No.5 カセット式携帯ガスコンロ
レポートNo.5 『カセット式携帯ガスコンロ』
【質問内容】
「焚火の代わりにこれを使って調理してください」
【回答】
・井戸で水を飲んでいたどこにでもいる平凡な戦士風の男性
「へぇ、魔力が無くても火が使えるなんて便利だな。 だが火力が弱いし、火は青いし、変な臭いもするな。 それに大きくて道具袋に入らないから、俺には必要無いな」
・不気味な骨董品が大量に飾られていた道具屋の看板娘
「魔力が無くても使えるのはいいかなーって思うけど、火力がちょっとねー? え、あんな釜でどうやって火加減を調節するかって? それはね、鍋の位置を移動して火との距離を変えたりとかして調整してるよー。 それと私は外で野営とかしないし、要らないかなー?」
・肌が緑色の鱗で隻眼の男性
「いや、俺は基本生食なんで火とか必要ないし。 それに火を使うと肌が乾燥するから遠慮するわ」
・一つ目の三角帽子を被った自称赤の四天王の少女
「ふ・・・この南の赤き彗星こと、赤の四天王イグニア様に火力勝負を挑むとは身の程知らずめ! 炎とはこうやって扱う物だ! 爆ぜろ、バーニングイグニッション!!!(食材が黒焦げになりました)」
・カラフルな三角屋根のアトリエに住む自称天才錬金術師の少女
「へぇー、青い炎って珍しいね~。 え、料理? ほら、この錬金釜に材料をパラパラ~って入れて、ぐーるぐーる混ぜるとね・・・ほらっ出来たー! 特製釜ハンバーグのでっきあがり~♪」
【総評】
冒険者たちが外で食事を取るときには、薪を集めて焚火をし、調理は直火でするというのが一般的だ。その着火手段は火打石や魔法が主である。
薪を集める手間も無く、火力の大きさも変えられ、なおかつ魔力の無い者でも使えるということで、期待をしていたものの、結果はかなり残念な物になってしまった。
異世界では魔法が広く普及しているせいか、現地で薪さえ補給すれば良いということもあり、わざわざカセットコンロのようなかさばるものを持ち歩く必要性が無い、というのが主な回答だった。
さらに火の扱いに長けているようで、火加減は焚火との絶妙な距離で行われていることがわかった。
また現地ではガスボンベを補給する手段が無いことから、現状では広く使われることは無いだろう。
アウトドアに関しては、異世界人の方が我々より一枚上手、ということだろうか。