなかったのだ。

ミシェーラのことは入口付近に置いてきた。可哀想だが親衛隊がいるので大丈夫だろう。

ジョージに「お願いだから行ってくれ」と懇願されたのもある。デニスがいるとフィメルが集まってくるらしい。


そんな人気者であるデニスは、デニスクーン!と黄色い声援が上がるとにこやかに手など振りかえしている。

デニスもスタージュエリーのもらいすぎで、動くとシャラリシャラリと音がする種族だ。


ライラは一年間デニスやミシェーラと過ごした結果、羨ましいとさえ思わなくなった。

クタリを力を抜いてデニスの肩に顎を乗せている。

そして暇だったかのか時折ジョシュアからもらった指輪を見てニヤニヤしていた。

昨日から同じような反応をしているのを知っているデニスは呆れ顔だ。

三年生の教室についても席に座っているのは半分ほどだった。


「ジョシュア様の寝顔を見てお話しできるなんて天国みたいな時間だったなあ。」


ミーティアウィーク初日ということで活気溢れる学園とは対照的にライラのテンションは低い。

それもそのはず、ミーティアウィークは王族総出で国防に勤める期間だ。


ジョシュアもパーシヴァルもいない学園にライラは楽しみを見出せないでいた。

ぶすくされるライラだがーーー実は格好で朝から学園中の注目を集めていた。


去年に引き続き、ミシェーラからは魔石が星のように輝く素晴らしい衣装を。デニスからは指輪を渡されていた。

そして腕にはパーシヴァルから普段つけているネームジュエリーに重ね付けできるような腕輪が。

ジョシュアからは指輪だけでなく昨年の慰霊祭で贈られた布を加工したマントが送られていた。


普通だったら得意げになりそうなものだがーーーライラにとっては本物の黒竜が、王族の方が、装飾品よりも何倍も価値があるようだ。

クラスメートやスタージュエリーを渡しに来た生徒から褒められても微妙な反応を返していた。送られたのは嬉しいが自慢する気持ちはわからないと真顔で言ってデニスに笑われていた。


「眩しいから欠席してほしい。」


ーーー並んで座るライラとミシェーラを視界に入れた魔法陣学の授業の時のフレイザーのコメントである。フレイザーはやはりイベントごとが嫌いなようだ。今年も一切スタージュエリーを身につけていなかった。皆がアクセサリーとつけている中で全身真っ黒な彼は違う意味で目立っていた。


本日はミーティアウィークの初日の10月1日。

王宮前広場で王族主催の式典である追悼祭が行われる。

王都周辺に住む住民がこぞって参加するこの式典に合わせ、魔法学園も授業は十五時で終了。

特別便に乗って、生徒たちは王宮前広場へと向かう。

そして、多くが現地で家族と落ち合うのだ。

昨年同様ミシェーラとデニスも今日は家族で過ごすというがーーーライラは今年は役目があった。


生徒たちが乗せられた巨大なプレートを見送った後でもぬけの殻となった学園の巡回をするのである。


追悼祭の間に人のいなくなった学園で悪さする人間がいないか黒薔薇団の生徒が見張りの役目を与えられたのだ。


「本当にいいのか?俺が担当だし欠席しようか?」


最後までジョージはライラが追悼祭に行けないことに気を揉んでいた。ジョージはいい子だとライラは思う。


「わたしは親戚に会っても気まずいだけだから、気にせず楽しんできて。」


ライラがいつも通りの様子…つまり無表情でこんなことを言うものだからジョージの方が泣きそうな顔になっていた。


ジョージはライラにたっぷりお土産を買ってくると約束し、皆と一緒に王宮へと向かった。

ライラは今年も大量のレモナリキャンディーを手に入れることになりそうだ。



ライラはフェルの浮遊魔法で移動する許可をもらっていた。

見るものがいないためだ。

人のいなくなった廊下をスーッと移動しながらライラはフェルに話しかける。


「シリルどうしてるかなあ。」


ライラの問いかけにーーーフェルは「めちゃくちゃ大変なんじゃない?」と答えた。発言内容とは裏腹に全然興味がなさそうだったが。


シリルは国家魔法士としてーーーそして固有魔法が使える魔法使いとしてミーティアウィークの間は当然プロイセンへと帰っていた。


ーーー王宮で大規模な粛清があったって言ってたけど大丈夫なのかな?


ライラがうーんと考え込む間にフェルが不審者を発見したらしい。

「部外者立ち入り禁止でーす」と言って学園外の森へと放り出していた。

ライラはピューんと勢いをつけて飛んで行った不審者を目で追いながらボソリと呟いた。


「…フェル、あの森って魔獣が出ないっけ?」


「ーーーあんな明らかに怪しそうな格好のやつ魔獣に喰われても仕方ないよ。」


ーーー捕縛しろってパーシヴァル様は言ってたけど…まあいいか。

怒られたらフェルのせいにしようとライラは内心で考えつつ、シリルのことへと思考を戻す。


「フェルが言ってる大変ってどういう意味?」


ライラの問いかけにフェルはこてりと首を傾げた。


「赤竜が眠ったせいか王家全体の加護が弱まってるんだって。ーーーシリルが言ってたよ?」


ライラも聞いていたはずだとフェルは言うが…ライラの記憶には残っていなかった。おそらくテスト勉強か何かで忙しかったのだろう。


「シリルの力も弱まってるの?」


しかしライラの懸念は外れた。シリルはなぜか大丈夫らしい。


「シリルは50必要な加護を5000くらい持ってるイメージだからね。ちょっとくらい弱まってもわからないよ…本当に赤竜って調節下手だよねえ。」


ーーー5000!?シリルってプロイセン版のジョシュア様ってこと?


ライラが密かにシリルを見直している間にフェルとライラが学園を回り終わった。


ライラは空き教室で課題をしていたのだがすぐに全て終わってしまった。

次の授業があるのは三日後だし、ミーティアウィークの間はずっと短縮授業だ。教師たちも浮かれていて課題が少ないせいもある。

次の見回りまで暇になってしまったライラはーーー久しぶりにジョーワからもらった浮遊魔法を引っ張り出した。


魔法陣を指でなぞりつつ…ううむと首を傾げる。


「この記号がある限り発動しないだろうなあ。」


ライラの隣で魔石を頬張っていたフェルが「そうだねえ」と頷いている。

聞いているのかは怪しい。フェルはジョシュアが看病のお礼だと言ってくれた特大の魔石に夢中なのだ。なんでも一瞬で平らげるフェルにしては珍しく、端をちびちびとかじるようにして大切に大切に食べている。

ずいぶん大きな黒魔石だったのでライラは「まさか黒竜さまのじゃないよね?」と疑っているのだがフェルが欲しがったのであげたのだ。


「ボクそれ食べたいー!」「お腹すいたの?いいよ。」という会話をしてオズワルドから信じられないものを見るような目で見られたのは記憶に新しい。

ライラからするとフェルが欲しがるものはなんでも与えてやりたいので何も驚くことはないのだが。


最近ライラは忙しくてジョーワに会いにいけていないのだ。

魔力通話でやりとりは行なっているのだが。

ライラがしているお願いもめどがついたらしい。近いうちに魔法陣を送ってくれるそうだ。


ーーーフェルとの契約が解消できそうなのはよかったなあ。


ライラが魔法陣を撫でながらそんなことを考えていると、カーン!カーン!といつもの授業終わりの鐘が鳴った。


「次の見回りいこっか!」


その後もライラは肝試しに来ていた他校生や迷い込んだオレーンを森に返したりしてそこそこ楽しい時間を過ごした。

他校生をフェルが先ほどと同じように森へ放り投げようとしたのは止めた。

髪が白くどう見ても非魔法使いだったからだ。


「ーーーなんで髪の白いやつが魔法学園の制服着てるんだ?」

「あいつめちゃくちゃキラキラしてる!」

「っていうかなんで浮いてるんだ?」


ーーーなどと指差されたため捕縛はさせてもらったが。用意してあった縄でぐるぐる巻きにするのは大変だったが少し面白かった。


よしできたと満足そうにうなずくライラの縛りが弱すぎたためにフェルがこっそりと縛り直していたことをライラは知らない。

フェルのことを恐怖の目で見ていたので他校生たちはわかっていたようだが。

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