キスと約束
由樹「姉様」
由樹「キス、しませんか?」
とか、真顔で言えちゃう弟が怖い!
由利「なっっ!!なんでよ!!嫌よ!!」
由樹「姉様は僕の事が嫌いですか?」
由利「嫌いじゃないけど…」
由樹「じゃあ大丈夫ですね!キリッ」
なんて前向きなのよ…
由樹「家族のスキンシップは特別なことではありませんよ?」
由利「ここは日本よ!そんな欧米文化取り入れなっ…」
チュッ
こいつ
人が話してるのに
しかも
唇に来やがった…!!
由利「うぇ…口にしたの?」
由樹「はい」
由利「初めてだったのに…」
由樹「僕もです」
由利「(それは少しうれしい)」
由樹「でも、僕たち家族なのでノーカンですよ」
由利「あ…そっかー、そうだよねビックリしちゃった私…」
由利「ってそれで済ませるかーー!!!
あんた8年ぶりに会って、帰って来て1時間もしないうちになにしてくれんのさ!!」
由樹「姉様とお手紙出来なくて寂しかったんですよ?」
由利「そっ それは私も色々忙しかったし…」
由利「そ、それとこれとは話がっ」
由樹「だからおあいこですねニコッ」
なんだろ、口じゃ勝てない気がする。
由樹「じゃあ、僕は夕食の用意しておきますので姉様はお風呂に入ってきてください」
由利「由樹がご飯作ってくれるの?」
由樹「えぇ、冷蔵庫のなかを物色させていただきました。今のうちにお風呂に行かないと、途中で僕も入っちゃいますよ?」
由利「わっ!わかったわよ!絶対に入ってこないでね!」
駆けるように走っていった
既に実家の主導権を握られてしまった。情けないな私。
湯船に浸かり、長かった1日を思い返した。始業式で初めて会った弟の由樹。ひさびさ過ぎてどう接して良いか分からず不安だった。帰り道に後ろから抱きつかれて、みさきにニヤニヤしながら見送られてうちに帰る頃には普通に話ができるようになってた。
不思議。やっぱ他人じゃないからなのかな。でもなんだろ…頭のなかでは弟だってわかってるのになんか歯車がいっちしないような…。うまく蓋が閉まらないときのモヤモヤみたいなのがあるんだよね。しみじみ8年って長いよなぁ…とごちる。
ふと、キスされたことを思いだして赤面してしまった。手をやるとくちもとはだらしなくも曲がっていた。
由利「(なんで私、にやついてんだろ)」
由利「(弟にキスされて喜んでるみたいじゃない…)」
刹那
由樹「姉様ー!着替え忘れてますよ!ここに置いておきますね。」
由利「うええっ!!う、うん!あっありがと!」
脅かさないでよ。もう。
いや待てよ…
由利「あんたなんで私の服の場所熟知してんのよーー!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
由樹「姉様、顔が赤いですよ?のぼせましたか?」
由利「無駄に血圧上げてくるヤツがいるのよ!」
由樹「それは大変だ。」
おもっきし他人事かこの子は!
由樹「そろそろご飯にしましょう」
以外にも由樹が作ってくれたのは和食だった。
二人「いただきます。」
由利「ね、由樹はドイツにいたときどんな生活してたの?とっても日本なれしてるじゃん」
由樹「僕は父様の意向で日本語学校に通っていたんです。現地の日本人の他に、ゆくゆくは日本で生活するからと様々な国籍の方がいました。日本食も学びましたし、文化なども勉強しましたから一通りは理解しているつもりですよ。」
由樹「小学校と中学校を兼ねてましたから、クラスの皆とはなかよしでしたよ。日本にいったらどうしようかとか、あれをやろうねとか。皆が日本に来たらいっぱい連れて回りたいですね。」
由利「ふむふむ」
由樹「ですから、母様から日本の学校に通って姉様の面倒を見てくれってお願いされたとき、すごくうれしかったんです。」
由利「まって、お母さん私の面倒見せようとしてたの!?」
お母さん…たしかに私は生活感がない女だけど…
にこりと微笑む由樹から視線を反らした。
由樹「姉様はどんな生活をされていたんですか?」
私?私は…中学入る前にアニメにはまってグッズを買い漁り、同士をみつけてからはクラスの男の子でカップリングする話で昼休みを潰して…
高校は部活にも入らないで相変わらずのオタク生活…
まとめると
由利「…ありふれたものよ、特別なことはなかったわね。友達もそれなりで部活にも入らず自由に暮らしていたわ。」
話す顔はひきつっていた。
由樹「恋愛の方はどうなんですか?」
由利「私には縁のないことよ」
自嘲ぎみにもらした。
由樹「…なるほど」
不敵に
由樹「じゃあ」
由樹「姉様、僕と恋人になってください」