No.6 8ミリビデオカメラ
レポートNo.6 『8ミリビデオカメラ』
【質問内容】
「この映像を見て下さい」
【回答】
・熟練の冒険者の男性
「あれ、これって俺じゃないか? しかも動いてるぞ。 ・・・もしかしてドッペルゲンガーか!」
・噴水の脇でパーティーを待っているバックパッカーの女の子
「じー・・・もしかして、変なモノ見せるつもりじゃないですよね? この箱の中の人って私にそっくりだけど、本物はもっと可愛いですよー! そういえば前に潜ったダンジョンに似たようなのあったけど、これって古代の遺産ですか?」
・田んぼの真ん中でナウでヤングな格好をしているツッパリ風のおにーさん
「おい、そのガラスからレーザーとか出るんじゃねーよなー? おい、これ俺が映ってるじゃねーか! 誰に許可取って撮ってんだよ! おととい来やがれぃ! ぺぺぺぺぺっ!」
・胸に七つの星をかたどったペンダントを付けたやたら肉付きのいい女性
「・・・殺られる前に殺るっ!!! 将星落ちるべしっ!!」
・やたら怪しい腰つきのパピヨンマスクの男(?)
「んっんーー!! これってアタシー?! 絵の中のアタシもなんてキュートなのぉっ!! これはもう永久保存よぉっ!! あ、ちょっと何消してんのよー!!!」
【総評】
異世界でも自分の姿やメッセージを残す技術はある。
姿を残す手段の一般的な手法は絵画ではあるが、極稀に写真がある世界も存在することが確認されている。
一方メッセージはと言うと、魔法によるものがほとんどである。
姿・メッセージを残せるものは少なく、大抵は古代のロストテクノロジーとして存在が確認できる程度で、現在にその手法が残っていることはかなりレアなパターンになっている。
今回の調査内容は、そんなロストテクノロジーに近いものをチョイスしたつもりだ。
最初に映像を見せた時は、かなり警戒されていた様子だった。
しかし、これが記録を取るための道具と分かると、ポーズを決めて『カッコよく撮ってくれよ!』とか『可愛く撮ってね!』という反応が返ってきた。こういうところは世界共通の認識なのかと思われる。