先生との出会い
次の日、僕らは再度縄をつけられ女の子に引かれながら先生の家を訪れた。
家の中で先生が胡座をかいいてその隣で見知らぬ老婆が椅子に座っていた。
重苦しい空気。僕達はその場で病気を治してもらったことへの感謝を伝えた。
「先日はありがとうございました」
「うん、さあ座って縄わいらないからと浮いてあげて」
先生の声で縄は解かれ、僕らは床に正座させられた。女の子も先生の隣に座る。
先生の名前はアマオト、気性の荒い女の子がヒノコ、お婆さんがシアン
僕らは適当な自己紹介を済ませ本題の話をした。
「ごめんね、こちらとしてもよそ者を警戒しないといけない理由がある」
先生の申し訳なさそうな表情に思わず頭を下げてしまったが 動じないウルルは質問を切り出す。
「あなたもよそ者ですよね?」
「ん? ハハハッそうだよ君と同じよそ者さ」
どこか生意気な発言に笑い出す先生。
ウルルは真剣な眼差しで言い返した。
「水霊ですか?」
先生の人差し指がピクリと動いた。
「気づいてた?そうだよ僕も水霊、君たちの先輩」
「どうやって儀式を放棄したの?」
「そうだな・・まず君がどうやって儀式を放棄できたか知りたいな・・・」
僕らはオアシスの国での出来事を洗いざらい話した。
先生は興味津々という感じで何度も合図地を打っち、聴き終えるとニヤニヤした表情で笑い始めた。
「人間の心の穴を井戸の代わりに・・ハハッお互いいい情報交換ができそうだ」
先生はそっと老婆の手に自分の手を重ねた。。
老婆は細い目を少しだけ見開き口を開いた。
「方法を説明する前にまず水霊の仕組みについて話す必要があります」
人間の内には心と体がありそれぞれ欲を満たすために存在している。
水霊の能力は悲しみの心が暴走をしてしまう一種の病気。体は心と同調して悲しみを消すために半永久的に涙を全身から生成し続ける。
儀式から抜け出せないのは、暗く深い穴こそ悲しみを和らげてくれるものだど心が認識しているから。
「つまりは井戸より悲しみを和らげてくれる者があると心体に認識させれば儀式は放棄することができます」
お婆さんはゆっくりなハッキリとした声で説明してくれた。
僕は具体的に何をしたのか聞いてみた。
「具体的に、私が彼の悲しみの理解者になってあげたという事」
「それだけですか?」
「そう それだけ、でも水霊の体質は先祖代々から血に刻まれたモノ、その感情、習慣、
儀礼には簡単には逆らえないの、私も彼を解放するのに50年かかったわ」
先生はシアンさんが話し終えたのをみて手を離した。
「長く時間を取らせてしまったね。集落への君たちの滞在は許可したよ。あとはヒノコに案内させるから」
まだまだ水霊について聞きたいことはあるが今日の所は解散し日を改めることにした。